「トイレは1日40回」潰瘍性大腸炎の俳優、“忍者”になって壮絶な闘病から復活

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2020年09月18日 07:30  ORICON NEWS

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写真闘病中の井澤こへ蔵さん(写真:本人提供)
闘病中の井澤こへ蔵さん(写真:本人提供)
 安倍晋三元総理の辞任理由ともなり、あらためて注目を集めた『潰瘍性大腸炎』。難病指定されたこの病気は、大腸の粘膜にただれや潰瘍ができる炎症性疾患で、寛解までに時間がかかるとされている。現在、俳優活動を行う26歳の井澤こへ蔵さんも、その患者の一人だ。家から出られなかった闘病時、復活のきっかけとなったあるバイトとは? 病気を経験して感じた、今の思いも聞いた。

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■21歳で発症、「1日40回くらいトイレに行きました」

――潰瘍性大腸炎は若年層も罹患しやすいそうですが、発症したときのことを教えてください。

 「発症したのは21歳、大学3年の12月でした。友だちと一緒に遊びに行ったときにトイレに行ったら、血で真っ赤になって…。めっちゃビビりなので、すごく驚きましたね。その日は市販薬を飲んだだけだったのですが、翌日に近くの市民病院で整腸剤を出してもらいました。でも、1週間以上経っても全然良くならなくて。もう一度その病院に行き、内視鏡検査を受けたところ、潰瘍性大腸炎だと判明しました」

――症状としては、どんな感じでしたか?

 「発症した当初は、血便と身体のだるさくらいで熱もなく、正直それほどひどくなかったんですよ。処方された薬をしばらく飲んでいたら血便も止まったし、お腹にも効いているようなので、薬をやめたいなと思って。本当は一生飲まないといけないんですが、病院の先生には内緒で、少しずつ薬を減らしていきました。それで寝る、動く、食べるという基礎的な生活を見直していたら、だんだん良くなって。その状態が10ヵ月ほど続いたので、もう治ったと思っていました」

――でも、治ってはいなかった?

 「はい。翌年の夏にまた体調を崩してしまい、そこで初めて入院しました。そのときが一番しんどかったですね。下痢と血便が続いて、40度くらい熱が出て何日もおさまらない。トイレに行く回数が尋常じゃなく、1日40回くらい行ってました。ベッドとトイレの往復ですよね」

――そのとき、大学はどうされていましたか?

 「大学4年の前期までは学校に通っていたのですが、そこから1年間休学して、ほぼ家にいて治療していました。入院した頃はちょうど休学中でしたね。大学3年で就活を始めようかという矢先に、病気になってしまいました。一応活動はしましたが、結局そこで就職はしていません」

――就活中はかなりしんどかったのでは?

 「お腹が壊れて、1年くらいまともに外に出られなかったですからね。パニック障害のような状態にもなりました。やっぱりお腹が緩いから、『外に出て急にお腹が痛くなったらどうしよう』と不安になって。ひどいときは、家にいるときでもちょっとした発作が起きていました。その頃、父は単身赴任、弟は大学で家にいなかった。母は昼間パートに出ていたので、その間は家に僕一人なんです。それが10ヵ月くらい続きましたが、あの時期は寝ているだけで何もできなかったです」

――それは大変でしたね。その後はどうやって復活したんですか?

 「あるとき、友だちから『最近、何してる?』と連絡をもらったんです。『何もしてない』と答えたら、『じゃ、忍者やってみる?』って。その人、和歌山城で忍者のバイトをしていたんですよ。外に出るのは正直怖かったし、しんどかったけど、「ここで外に出ないと自分は終わる」と思い、僕は忍者のバイトを始めました。でも、それが良かったみたいです。僕はもともとしゃべることが好きなんですが、あのバイトは観光客の方たちとすごくしゃべる機会があって。そのうちに、だんだん体調も回復してきました」

――忍者のバイトが回復に役立ったとは、意外ですね。そして今は、薬を飲んでいないそうですが。

 「はい。この10月で薬をやめて丸3年が経ちますが、とくに支障なく暮らしています。ただ、本当は一生、薬を飲み続けなければいけない病気だと言われているんですよね。ただ僕はいろいろと調べて、僕に合う治療をしてくれる先生と出会いました。もちろん、薬を飲まないことが誰にでも効果的とは言えないでしょう。その人の症状や体質に合った治療をしていってほしいとは思います」

――現在は俳優として、劇団『なにわニコルソンズ』に所属しているそうですが、そのきっかけは?

 「もともと俳優への憧れはあったんです。あるときSNSを見て、高橋メアリージュンさんが自分と同じ病気だと知って勇気をもらい、「僕もそっち側にいきたい」と思いました。それで病状が少し回復し始めてから、俳優としての活動を始めたんです。

――メアリージュンさんもそうですが、先日辞任された安倍総理も同じ病気でした。

 「そうですね。安倍総理はたくさんストレスを抱えていらっしゃっただろうと思うので、ゆっくり治療に専念してほしいと思っています。ただ、安部さんの一件で『潰瘍性大腸炎』がトレンドに乗って、広く認知されました。僕のTwitterでも、同じ患者さんなのか、その家族の方なのか、すごくフォロワーさんが増えたんです」

――やはり、広く知ってもらうことは大事なことだと思いますか?

 「はい。僕らの病気は見た目でわからないけど、この症状はとてもつらいし、日常生活を送ることすら大変。この病気が認知されることで、『そういう人もおるんや』と知ってもらえるだけでもうれしいし、周りに患者さんがいたら、少しでも気遣ってもらえたらなと思います」

■活動を通して勇気を与えたい…、「これは自分の使命」

――病気になってから、何か心境の変化はありましたか?

 「病気になる前は、『普通に就職して、楽しく生活できたらいいな』くらいに思っていました。でも病気になって、ずっとベッドの中で考えることしかできない時期があって、考えが変わったんです。同じ病気の方々に、自分の活動を通して少しでも勇気を与えることをしていきたい。今では、『これは自分の使命なのかな』と勝手にと思っていますね(笑)」

――今後の活動を教えてください。

 「現在、『なにわニコルソンズ』ではオンライン演劇をメインに行っています。それとは別に、僕は今、ある作品のオーディションを受けていて。もし通ったら、自分のルーツを舞台や映画にする作品に出演できるチャンスがあるので、頑張っているところですね。今の僕のコンセプトは“挑戦”なので、やりたいことはやってみる。それを通して、皆さんに何かを伝えられればうれしいです」

※この記事は個人の判断で投薬を中止することを推奨するものではありません。医師の判断のもと、症状に合った適切な治療を受けていただくことをお勧めします。

このニュースに関するつぶやき

  • 潰瘍性大腸炎共にクローン病も同じく。クローン病は口から肛門まで炎症症状が繰り返え起きる事だが…食べられないといった悲観するべきでもないが…3密を避け過ごす・ストレス・香辛料類を避ける事を頭に入れておく
    • イイネ!1
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  • この病気に罹った人しかわからない辛さがよくわかります。先日コミカルな漫画で潰瘍性大腸炎の実話を描いた人の話もわかりやすかった、笑ったけど。「ゲリゾーの糞が臭い」などけなす奴は心底唾棄する。
    • イイネ!12
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