半沢モノマネで話題の団長安田が明かす「クロちゃん、HIROと殴り合った日」

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2020年08月30日 11:30  AERA dot.

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写真安田大サーカス 団長安田(46)(撮影/写真部・高野楓菜)
安田大サーカス 団長安田(46)(撮影/写真部・高野楓菜)
「お・し・ま・い・Death!」
「施されたら施し返す……恩返しです」

 7年ぶりに続編がスタートした「半沢直樹」(TBS系)に登場するキャラクター、大和田暁(香川照之)のモノマネで、安田大サーカスの団長安田(46)が注目を集めている。自身のSNSなどで、ドラマに出てくる名フレーズを連日アップ。YouTube「団長安田チャンネル」では、ドラマの放送に合わせてリアルタイムで、モノマネを生配信するなど、「半沢直樹」の人気とともに、メディアを日々賑わせている。

【写真】香川照之さん公認の大和田暁モノマネはこちら

 そのほか、ダウンタウンが司会をつとめる「水曜日のダウンタウン」(TBS系)でも、肌が紫色になりながらも50度を超える熱湯風呂に入ったり、3時間以上足つぼマットの上に立ち続けたりと、過激な企画にもチャレンジ。一部では、「クロちゃんよりも団長のほうがモンスターなのでは?」と囁かれたりもしたが、そのストイックな仕事の姿勢は、業界内で高く評価されたという。

 人気の大和田モノマネの裏話や仕事への向き合い方、来年20周年を迎える安田大サーカスへの思いなど、今、話題の団長がAERA dot.のインタビューに応じた。

●香川さんには感謝しかない

――半沢直樹の大和田モノマネが話題を集めています。率直にどう感じていますか?

 素直にうれしいですね。そもそも僕が大和田暁のモノマネを始めたのは半沢直樹シリーズが始まった2013年頃。とある飲食店で大和田を演じる香川さんに偶然会ったのがきっかけです。香川さんから「すごく会いたかった。僕は日頃から団長に顔が似ているって言われるんだよ」と、声をかけていただきました。あの香川さんからそんなこと言ってもらえるなんてほんとうにうれしくて。じゃあ、モノマネでもしてみようかなって思ったのが始まりです。顔が似ていたのが良かったのか、やり始めた瞬間から手応えはありましたね。

――大和田モノマネといえば、有名な土下座シーンがありますが、一時は、やりすぎて膝を痛めたそうですね?

 はい、痛めました(笑)。大和田の土下座って、ちょっと独特なんですよ。膝が内に入ってから下に降りていくんで、膝には相当無理があったと思いますね。多い時では1日10回以上も土下座していましたから。土下座で飯食うてるって、すごい仕事ですよね(笑)。

 香川さんには「モノマネはどんどんやってください」とも言われています。ほんと感謝しかないですね。

――モノマネに関して、誰かにアドバイスをもらったりしましたか?

 演技指導だとか、モノマネの心得みたいなものは、松村邦洋さんに教えてもらいました。松村さんも半沢モノマネをしているので、自宅に呼んでいただいて、一緒に半沢のビデオを見ながら色んなアドバイスをしてもらいました。松村さんって、モノマネへの取り組み方がすごいんですよ。

 テレビで共演させてもらったこともあるんですが、楽屋に入る前から、ずーっと練習しているんです。もちろん楽屋の中でもずっと。しかもMAXで。これには驚きました。

 朝10時からリハーサルでしたが、もうその時には完璧に仕上がっている。もうリハーサルのレベルじゃないんですよ。逆にディレクターから、「ちょっと抑えてください」って言われるくらい。それまでの自分は、単にセリフを頭に入れるくらいだったので、今思うと、非常に甘えていたなって痛感しましたね。


●「僕らはプロ」過激な企画で「芸人かわいそう」は違う

――半沢直樹の反響も大きいですが、「水曜日のダウンタウン」で放送されたオードリー春日さんとの我慢対決も話題になりました。50度を超える熱湯風呂に入ったそうですね。なぜ、そこまで身体を張るんですか?

 シンプルに、そういう仕事が大好きだからです。最近、テレビでちょっと過激な企画が放送されると「芸人がかわいそう」「芸人はディレクターに逆らえないんだ」みたいなことをおっしゃる方がいます。

 皆さん、どうか勘違いしてほしくないんですが、それは、違います。

 僕らは、こういう危険な仕事があるのをわかった上で、芸人をやっているんです。

 今回、熱湯風呂に入りすぎて肌が紫色になりましたし、足つぼマットで足がパンパンに腫れちゃいましたけど、逆に良い演出になったと思っているくらいなんです。「よっしゃ!ここまでやった!」っていう、もう男の勲章。もちろん、学生とかには真似してほしくはないですけどね。

「なんでそこまでするんですか?賞金もないのに」って聞かれたこともあります。たしかに賞金もありませんが…目の前に「勝つか、負けるか」っていう勝負を出された時に、単純に「負けたくない」っていう気持ちが強いだけ。ただ、それだけなんですよね。

――もし、もう一度、同じ仕事が来たらどうしますか?

 即答で「やります」と答えます。繰り返しますが、僕らは小さい頃から、こういう危険なお笑いを見てきて、それをやりたくて、この世界にいるわけなんで、それは理解してほしい。

 それに、ちゃんとギャラも、もらっていますから。もし、ノーギャラだったら問題でしょうけど、ちゃんとギャラも発生していて、僕らはプロとして、プライドを持って、身体を張っているんです。「芸人がかわいそう」は違う。

 それを言われると、逆に僕らはどんどん追い込まれてしまう。こういう身体を張った企画で、飯を食ってる芸人もいるってことを知ってほしいです。

●一時は「引退」も考えた、人生の分岐点

――安田大サーカスは、来年20周年です。クロちゃんとHIRO君は元々お笑いをやるつもりはなかったと聞いていますが、結成当時は大変じゃなかったですか?

 めちゃくちゃ大変でしたね。組んだ時点では、2人とも漫才なんてほとんど見たこともなかったですから。

 ネタを作っても、2人とも全体の流れを覚えられないから、単語帳を渡して「とにかく自分のセリフだけ覚えてこい」っていうようなところからのスタート。そこまでしても「セリフを言うタイミングがわからない」とかも言ってくるので、「俺が背中を押したら喋れ」みたいなことをやってみたり…。2人とももうロボットみたいな状態でしたね。

――これは「無理だ」とは思いませんでしたか?

 厳しいなとは思いましたけど、僕も年齢的に30歳目前でしたし、これがラストチャンスって思っていましたから、こいつらをとにかく何とかするしかないと。だから、練習も、朝から晩までやりました。

(所属事務所の)松竹芸能って、放送作家や社員さんに自分たちのネタを披露する「ネタ見せ」っていうのが週1回あるんですけど、それに1日に何度も足を運んだりもしました。たぶん、1日にそんなに何度も行く芸人なんて当時いなかったと思います。作家さんには「お前ら、また来たんか?(笑)」とかって言われたりもしましたね。

 だから、最初、2人とは衝突ばかりでした。クロちゃんもHIRO君も、それまで自由に生きてきて、誰かに制限されたことなんてなかったと思うので、つねにギスギスしていましたね。ひどい時は、殴り合いになったこともありました。

――殴り合い…壮絶ですね。そこから先は順調でしたか?

 結成してわりとすぐに、テレビの仕事が決まったりもしましたが、余裕はなかったです。もう戸惑うばかりで、ディレクターの指示にただ従うだけでした。たぶん、あの頃が、いちばん不安で仕事が楽しくなかった時期かもしれません。

 当時は、とにかくクロちゃんとHIRO君をたてなくちゃいけないって考えていましたし、僕の役割は「説明書」みたいなものだと思っていました。ただ、そのうち、僕の役割なんかなくても、その時のMCのフリで、2人がボケれるようになると、自分の居場所がなくなったような気もしたりして…仕事をいくらこなしても楽しくなかった。一時は本気で「もう、やめようかな」って考えたりもしました。

 でも、僕がたった一人で喋るだけの「漫団超」っていうライブを始めてからは、そんな不安も消えていきましたね。当初は新宿の小さな劇場でお客さんも100人以下だったと思いますが、これが、すごいウケたんですよ。とにかく楽しかった。

 元々僕はしゃべくり漫才がやりたくてこの世界に入ったので、やっぱり自分の喋りで笑いをとるって気持ちいいなと。「俺って、やっぱりお笑いやりたいんやな」って、改めて気づけた瞬間でした。



――いろんな経験を経て、現在の3人の関係性に変化はありますか?

 2人がどう思っているのかはわからないですけど、僕は3人でいるのは純粋に楽しいです。昔は、あんなにムカついていたのに不思議ですよね。

 3人での仕事は昔に比べて随分減りましたけど、定期的にちゃんと会っています。3人でいると、僕がすごい絡んでいくので、2人は「うざいなー」と思っているでしょうね(笑)。2人とも全然喋ってくれないから寂しいんですよ。僕は3人だけでご飯行ったりもしたいのに…。

 昔は、クロちゃんの相談にのったりしたこともあるんですよ。松竹芸能で打ち合わせした後に、クロちゃんと一緒に歩いて家に帰ったりもしました。ディレクターや社員の悪口、先輩の愚痴とか、ああだこうだ言いながらね。

 今でも、そういう相談してくれたら、僕はすごくうれしいんですけどね(笑)。

――最後になりますが、今後の目標を教えてください。

 安田大サーカスは来年20周年なので、やっぱり全国ツアーをやってみたいですね。でも、たぶんクロちゃんは嫌がるでしょうねー(笑)。HIRO君も絶対「やりたい」とは言ってくれないんですよ。いつも「別にいいっすよ」みたいな軽い感じで返してくるので、なんか僕が無理やり付き合わせているような雰囲気になるんです。

 そんな感じでやるのは嫌や!って、いつも言うんですけど、まあ僕がいつもこんな感じでうるさく言うから、アイツらも面倒くさくなるんでしょうね(笑)。

 3人で何かをやることで、特にメリットっていうのは現時点では見えてこないですけど、それはやってみないと分からない。やったことが実を結ぶし、やらなければ何も実を結ばない。0.000001%でも、何か可能性があるのなら、もう一度3人で挑戦してみたい。

 僕は、3人が合わさった時の面白さに、いちばん可能性を感じていますから。

(聞き手・構成/AERA dot.編集部・岡本直也)

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