トータルテンボス藤田の「ハンパねえ!学童野球」|#1 紹介したいチーム

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2020年09月10日 12:12  ベースボールキング

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ベースボールキング

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どうも!初めまして!
吉本で漫才師をやっているトータルテンボスの藤田です。
この度、ヤキュイクさんでコラムを書かせていただく事になりました。

何でコイツなの?
お前、高校野球好きなんじゃねぇの?
など、色々お思いのところはあるでしょうが、実は私、学童野球を頑張っている息子のパパという側面もありまして。
息子の活動を支えながら学童野球の素晴らしい側面、はたまた「なにその文化?」など、思った事を色々と綴っていこうと思います。

今回が記念すべき第1回目となるのですが、まずは私の球歴からザックリと。
学童ー中学軟式野球部ー高校野球部。
以上でございます。

ザックリすぎますね。
もっと詳しく!という方は世の中色んなモンがネットで調べられるのでググってくんさい。

学童野球は子ども達が主役です!
もう一度伝えます、「子ども達」が主役です。

「大人」が主役になっていませんか?

「ドキッ!」とした指導者がいてほしいですねぇ〜。
わらべ達がメインなんですよ、学童野球って。
子どもの為の野球なんですよ!
大人のエゴの為に利用するカテゴリーじゃねぇんスよ!

そんな学童野球に対する様々な気持ちを、これからコラムで綴っていきたいと思っています。

今回はあるチームを紹介したいと思います。
多賀スポーツ少年団の辻監督など仲の良い指導者さん達も結構いますが、今更俺が紹介しなくてもその名は轟いてると思うんで、今回は全国的には無名だけど、素晴らしい指導をしているチームを紹介したいと思います。
そのチームの名は、静岡市清水区にある「清水リトルモンキーズ」(略して「リトモン」)です!

静岡の港町、清水。
高校サッカーで全国制覇経験のある清水商業(現清水桜ヶ丘)、清水東などがあり、サッカー王国として有名な街ですね。

ですが、実は野球処でもあるのです!
上に挙げた2つのサッカー強豪校も、実は甲子園出場経験がある学校だったりするんです。

そのリトモンで指揮を執るのは俺と同い年の杉山監督。
杉山監督は名門静岡高校でキャプテン、中央大学では副キャプテン、卒業後は軟式の静岡ガスで活躍した硬・軟共にスペシャリストな監督さんです。
大学の同期は東東京の雄、関東一高で指揮を執る米沢監督、4年の時の1年は読売ジャイアンツの阿部慎之助二軍監督です。

そんな杉山監督率いるリトモンですから、さぞや凄い選手がゴロゴロいると思いきや.....
人数もそこまで多くなく、女の子もいるし、動きの拙い下級生もたくさんいました。
6年生はさすがにキビキビとしていてソツの無い動きをしていましたが、下級生の頃はキャッチボールもまともに出来ない子が何人もいたそうです。



リトモンは、楽しさをメインにしてはいますが、楽しさだけを求めるアットホームなチームではなく厳しさも伝えています。
プレーに対して怒る事はしませんが、人としての基本的な事ができないと注意が飛びます。

【野球をやる目的:リトモン五原則】

1.大きな声で挨拶や返事をする。
2.仲間を大切にする。
3.道具を大切にする。
4.時間を守る。
5.約束を守る。

この五原則を練習最後の挨拶の時に唱和します。
「野球が上手くなりたいなら人間を磨きなさい」という杉山監督の方針です。





さて、気になる練習方法ですが、めちゃくちゃ実戦的な練習なんです。
まずはお決まりですが、全員で順番に掛け声を掛けてそれを1人ずつ廻しながら声を出しながらのランニング。

「野球部ってみんなで歩調合わせて声も合わせてグランドランニングするけど、アレって意味あるの?」
と、野球にまったく興味のないウチの嫁に聞かれました。

そういうもんだし、どのチームもやってるし、ましてやヤレって言われたし......

今まで疑問にすら思ってなかった事を聞かれて答えに困りました。
なのでと杉山監督に聞いてみました。

「ランニングはいきなり運動に入ると怪我のリスクがあるからやっています」

では、歩調合わせるのは?
「年も違うし、性別も違う子もいる、ましてや性格なんかはバラバラ、でもチームとしては1つにならなければいけないので協調性の練習の為に合わせさせています」

じゃあ、声は?
「キャプテン1人でリードの声を出して他が合わせる事を言うのでは無く、1人ずつ回していく事によって走る辛さを散らすのもあるし、順番の為の準備もしなければならない。ましてや繋いでいくものだから野球の要素が凄く詰まっているのでやらせています」

ハンパねえ!
同い年なのに完璧やん!



そこから準備体操に入りキャッチボールへ。
これが、またまたすんごく合理的な練習でして、最初は肩幅に開いた足を動かさずに上半身だけで何球か投げて、その後に前後に足を広げて体重移動を意識して何球か投げるんです。
そこからやっと普通のキャッチボールへ。

それが終わると2人組から3人組へ。
縦に一列になり、始点の子が真ん中の子へワンバン送球、それを捕った子が奥の子へノーバン送球。
奥の子は始点の子と同じくワンバン送球。
これを2球ずつやった後にポジションの入れ替えで3人分。
それが終わると同じ縦一列から、今度は始点の子が奥の子に遠投。
奥の子は真ん中の子にノーバン送球、真ん中の子は始点の子にノーバン送球。
これを3球ずつやりキャッチボールは終了。

これだけで、正しい投げ方、キャッチボール、中継、遠投、全部でけた!

その後は内野手はフィールドに集まり各ポジションへ行きボール回しへ。
一通り終わるとまた「?」な練習へ。
各々のポジションのベースの前にボールを1つずつ置くではありませんか。
疑問のまま見ていると普通にキャッチャーからボール回しが始まりサードへ送球、サードはキャッチでセカンドへー

行かない......。

サードはキャッチしたボールを適当に下へ投げ、最初に置いてあったボールをセカンドへ。

何コレ?

監督に聞いたところ「エラーする前提で焦らないで冷静にさせる練習」なんだと。

いや、もうすげぇな!

そしてボール回しのシメはいわゆるバスケットのランパスをダイアモンド内でやり終了。
これって後はフライとゴロで終わりじゃね?



こんな感じで、子どもたちが実戦でテンパらない為の効率の良い練習が守備編、打撃編と続きました。

リトモンの練習を観終わって、どの子も休憩の時は子どもらしい笑顔が出ますが、実際にプレーになると真剣な顔つきになりオンオフのメリハリがとてもついていました。
杉山監督は昔からある野球の悪い所は削ぎ落とし、良い所は取り入れて今の子ども達にも合う新旧入り混じったミクスチャーハイブリッド指導をしていました。

今の時代、旧態依然とした昭和の指導は子どもの気質も変化しているので合いません。
かと言って子どもに甘くしすぎていたら教育にもなりません。
最高の楽しさとスポーツをやる上での厳しさのバランスが大切だと思っています。

それではまた次回!



▼「清水リトルモンキーズ」
http://www.playball.jp/monkeys/

▼プロフィール
藤田憲右(ふじた けんすけ)
吉本興業所属のお笑いコンビ「トータルテンボス」のツッコミ担当。静岡県御殿場市出身。高校時代は野球部のエースとして3年夏の静岡県大会で2試合連続1安打完封勝利も記録。人気バラエティ番組「アメトーーク」(テレビ朝日)の人気企画「高校野球大大大好き芸人」で披露した高校野球への愛情、造詣の深さは全国の野球ファンの間でも有名。2016年には「ハンパねぇ!高校野球」(小学館よしもと新書)も執筆しており、全国の野球指導者、選手との交友関係も広い。現在は息子の学童野球を応援する傍ら、色々な学童野球の現場を見て周り様々な情報発信や問題提議なども行っている。8月21日からamazonで配信されている「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」シーズン8にも出演中。
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