詐欺アプリに引っかかった…『フォートナイト』泥仕合訴訟で思い出す苦い過去

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2020年09月17日 16:02  日刊SPA!

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写真迂闊にクリックすると知らぬ間に……(画像はイメージです)
迂闊にクリックすると知らぬ間に……(画像はイメージです)
文/椎名基樹
◆App Storeには苦い思い出が……

 スマホなど各種デバイスで累計3億5000万人のプレイヤーを誇る人気ゲーム『フォートナイト』がこの8月13日にアップル、Googleのアプリストアから突然削除された。アップルやGoogleは、アプリ配信の手数料として30%を徴収している。この手数料はアプリ内での課金にも発生し、そのいわゆる「アップル税」を不服としたフォートナイトを運営するエピックゲームは、ゲーム内に独自の決済システムを実装。と同時にアップル側に手数料の値下げを要求した。アップル、Googleは即座に反応。フォートナイトをApp StoreとGoogle Playから削除した。エピックゲームはさらにこの件に対し提訴し、泥仕合に発展している。

 App Storeには苦い思い出がある。数年前、約半年間にわたって、私のメールに毎月2000円余りを受け取ったとする領収書が届いていることに気がついた。ちょうどその頃、私はメアドを変更し旧メアドに、そのメールが届いていたので、長い間気がつかなかったのだ。さらにメールにはApp Storeを装ったスパムメールが多数送信されてきていて、私は、最初その領収書メールもスパムメールだと思ってしまった。電子メールは無法地帯と化してしまい既に通信機器として機能しなくなりつつある。

 そのアプリについて私はほとんど記憶がなかった。ダウンロードしたものの、あまりのクソアプリぶりにすぐに削除したようだ。それは、イラスト作成用のアプリで、立ち上げてもほとんど何もできなかったことを、領収書の名目を見て思い出した。有効な機能は持たず、ただの「タイトル画面」でしかないそのアプリは、ダウンロードした途端にサブスクの契約が結ばれる、詐欺まがいの商品だった。

 驚いてアップルのカスタマーセンターに電話した。アップル側は規約をよく読まなかった私の責任だと言う。それに対し私が「もちろんその通りだ。私が悪いし自己責任だ。だがあなたたちもこのアプリの収益から何%か得ているんでしょ?」と言うと、即座に「○○%の○○円だけ払ってください」と言う。それが何%だったか覚えていない。もしかしたらアップルの取り分の30%だったのかもしれない。いやお金の話だ、憶測でものを言ってはいけない。間違いないのは、私がゴネなかったら全額支払わされていたこと。ゴネたら即座にまさにマニュアル通りに金額の提示をしてきたということだ。悔しかったが、もう面倒なのでその金額で手を打った。

◆アプリストアは“ゴッサム・シティ”に変わっていた

 詐欺に遭うなんて私は間抜けだ。しかしアップルのアプリストアは私が始めた頃は非常に牧歌的で、高性能のアプリは少なかったが、詐欺まがいの商品が出回るような市場ではなかった。知らない間に状況が変わっていた。ペンギン村はゴッサム・シティに変わっていたのだ。自己弁護するとペンギン村時代を知る私が騙されるのも無理もない。

 それにしてもどうして私は自分の趣味と、あまり合致しないアプリを、ダウンロードしたんだろうと思った。記憶をたどっていくと、このアプリはFacebookの広告に誘導されてダウンロードしたことに気づいた。そしてFacebookに掲載されるアプリの多くはダウンロードした途端にサブスク契約が結ばれてしまうタイプが多いことにも気づいた。広告に書いてあることをよくよく読むと、実に小さな文字でその旨が書いてあるのだ。

 アプリストア内に詐欺まがいのアプリが横行する状態とFacebookに悪質な商品に誘導する広告が氾濫する状況は、現在ではほとんど改善されていると言う。それも当然だ。あの状況を放置したままにしておけば、アプリストアは電子メールのように荒れ果てて「オワコン」と化してしまうだろう。そうなれば損するのはアップルでありGoogleである。とは言ってももう油断はできない。迂闊な1-Clickで直接財布の中に手を突っ込まれてしまう可能性があるのだから。



◆広告は「クール」じゃないって言ってたのに……

 映画『ソーシャル・ネットワーク』ではザッカーバーグがFacebookから広告を排除することにこだわる様子が描かれる。広告は「クール」じゃないからだ。「私たちのメディア」であるからこそクールだとザッカーバーグは主張する。しかし現在では広告だらけであり、過去には私が引っかかったような詐欺まがいのものが横行していた。映画で描かれた事はまるっきりの大嘘だ。

 インターネットは当初、いや今でも「私たちのメディア」のように語られることも多い。旧メディアを「オワコン」と叩けば自分が進歩的な人間に見られる。しかし結局、SNS等の無料メディアのビジネスモデルは広告収入でしかない事は旧メディアと変わらなく、その広告は非常に油断ならない。検索履歴が直ちに反映され「あなたの欲しいものはこれでしょ?」と語りかけてくる。押し売りにストーキングされてるようだ。Facebookのカネのなる木は収集した個人情報である。

 ゲーム会社の不満を見ても、アップルの私に対する対応を見ても「私たちのメディア」は旧メディアよりもさらに権威的で道徳心を欠くように思える。

 ただ現在の「私のエンタメメディア」のスリートップは、Spotify、Netflix、DAZNだ。かなりの本を読むが、快適なので、アマゾンペーパーホワイト以外で読書する気になれない。

【椎名基樹】
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記〜できれば強くなりたかった〜』を連載中

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