イニエスタかオルンガか、それとも…。Jリーグ月間MVPを独自選考!

2

2020年08月14日 16:52  webスポルティーバ

  • 限定公開( 2 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真写真

スポルティーバ厳選! Jリーグ月間MVP

識者5人の今季J1全順位予想はこちら>>

 コロナ禍のなか、イレギュラーな状況で開催されているJリーグ。そのなかでもすばらしいプレーで見る者を魅了する選手が存在する。

 そこでスポルティーバ編集部では、この状況下Jリーグを取材している識者5人に、先週末までの7月度(第2節〜9節)月間MVPの選定をしてもらった。




 5人の識者にMVP候補を5人、順位をつけて選んでもらい、1位5ポイント、2位4ポイント......5位1ポイントという形でポイントを集計し、合計ポイントでMVPを決める。

 そして決まった7月度のMVPは、柏レイソルのオルンガ。Jリーグが選定した7月度のMVP家長昭博(川崎フロンターレ)をぎりぎり1ポイント上回った。




 昨シーズンJ2で大爆発したオルンガは、J1でも威力を発揮。圧倒的なプレーと得点力で、見る者を引きつけている。

 2位以下は首位を独走する川崎の選手が占めるランキングとなった。

 ここからは各識者の選考ポイント。今、ピッチで躍動している旬な選手が見えてくる。

オルンガはJ史上最高の決定力かも

杉山茂樹氏(スポーツライター)

1位 オルンガ(柏レイソル)
2位 古橋亨梧(ヴィッセル神戸)
3位 家長昭博(川崎フロンターレ)
4位 チャナティップ(北海道コンサドーレ札幌)
5位 エウシーニョ(清水エスパルス)

 現在5位につける柏だが、こう言ってはなんだが、サッカーそのものは、けっしてよくないと思う。上位のサッカーと言うより下位のサッカーだ。内容と結果。その差は10位分近くあるのではないか。

 その大きな差を縮めることに成功している理由は、ひとえにオルンガのプレーにある。Jリーグ史上最高の決定力かもしれない。他の追随を許さぬ圧倒的な存在であることは言うまでもない。

 心配になるのは引き抜きだ。このプレーを見れば、欧州の各クラブは黙っていない。オルンガはシーズンの最後まで、柏に留まることができるか。Jリーグの大きな見どころと言える。

 古橋はいま、選手として急速に伸びている。従来の日本人選手にはない、ドイツ人的とさえ言いたくなる骨太なプレーをする。緩急の付け方、パンチ力、シュートのタイミングを掴むことも上達。日本代表級に成長した。イニエスタに育てられている感じだ。

 今季の川崎の躍進を語ろうとした時、最も外せない選手は家長になる。川崎のサッカーの変化は、彼のポジション取りの変化と密接に関係している。真ん中に寄らず、右サイドにポジションを取る時間が増えたことで、ボールの流れは格段によくなった。

 ボールを支配する場所が真ん中からサイドに移り、パスワークが安定。攻撃の効率が増すとともに、相手ボール時の対応もよくなった。守備の網が相手に掛かりやすくなっている。

 2シーズン前にJリーグMVPに輝いた年長の実力者がプライドを捨て、チームプレーに徹したが故の産物だ。家長はチームの成績に最も大きな影響を与えている選手だと言える。

 チャナティップは来日当初、目に付いた貧弱さが、すっかりなくなった。見る度にプレーがパワフルになっている。好位を維持している札幌にあって最も欠かせない選手。彼がいるかいないかで、札幌の順位は5位くらい変わると見る。

 エウシーニョは現代サッカーにおける理想のサイドバック(SB)。川崎はなんで手放したのかという疑問はさておき、清水は実際、彼の復帰と呼応するようにサッカーの内容も上昇。攻めが分厚くなり、成績も上昇した。「サッカーはSBで決まる」という現代サッカーの格言を地でいく選手だ。

イニエスタのプレーは神がかっている

小宮良之氏(スポーツライター)

1位 アンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)
2位 オルンガ(柏レイソル)
3位 田中碧(川崎フロンターレ)
4位 マルコス・ジュニオール(横浜F・マリノス)
5位 大谷秀和(柏レイソル)

 イニエスタは、ほとんど神がかりだった。サッカーにおいて、スプリント数、走行距離などが、どれだけ平凡な価値観か、思い知られる。Jリーグでは超然とした存在である。

 第7節のG大阪戦、イニエスタは日本代表MFでマーキングには定評がある井手口陽介を敵に回しながら、子ども扱いにしていた。相手が取り切ったと思っても、魔術のように入れ替わる。完全にパスコースを消されたように見えても、自らボールを動かしながら、相手の軸足が移動する瞬間を狙い、神がかったスルーパスも通した。

 第8節、札幌戦の2点目のロングパスも鮮やかだった。ほとんど何もないところから、巧みにチャンスを演出。ひらめきに満ちたプレーの数々は、月間MVPに値する。今後は酷暑のなかの連戦で消耗が心配だが...。

 オルンガは、単純にボールを受け、叩くという能力に恵まれている。直近5試合連続得点で、10得点はゴールランキングトップ。第9節、横浜FM戦では、相手DFがバックパスの処理にもたつくと、強引にボールを奪い切ってディフェンスを交わし、右足で叩き込んでいる。

 速さ、高さ、強さは、Jリーグで明らかなアドバンテージ。チームが機能を失わない限り、ゴールは増える。

 首位を走る川崎で、攻守を連結させ、プレーに旋律を与えているのが、田中碧だろう。ボールを失わない。受け手が優位になる状態でさばけるし、自らも運べることで、プレーを動かせる。大島僚太との軽快なパス交換は、見ものだ。

 マルコス・ジュニオールは、王者・横浜FMの戦術的キーマンと言えるだろう。再開当初はフィットしていなかったが、調子を上げている。高速サッカーにおいて、守備も攻撃もスイッチを入れられる。

 大谷は、守備のフィルターとして、チームの戦術を支えている。スペースを支配し、色気を出さない。その存在のおかげで、周りが自由にプレーできている。再開後、連敗していたが、大谷の先発復帰で4勝1分。

 C大阪の選手もすばらしく、キム・ジンヒョン、藤田直之、坂元達裕なども選びたかったが、組織としての戦い方が目立った。その点では、監督賞をミゲル・アンヘル・ロティーナに送りたい。ソリッドな守備は練習の賜物だ。

世界の美しき女子サッカー選手たちはこちら>>

家長が無類の強さを見せる川崎を牽引

原山裕平氏(サッカーライター)

1位 家長昭博(川崎フロンターレ)
2位 大島僚太(川崎フロンターレ)
3位 田中碧(川崎フロンターレ)
4位 谷口彰悟(川崎フロンターレ)
5位 オルンガ(柏レイソル)

 ひねりも、独自性もない、なんとも面白くない選考となしまったが、無類の強さを見せる川崎勢を、やはり無視することはできないだろう。

 快進撃の立役者は、右ウイングを務める家長にほかならない。サイドに張って起点をつくり、ボールを受ければ何でもできる。縦に仕掛けるもよし、カットインするもよし、鋭いクロスでゴールもお膳立てできる。もちろん自ら強烈な一撃を見舞うこともできる。

 同サイドでコンビを組む新加入の右SB、山根視来が躊躇なく前線へ飛び出せるのも、このレフティがボールを失わないという絶対的な信頼感があるからにほかならない。前線からの守備も厭わない万能型アタッカーこそが、連勝街道を爆走する川崎の牽引車である。

 2位とした大島も、不可欠な存在だ。ボランチから一つポジションを上げてインサイドハーフでプレーする今季は、うまい選手から、より怖い選手へと進化を遂げている。パスをさばくだけでなく、エリア内に顔を出し、ゴールに直結するプレーが格段に増えた。

 自らもゴールに対する意識が高まった印象で、すでに2ゴールをマークしている。3節のFC東京戦では先制ゴールでチームに勢いをもたらし、8節のガンバ大阪との首位攻防戦では値千金の決勝ゴールをマーク。チームに勝利をもたらす役割をこなしている点も、高評価の要因だ。

 3位の田中、4位の谷口も絶大な存在感を放っている。前者はアンカーとしてつなぎ役をこなしつつ、最終ラインの防波堤も担う。インサイドハーフを追い越して危険なエリアにも顔を出せるし、ハイプレスもこなす。

 後者はフィールドプレーヤーで唯一、全試合にフル出場し、守備の安定を担保している。攻撃のスイッチを入れるビルドアップもハイクオリティで、セットプレーのターゲット役としても結果を出している。

 唯一、川崎以外でのランクインとなったのは柏のオルンガだ。決してプレー精度は高いとは言えないが、高さ、強さ、スピードといずれも規格外。届かないと思われたボールに追いつき、ゴールを決めてしまうのは朝飯前だ。

 9試合で10得点。驚異の決定力を備えるストライカーは、久しぶりにJリーグに現れたモンスター級のタレントだろう。

オルンガはエムボマ以来の規格外助っ人だ

中山 淳氏(サッカージャーナリスト)

1位 オルンガ(柏レイソル)
2位 家長昭博(川崎フロンターレ)
3位 キム・ジンヒョン(セレッソ大阪)
4位 脇坂泰斗(川崎フロンターレ)
5位 稲垣祥(名古屋グランパス)

 9試合で10ゴールという数字はもちろん、柏のオルンガが見る者に与えたインパクトは強烈のひと言。

 とくに第7節の仙台戦で決めたハットトリックは、「点で合わせてよし、裏に抜けてよし、ゴール前の動きと足元の技術もよし」と、いずれも彼の特徴がうかがえるゴールで、得点パターンの豊富さを物語っていた。G大阪の名手パトリック・エムボマ以来の規格外助っ人は、絶対にスタジアムで見るべき選手だ。

 首位を快走する川崎で際立っていたのは、34歳のベテラン家長。過密日程のなか、第8節までスタメン出場をつづけただけでなく、攻撃の核となってコンスタントにハイレベルなプレーを披露し、3ゴール2アシストを記録。年間MVPを受賞した一昨季の輝きを完全に取り戻し、"味のある"プレーを見せてくれた。

 同じく川崎で、中村憲剛不在の間にレギュラーを奪取した脇坂の充実ぶりも見逃せず、4位とした。指揮官が重要視するトランジションのスピードも申し分なく、4−3−3のインサイドハーフとして攻守の潤滑油となっている。セットプレーのキッカーとしても優秀で、全試合でスタメン出場をつづけているのも納得。進境著しい注目選手のひとりだ。

 3位は、数々のビッグセーブでチームを救ったC大阪のGKキム・ジンヒョン。C大阪が3位に食い込めている最大の理由は、広島と並ぶ最少失点(5失点)を誇っていることにあるが、とりわけ彼の活躍ぶりは特筆すべきものがあった。第9節のFC東京戦(0−0)のように、彼のビッグセーブで勝ち点を獲得した試合は少なくない。

 5位としたのは、躍進する名古屋のダイナモ稲垣だ。ここまで全試合に先発し、中盤でボールを奪うのみならず、豊富な運動量で攻撃にも積極的に絡むなど大車輪の活躍ぶり。

"ゴローちゃん"の愛称を持つ稲垣は、プロデビューを果たしたヴァンフォーレ甲府で台頭したあと、サンフレッチェ広島で多くを学び、今季からは新天地の名古屋でさらに成長している印象だ。

強さが目立つ川崎で家長の"匠の技"が見られた

浅田真樹氏(スポーツライター)

1位 家長昭博(川崎フロンターレ)
2位 谷口彰悟(川崎フロンターレ)
3位 オルンガ(柏レイソル)
4位 レオナルド(浦和レッズ)
5位 古橋亨悟(ヴィッセル神戸)

 再開後のJ1では、川崎の強さばかりが目立つ。逃げ切りあり、逆転ありと、試合展開に左右されない勝ち方も、圧倒的な強さを感じさせる。

 7月は(8月の2試合も含めて)ひとつの引き分けもない8連勝だったのだから、その間のMVPは当然、川崎から選ばれるべき。そうは思うのだが、どこに力点を置くかで誰を推すこともできるので、逆に選考が難しい。

 そのなかで最初に名前を挙げたのは、家長である。

 今季から4−3−3を採用し、幅をつくって間を取る攻撃が威力を発揮している川崎にあって、家長はその中心にいる。時に右サイドに開き、時に中へ絞り、周囲と連係しながら、ほかの選手の特長もうまく引き出す"匠の技"は出色だ。彼自身のプレーもさることながら、ひとつの駒としても、8連勝に不可欠な存在だった。

 もうひとり川崎から挙げたのが、谷口。川崎のサッカーはセンターバックにあらゆる面で高い能力を求めるが、新キャプテンは攻撃の組み立て、相手のカウンターを防ぐ力強い守備など、すべてを高いレベルでこなしていた。

 ほかにも、大島、脇坂、田中など、川崎には推したい選手が数多いが、ひとまず今月のところはふたりにとどめた。

 チーム成績とは別に、単純に個人のパフォーマンスに目を向ければ、やはりオルンガは外せない。試合数と同数のゴールを挙げているだけでも特筆に値するが、点の取り方を見ても規格外のプレーが多く、強いインパクトを残している。

 レオナルドもまた、インパクトという点では引けを取らない。点を取ることを最優先にしたプレーの選択には、驚きと面白さがある。チーム総得点11の浦和にあって得点ランク2位(6ゴール)につけるのだから、ただ者ではない。

 そして最後の5人目は、古橋。とにかくボールがない時の動き出しがいい。イニエスタという頼れる相棒の存在は大きいにしても、裏を取る技術はJ1随一だ。

 言い換えれば、あれだけチャンスがあるのだからもっとゴールが多くてもいいはずだが、コンスタントにチャンスがつくれているのは成長と好調の証だろう。

    ニュース設定