モバイルワークの「柔なスタイル」を生かしつつ在宅型テレワークに最適化

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2020年08月26日 11:22  ITmedia PC USER

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写真息抜きで場所を変えるときは、iPad ProとMagic Keyboardのコンビが役に立つ
息抜きで場所を変えるときは、iPad ProとMagic Keyboardのコンビが役に立つ

 最近、仕事はどう?――友人との電話でよく聞かれる話題だ。筆者は、フリーランスのライターとして独立し、1年半と少したつ。新型コロナウイルスの影響もあって、単なる定型文ではなく「大丈夫か?」という心配を裏にはらんで尋ねられている。これに対して「家にずっといられるから、前より働きやすくなったよ」と冗談交じりで答えるまでがワンセットの挨拶だ。この返答は、半分ホントであり、半分ウソである。



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・【第1回】マシンスペックよりも4画面が大事――ライター古田雄介氏の場合



●そもそもモバイル型のテレワーカーだった



 そもそも筆者は普段、主にIT関連のテーマについて一般読者向けの記事を執筆している。他種多様な仕事を受注するが、今のところ数が多い案件は3種類ある。1つ目は、都市部や海外で実施される企業の新製品発表会などに赴き、情報を速報記事としてWebメディアなどに執筆すること。2つ目は、製品の現物を実際に使ってみて、印象や使い方を記事として書くこと。3つ目は、雑誌やムックなどの誌面を編集/執筆することだ。



 これらの業務を個人で織り交ぜて進めるため、自宅に仕事机は設けていたものの、日中は都内をバタバタと取材で歩き回る時間が長かった。それゆえ筆者にとってのオフィスは、発表会場に設置されたパイプ椅子であり、移動中の飛行機や電車の席であり、発表会の合間に1時間立ち寄るカフェチェーン店の席でもあった。



 要するに、もともとモバイルワーク型のテレワークを実践していたと言える。執筆機材としては、2018年モデルのMacBook Pro(13インチ)をメインで携帯し、場面によってはiPad ProやiPhone 11 Proも執筆用に併用していた。



 しかし、昨今の外出自粛に伴って、同じテレワークでも在宅作業中心の環境に変化した。企業の新製品発表会や製品担当者へのインタビューなどは、Web会議ツールを用いてほとんどオンライン化されたので、ここ数カ月間の取材活動はノートPCの画面に向かうだけで済んでいる。「打ち合わせ」や「ごあいさつ」に関しても同様だ。



 従来は、移動で浪費されていた時間を有効活用できるようになり、カフェなどで待機時間を過ごすために支払っていた経費も掛からなくなった。これまで満員電車の中で、iPhoneのスワイプ入力で執筆せざるをえなかった原稿が、自宅の机に座ってノートPCで作業できるようになり、その分効率は上がった。



 筆者にとって、たまたま「働きやすくなった」と表現できるのはこういう事情だ。何より満足に仕事ができている点で、恵まれていると思う。



●自宅のデスクは必要な作業に特化



 デスク回りの配置に関しては、利用時間が長くなったことに伴い、快適に作業ができるよう整えた。いろいろ試した結果、以前から運用していたMacBook Proを中心に据え、外部ディスプレイを1枚だけ拡張するシンプルな構成に落ち着いた。



 モバイルワーク中心時代と同じく、現在もメインPCはMacBook Proのままだ。Windows、Chrome OSなども愛用してきたが、業務上の作業効率が良いという点で最近はmacOSが欠かせない。その上で、iMacやMac miniではなく、あえてMacBook Proを中心に構成しているのは、トラックパッドがキーボードの左右中央部に位置しており、キーボード入力とカーソル操作を滑らかに切り替えやすいと感じているからだ。



 もともと駅のベンチや飛行機内でマウスを使うわけには行かないからと、トラックパッドでの操作を意識的に徹底していたのだが、気付いたらマウスが苦手になっていたという事情もある。



 接続している外部ディスプレイが1つだけなのは、画面や機材が増えすぎるとかえって執筆への集中力が分散してしまうからだ。最大4枚の画面で作業することもできるのだが、2枚くらいがちょうどよいと感じる。ただし、写真や動画の編集をするには若干心許ない環境でもあるので、外付けディスプレイを現状のものから色域の広いワイドモニターに買い換えるか検討している最中でもある。現状、「Photoshop」や「Illustrator」ならギリギリ我慢できるのだが、「After Effects」や「Premiere Pro」になるとやや窮屈さを感じる。



●細かな工夫の積み重ねで時間を捻出



 執筆中の画面分配は主に、(1)Safari、(2)カレンダー、(3)テキストエディターの3つ。カレンダーを常時表示しているのは、30分単位で細々と予定を記入することで、タスク管理を兼ねている。



 さまざまな企業や個人と連絡を取り合うため、ビジネスチャットやWeb会議ツールは一通り対応できるようクライアントアプリをインストールしてある。一方、Web会議用のカメラやマイクなど、アクセサリーは基本的に常用していない。自身が取材される側ではないので、映像に気を遣う必要はあまりなく、MacBook Proのマイクで届けられる音声も音質は十分だと認識している。



 ただし、まれに動画撮影が求められる案件もあるので、グリーンバックと外付けマイクは用意し、最低限の要望には対応できる環境を一応整えてはある。



 ちなみに、デスク回りがミニマムなのは、PCやスマートフォン、アクセサリーなど、検証しなくてはならないアイテムが多いからでもある。PCで原稿を執筆しながら、真横に検証中のデバイスを何台も並べて操作しなくてはならない。また、本記事にも掲載しているように、デバイスを使用しているイメージ画像を写真として撮影する機会も多い。



 そのため、デスクはゆったり横長にスペースを確保しておき、モノを置ける状態に保っている。また、電源アダプターとよく使うケーブル類は机上に配置してあり、必要な充電はすぐに行えるように整えている。



 周辺機器を活用して、ペーパーレスな環境も整えている。海外出張中に雑誌用のラフレイアウトを書かなければいけなかったり、請求書を急いで送って欲しいと言われたりすることも多かったので、そうした際の習慣が今でも残っているのだ。



●ワコムの板タブも導入



 例えば、取材に伴う同意書にサインを求められる時や、誌面に校正記号を書き込む時などには、iPad ProとApple Pencilを用い、PDFに直接書き込むようにしている。また、最近はデスクにどっしり構えてMacBook ProでAdobe CC系のアプリケーションを扱う頻度が増えたので、細かい作業を素早く行うためにワコムの板タブ(Wacom Intuos Medium)を購入し、こちらも併用し始めた。プリンタも一応用意してはあるが、実は印刷する手間やインクの経費などは馬鹿にならないので、なるべく使用を避けているのが現状だ。



 ペーパーレスに関連するところでは、印刷から投函(とうかん)までの手間が膨大なので、郵便に関しては、極力使用を避けている。どうしても封書で書面を送って欲しいという相手には、「Webゆうびん」を活用して、多少のコストを支払ってもウェブサービス経由で投函の手間を省くよう心がけている。



 なんせ郵便ポストまで歩いたら往復で20分はかかってしまう。モバイルワークうんぬんを抜きにしても、時間単価で働くフリーランスにとって、少しでも無駄な手間や労力を省きたいがゆえに、こういった工夫は欠かせない。



●変化への対策は撮影環境の強化



 さて、冒頭でほのめかした通り、家にずっといるから働きやすくなった点がある一方、かえって働きにくくなった点もいくつかある。



 例えば、報道発表会のストレートニュースを速報記事として執筆する機会は減った。そもそも筆者の働き方として、これまでも速報記事を依頼される頻度はさほど高くなかった。しかし、媒体の編集者もオンライン経由で直接情報を視聴できるようになったことで、媒体のお抱えだったり専門性の高い案件を除き、遊撃手型のフリーランスライターが手伝ったりする必然性はさらに減ったと思う。少なくとも、編集者の代わりに現場を訪れて、新製品の現物に触るという代行作業は、半年前に比べると激減した。



 この状況を放置するのはまずいので、対策を兼ね、投資として自宅での撮影環境の改善を行った。要するに、ストレートニュースの需要が減った分は、製品を試用してレビューやコラム記事として書く頻度を上げて補う作戦だ。実は、執筆業とはいえ、筆者の場合、業務の1〜3割程度を写真撮影作業が占めている。となると撮影に関する作業効率を上げることが急務だった。



 具体的には、押し入れを改造して、ブツ撮り(小物の撮影)が行いやすい撮影ブースを設けた。ネットショッピングで、突っ張り棒と背景布を購入して常に白バック/黒バックを再現できる環境を作った上で、三脚と延長アーム、自由雲台、レリーズ、純正のフラッシュなどを追加購入した。



 以前から使っていたLEDライトも固定し、昼夜問わず必要なタイミングで素早く撮影を行える状態で維持している。撮影クオリティーに不満がないわけではないが、5万円程度の追加投資で済んだし、1カ月だけでお釣りが出るくらいに作業ははかどっているので、やってよかったと思っている。



●モチベーションの維持も大きな課題



 他には、外出頻度が減ったことで、気分の切り替えがしにくくなったことも問題だった。モバイルワークが中心だと、仕事場所が半強制的にコロコロ変わるので、取材会場やカフェでの待機時間、電車での移動時間など、環境とともに強制的に意識を切り替えられた。



 しかし、自宅で淡々と作業が続く環境では、こういった意識の切り替えは難しい。集中力に満ちあふれた幸運な日には最高の環境だが、同時にモチベーションの低い日にはかなり辛い。



 対策としては、作業や気分ごとにBGMを切り替えて再生したり、気分が乗らないときには場所を変えて作業したりするように心がけている。BGMに関しては、MacBook ProでApple Musicを流すシンプルな運用に落ち着いた。一時期、MacBook Proとワイヤレススピーカーを連携して部屋の前後から音が聞こえるように試したのだが、その都度設定を切り替えなければならないのがおっくうになりやめてしまった。



 場所を変える際は、MacBook Proに接続したケーブルを外してリビングに移動するだけだ。場所に縛られずに作業ができるように選択したスタイルが、在宅勤務でもうまく機能している。ちなみに、執筆機材を変えて気分転換を図ることもあり、サブマシンとして運用しているiPad Pro & Magic Keyboardを選択する日も割と多い。



 さらに、下調べの情報収集やアイデア出し、原稿の下書きなどは、ソファーやベッドに寝っ転がりながらiPhoneで行うこともあり、結局モバイルワーカー時代の習慣は形を変えつつ残っている。



 関連したところでは、外出自粛で気軽にカフェに行けなくなったせいもあり、カプチーノを飲みたさにデロンギのエスプレッソマシンも購入した。エントリークラスの機種なので、価格は1万円ちょっとで済んだ。どうしても気分が晴れない時や、強制的に仕事モードに切り替えたいときには、自らカプチーノを入れて仕事部屋に持ちこむことにしている。未経験からのスタートだったが、1カ月も経つ頃には店で飲むのと同じくらいのクオリティーにはなったはずだ。そろそろ豆を買い足さねばならない。



 長引く在宅勤務の中、シンプルな機材でも不自由に感じることは特にない。しかし、それでも市場の変化にどう適用すべきか、そして、コンディションやモチベーションをどう維持し続けるかに関しては、試行錯誤が続く毎日だ。


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