YouTuber とっくんが語る、自分を大蛇丸と信じて止まなくなった理由と料理へのスタンス

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2020年08月19日 09:01  リアルサウンド

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写真『手っ取り早くウマい酒が飲みたい!! ビールめし』(KADOKAWA)
『手っ取り早くウマい酒が飲みたい!! ビールめし』(KADOKAWA)

 いつの時代も、ついマネしたくなるキャッチーな名ゼリフを生み出す人気者が現れるものだ。時代と共に変わったのは、そんなスターに一般男性がなれるということ。


参考:ラファエル『秒で決めろ!秒で動け!』は究極の時短本?


 「ビールで優勝」「うますぎてウマになったわ」など、印象的なフレーズを次々と発信し、SNSで話題沸騰の一般男性・とっくん。Twitterのフォロワー数は46.6万人、YouTubeのチャンネル登録者数は58.6万人と、着実にファンを広げている。


 2分20秒と、お手軽に見られる動画は、すぐにでもマネしたくなるレシピに、気づいた人だけが幸せになる声マネも満載。なかでも漫画『NARUTO -ナルト-』のアニメに登場するキャラクター・大蛇丸をマネしながら料理を作る「自分を大蛇丸と信じて止まない一般男性」シリーズは、本家の声優・くじらまで反応するほどの人気ぶり。


 そんなとっくんが、このたび『手っ取り早くウマい酒が飲みたい!! ビールめし』(KADOKAWA)のタイトルでレシピ本を発売した。これまで動画ではじっくり触れられていなかった手順を、ゆっくりと見返したい人にもってこいな1冊。今回、改めて一般男性・とっくんとは何者なのか、そしてこれから目論む野望について聞いた。(佐藤結衣)


■もともと身内ネタだった、声マネ料理動画


――とっくんさんは、バンドでドラムをしているミュージシャンでもあるんですよね?


とっくん:そうです。HOTOKEっていうバンドで。ちなみに今着ているのも、そのバンドTシャツです!


――そこから料理動画を撮り始めたのは、何かキッカケがあったのですか?


とっくん:音楽と料理動画って直接は関係ないんですけど。よく「バンドマンはスパイスからカレーを作りがち」みたいなことを言われるんですが、割と凝り性な方々が周りに集まっているんですよね。自分が料理をしないにしても、そういう方から「料理は奥深い」みたいな話はよく聞いていました。それに、もともとクックドゥーや永谷園のCMみたいな、美味しそうに食べる飯テロチックな動画がすごく好きで。自分でもちょっと作ってみようっていうのが始まりでした。


――すべて動画の再生時間が2分20秒なのは、こだわりがあるのでしょうか?


とっくん:2分20秒っていうのが、Twitterに今フル尺で上げられるマックスの長さなんですよ。他のクリエイターさんの動画を見ると、だいたい冒頭30秒〜1分でダイジェストをTwitterに上げて、続きをYouTubeで10分くらいの動画にしているんですけど、そこを僕は逆張りでフル尺で載せちゃおうと思いました。何かするんだったら、自分なりの理由みたいなのがあればいいなと思っていて。こだわりというか、自分を納得させられる理由があって、初めて行動に移すタイプなんです。


――なるほど。その自分なりの理由として、声マネもあったのでしょうか?


とっくん:そうですね。もともと声マネはバンド仲間の間での身内ネタとしてやっていたんですよ。打ち上げとかで盛り上がるような宴会芸じゃないですけど。それで「とっくんと言えば大蛇丸でしょ」みたいな共通の認識ができていたので、じゃあそのまま料理動画を上げたら喜んでもらえるんじゃないかな、と。実は、東京で活動していたんですけど、仕事の都合で九州へ異動になっちゃったんですよ。それまで実家暮らしだったんですが、一人暮らしになって。そのタイミングで料理を始めました。だから仲間から一旦離れた状態だったので、「こっちでも元気にやってますよ」的な意味も込めた動画でしたね。


■愛読書は、圧力鍋についていたレシピ本


――というと、本業はサラリーマンということですか?


とっくん:そうですね……プライド的には「音楽が本業」って言いたいところですけれど(笑)。会社員をしつつ、バンドもしている、みたいな感じですね。今も福岡で働きながら活動しています。


――そうだったんですか。音楽と料理動画で生計を立てられているのかと思いました。


とっくん:いえいえ、世の中そんなに甘くないですよね〜(笑)。


――そちらのお仕事は、音楽や料理とは関係のないジャンルですか?


とっくん:全然違いますね。でも、もともといた会社が食品関係だったので、ちょっとは関係あるのかな。食を軸に就職活動をしていたんですが、振り返れば「食べることが好き」っていうのは、昔からずっとあるんです。料理番組の調理風景を見たり、キッチンでおばあちゃんが何か作ってるところを覗いたり。それこそレシピ本も買って読んでいましたし。一番よく読んだのは、圧力鍋を買った時についてきたレシピ本ですね。“圧力鍋ってこんなのも作れるんだ、あんなものも作れるんだ”って眺めるのが楽しくて。あとは、インターネットでレシピを調べたり。今では事務所の先輩の「きまぐれクック」さんの魚をさばく動画を見るのも日課でした。美味しそうなものを手際よく作っている様子って、本当に見ていて気持ちがいいんですよ。


――わかります! 料理動画やレシピ本って、癒し効果がありますよね。


とっくん:でも、“自分にもできそう”と思ってやってみると、割とむずかしかったりするんですけどね(笑)。なので、手の込んだ料理を紹介するレシピや動画は観賞用と思って見ていましたが、そこからいろんな知識が自然と吸収されていったところはあるかもしれません。


■少年漫画のボディブローのように効く名ゼリフが好き


――気になるのは大蛇丸が出てくる『NARUTO -ナルト-』との出会いなのですが。


とっくん:小学生のころ、いつも遊んでいた男友だちが「『NARUTO -ナルト-』のアニメが面白い」って教えてくれたのが最初ですね。それから中学生くらいまでずっと好きで見ていました。その後、本誌も読み出したんですよね。個人的に一番好きなのは、修行して2年後に大人になったナルトが戻ってくるところ。少年期の話って、猪突猛進なナルトが一直線に術を使って戦っていたんですけど、徐々に頭を使って術を駆使して戦ってるのを見て「俺も賢くならないかんのか」みたいな(笑)。「成長するってこういうことだな」って少年ながら、めちゃくちゃワクワクしたんです。本当、好きな理由を話したらキリがないんですけど。


―― 他にもお好きな漫画はありますか?


とっくん:いっぱいありますね。『鋼の錬金術師』も好きですし、最近ハマってるのは『ハイキュー!!』です。いずれも要所々々に出てくるセリフが結構重たくて、ボディブローのように効いてくる。世界観もまとまっていて、風呂敷を広げすぎず、敷いた伏線はちゃんと全部回収して、いろんなキャラクターにもスポットが当たる。コンパクトかつスマートに、わかりやすく、でも世界観はちゃんと描いてるっていう作品がすごく好きですね。


――やはり成長していくさまにグッときますか?


とっくん:そうですね。『ハイキュー‼』はマジボロ泣きです。涙もろさでいったら、柴田理恵さんぐらいもろいっす(笑)。


■大蛇丸ボイスの第一発見者は弟だった


――アニメが好きだったというところから、自然と声マネをするようになったんでしょうか?


とっくん:もともと父親が映画と音楽好きなんです。なかでもヘビメタが好きだったので、それをしっかり受け継いでバンドマンになってるんですけど(笑)。父の映画好きにも影響を受けていて、弟と日本語吹き替えの洋画をよく見ていたんです。最初は、若本規夫さんや大塚芳忠さんなど、吹き替え声優さんに興味を持っていました。


 大学生のころだったかな、弟と『NARUTO -ナルト-』のゲーム『NARUTO -ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム』をしながら、セリフ当てして遊んでたんですけど、そのとき私が大蛇丸の声真似をしたら「それ、めっちゃ似てない? ちょっといろいろしゃべってみて」って言われて……。それで自分のことを大蛇丸と信じてやまなくなりました。


――弟さんとのその遊びがなければ、この動画は生まれなかったわけですね。


とっくん:信じてやまなくなってないかもしれない(笑)。大蛇丸の声優さんが、くじらさんという方だということは『NARUTO -ナルト-』のアニメを見ているときからエンドロールを見て知っていて。「大蛇丸 くじら」っていうクレジット、子どもにとっては「どういうことだ?」ってなるじゃないですか。一般的なフルネームの名前と違うので、気になっていろいろ調べるようになりました。そしたら、『銀魂』のお登勢役だったり、『キングダムハーツ』でリトルマーメイドのアースラ役をやっていたり。子どもながらに意識してチェックするようになりました。


――動画を見ていると『サザエさん』のマスオさんやアナゴさん、ゲーム実況者の弟者さんとかの声マネもしていますね。


とっくん:どうもみなさん、おはこんばんちは!


――アハハ。ふいに出てくるので、ずるいなと思いました(笑)。


とっくん:わかる人にだけ伝わって、わからない人には「今何が起きてるんだ?」っていう感じで、動画が進むと2分20秒ってあっという間に終わるんで。もう1回再生していただけるというメリットがあります(笑)。これでもかってくらい詰め込むので、友だちに言われましたよ。「とっくんの動画は見てると胃もたれがする」って。


■唯一無二の売りは「一般男性」が出版したこと


――今回レシピ本を発売するにあたって、いつごろから動き出したのでしょうか?


とっくん:出版社の担当編集者さんからお話があったのが昨年の11月末ごろ。YouTubeで動画を出し始めて1カ月位のタイミングでしたね。なので、まだレシピ数が少なくて。「もっと数を作ってください」「はい、頑張ります」と(笑)。


――当時はいくつぐらいだったんですか、レシピ自体は。


とっくん:10品くらいでした。 でも1冊の本にするには「4月くらいまでに60品以上はほしい」って言われて。正直「キツッ!」と思いました。レシピ以外に、文章も自分で書かせていただいて。一番苦労したのは“大蛇丸”のセリフは本では使えないので、直接連想させるような文言を避けつつ、でも動画で僕を知ってくれた人も楽しめるような表現を……と、頭を捻って考えました。


――これまでレシピ本を愛読されていた視点から、ここはいい出来栄えになったと自信を持っているところはありますか。


とっくん:唯一無二の売りとしては、やっぱり肩書きとして、調理に対する特別な技量を持っているわけではない、いわゆる「一般男性」のレシピ本であるということですね。等身大の料理に対するスタンスみたいなところが伝わればと思っています。「台所に立つのは楽しい」って思ってもらえたらいいなと思って動画もあげているので、そんなところが伝われば嬉しいですね。ぜひ「はじめに」と「おわりに」は、読んでほしいです。色々、書いては消して、書いては消して、伝わりやすくするようにはどうすればいいんだろうって思いながら、でも自分の言葉で伝えたかったんで。


――途中でワニ肉のレシピが出てきて驚きました(笑)。


とっくん:あれは、いわゆる男心なんですよ。例えば、身内でバーベキューするときに「ワニ肉持ってきました」って言いたい、みたいな。そういう時に、無理やり食べるんじゃなくて、より美味しく、ちょっとそれっぽく作るにはどうしたらいいんだろうってなった時に、あのページを使ってもらえたらいいかなと思います。


――とっくんさんといえば、「うますぎてウマになったわ」に代表される独特なワードセンスも人気ですが、どんなタイミングで誕生するんでしょうか?


とっくん:元々ネットスラングが大好きなんですよ。例えば「それな」っていうじゃないですか。段々「それ」を「そり」って言う人が出てきて、「それすぎて」みたいな感じを「そりすぎてソリになった」っていうネットスラングがあるんですけど、個人的にそれがめちゃくちゃ好きで。それウマでもいけるじゃん、という思いつきで生まれました。そのときのフィーリングで思いついたことを話しています。


――「ビールで優勝」はどこかにあった言葉なんですか。


とっくん:おいしいものを食べて、いわゆる高揚感を得るという意味での「優勝」は元々ネットスラングにあったので、「これでええやん」って。おいしいって言っても伝わらんし。言葉遊びとか親父ギャグとかが大好きなんですよ。


――今後こんなことがしたいという目標や夢はありますか?


とっくん:本当に飲むのも食べるのも好きなので、情勢が落ち着いたら福岡でうまいもん巡りみたいなことをして、なんらかの形で発信していきたいですね。ちょっと背伸びして行きたい飲み屋、若手新入社員が接待で選ぶと得意先に喜んでもらえる飲み屋とか……西中洲の飲み屋限定本みたいに、やるならターゲットを絞って、めちゃくちゃコアな感じでやりたいですね。業界の人と視聴者さんの一部しか買わないような専門誌とか興味あります(笑)。


――そこまでいった「一般男性」は、見たことないですもんね。


とっくん:そうですね。この人がうまいっていうところは絶対信頼できるみたいな、飲み屋がめっちゃ好きなおじさんになりたいです。応援よろしくお願いします!(取材・文:佐藤結衣/料理写真 撮影:よねくらりょう/提供:KADOKAWA/とっくん本人写真(C)Kiii inc.)


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