「三振しない」男…止まらぬオリックス・吉田正尚の進化

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2020年09月08日 12:04  ベースボールキング

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ベースボールキング

オリックス・吉田正尚
◆ 291打席で喫した三振はわずか16

 オリックス・吉田正尚選手のバットから快音が止まらない。9月5日の楽天戦で1994年にイチローが記録した23試合連続安打に並んでいた吉田は、9月6日に行われた同カードの第1打席で二塁内野安打を放ち、自身の連続試合安打記録を24試合にあっさりと更新。レジェンドを抜き去ったことが大きな話題となっている。

 打率は「.379」となり、首位打者争いでは打率.348で2位の近藤健介(日本ハム)を大きく引き離して独走体制に入った。もちろん、これだけの安打を量産していること自体がすごいこと。ただ、よくよく成績を振り返ってみると、今季の吉田のすごさはまた別の点にもある。

 それは、とにかく「三振しない」のだ。吉田はここまで291打席に立って喫した三振はわずかに「16」。これは異次元レベルの数字といっていい。ここで、「何打席にひとつ三振をしているか」を表す指標である「PA/K」を見てみる。

【2020年パ・リーグ「PA/K」ランキング】※規定打席以上
1位 吉田正尚(オ) 18.19(291打席/16三振)
2位 鈴木大地(楽) 9.72(311打席/32三振)
3位 小深田大翔(楽) 8.44(211打席/25三振)
4位 近藤健介(日) 6.92(270打席/39三振)
5位 源田壮亮(西) 6.42(289打席/45三振)

 吉田の「PA/K」は18.19。2位の鈴木大地(楽天)が9.72だということを思えば、まさにぶっちぎりの数字である。三振が少ない打者というのは選球眼がいいことが多いが、いわゆる早打ちのために結果として三振が少ないというケースもある。しかし、吉田の場合はリーグ5位の46四球を選んでいるように、後者にはあてはまらない。


◆ さまざまな力を兼ね備えた、球界屈指の「嫌な打者」

 また、「PA/K」は、どちらかというと長距離砲ではなくバットコントロールに秀でた巧打者タイプの選手が上位になる傾向にある。先のランキングを見ても、鈴木の他、3位の小深田大翔(楽天)、4位の近藤、5位の源田壮亮(西武)と、やはり長距離砲ではないタイプの選手が並んでいる。

 そのなかにあって、吉田があれだけのフルスイングをしながらダントツの数字を残していることは驚異的だ。吉田は、イチローを抜き去ったその試合で10号、11号の本塁打をマークし、ルーキーイヤーから5年連続で本塁打を2桁に乗せた。もちろん、吉田の本来の力からすれば、「もっとホームランを打ってほしい」と期待する声もあるだろう。ただ、吉田は現時点でもすでにモンスター級の打者だ。

 きっちりボールを見極めて四球を選び、ひとたびバットを振れば高確率で安打を放ち、打球をスタンドに放り込む力もあり、かつほとんど三振をしない。対戦相手からすればこれだけ嫌な打者もそうはいないだろう。

 それは今季の故意四球「11」という数字にも表れている。同2位の柳田(ソフトバンク)で「6」ということを考えれば、チーム事情も関係するものの、それだけ相手にとって嫌な打者ということだろう。

 吉田は現在27歳。プロでの経験を重ね、野球選手として脂が乗りはじめる年齢だ。これからどんな打者に進化していくのか、吉田のバットから目が離せない。


文=清家茂樹(せいけ・しげき)

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