【コラム】 感覚を研ぎ澄ます 暗闇のエンターテインメント

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2008年10月01日 11:13  よりミク

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よりミク

 たった一筋の光さえ射さない完全な暗闇の世界。もしもそんな状況に一人で置かれたなら、誰しも少なからず不安を覚えることでしょう。自分の手足すら見えず、上下左右もわからなくなってしまうほどの闇を、あなたは体験したことがありますか。
 ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下DID)は、そんな暗闇をエンターテインメントとして体験できる展示会です。日常生活のさまざまなシチュエーションを織り込んだ真っ暗な空間を、視覚以外の感覚をフルに使って探索してゆきます。DIDの暗闇はどんな夜よりも深く、長時間の探索中も、決して目が慣れるということはありません。その深さは、まるで自分自身が闇の中に溶けだしてしまったのではないかと、錯覚するほど。
DID ロゴ
DID ロゴ
 暗闇の探索は複数人のユニットで進めてゆきます。しかし、暗闇の初心者ばかりでは迷子になるのも必至。そこで頼りになるのが「アテンド」と呼ばれるガイドさんたちです。彼らは普段から目の不自由な状態で生活している、いわば暗闇のエキスパート。その声を道しるべに、文字通り果ての「見えない」暗闇をさ迷う中で、さまざまな体験をしてゆくことになります。杖と靴裏で地面の感触を確かめながら橋を渡り、階段を上って進む道のり。足元に踏みしめる土や落ち葉の感触、吹き抜ける風に森を感じるシチュエーションもあるかもしれません。遠くに水音が聞こえれば、そこには小川の流れも想像することができるでしょう。
 視覚を奪われた状況では、それ以外の聴覚や嗅覚、触覚などといった感覚がひときわ鋭敏になります。情報量の少なさをカバーするため、ユニット内でも声のトーンや空気感だけで意思の疎通を図るようになり、自然と連帯感も生まれてくるのです。また、暗闇の中では、いつもより素直に話せたりすることに気付くかもしれません。それは暗闇の生み出す心理的な効果。行程にはバーでドリンクを飲みながらユニットの仲間たちとひとときの会話を楽しむ、なんてイベントも含まれています。どこまでが自分で、どこからが闇なのか、その境界さえあやふやになる暗闇では、他人だけではなく、自分自身との対話も経験することになるでしょう。
DID ハンブルク常設会場
DID ハンブルク常設会場
「対話すること」それは、この催しにとって大きな醍醐味のひとつです。DIDのテーマには、すべての人が対等に対話できる機会を作る、というものがあります。何もかもを隠してフラットにする暗闇は、立場や年齢、性別などの違いを超え「こころのバリアフリー」を感じられる機会を作り出すことができると考えているのです。
 昨年のDIDは、東京・赤坂のとある廃校で開催されました。そのときの副題は「学校の放課後〜冒険編〜」。見えない中でキャッチボールをしたり、音楽室で楽器を鳴らしたり、用務員室でお茶を飲んだり、随所に学校を感じられる演出が施されていたのが特徴です。今年の開催地は東京・青海の日本科学未来館。期間は10月2日から18日まで。
DID ヨーロッパ
DID ヨーロッパ
 既に海外ではヨーロッパを中心に19か国で開催され、200万人以上が体験しているDID。日本でも99年から毎年開催されてはいますが、不定期のため体験する機会は限られてしまっています。10月の開催に関してはチケットも完売し、キャンセル待ちのみの状況。ですが、常設展示へ向けての動きも進められているので今後に期待したいですね。未知のドキドキが待つ真っ暗闇の探索。その経験は、きっと感覚をアップデートしてくれることでしょう。世界を真新しい感性で捉えなおすこともできるかも知れませんよ。(編集・執筆/mixiニューススタッフ)
■関連サイト Dialog in the Dark Japan:http://www.dialoginthedark.com/ DIDリリースネット:http://groups.yahoo.co.jp/group/dialog-release/ ※上記サイトでメーリングリストに登録していただければ、次回の開催や、チケット発売などのご案内をいたします。
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