【高橋ダン】“勤勉”が強みは過去の遺産? 日本人はなぜ“勉強”しないのか?

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2020年09月18日 11:40  ORICON NEWS

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写真プロ投資家でYouTuberとしても注目を集める高橋ダン氏 (C)oricon ME inc.
プロ投資家でYouTuberとしても注目を集める高橋ダン氏 (C)oricon ME inc.
 日本人と言えば「勤勉」「勉強が好き」というイメージを持っている人は少なくない。だが、ある統計を見ると、その像がまったく覆されてしまう。トレーダーとして米・ウォール街で活躍していたプロ投資家・高橋ダンは「日本社会のインセンティブシステムが良くない」と看破。果たして外国と日本、その“勉強”の仕方にどんな違いがあるのか?

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■日本が大国の仲間入りを果たしたという誇りは、既に過去のモノ

 最初に見たとき、とにかく僕は驚きました。2016年に発表された「Education at a Glance(教育一覧)」と日本の「平成28年度学校基本統計」で、2014年度の25歳以上の短期高等教育機関(短大・専門学校)への入学者の割合が示されていたのですが、日本は、先進国で一番数字が低かったのです。1位はスウェーデンで54.2%、次いでニュージーランドが52.7%。3位はドイツで46.3%。ノルウェイ、オランダと続いていきますが、日本の割合はわずか4.6%。これはメキシコやルクセンブルグより低い数字です。

 僕は日本人と言えば“勤勉”だと思い込んでいた。“勉強”も好きだと。ですが、この数字を見ると、大学を卒業して社会人になった日本人が、再び教育機関に入学するというケースは稀のようですね。

 なぜこんなことになってしまっているのか考えました。日本の労働時間は世界でもかなり長い。つまり、単純に学ぶ時間がないのではないかと。このデータは僕のTwitterにもアップされているのですが、そこにある日本人からこんなリプライがありました。「日本は残業が多くて勉強する時間がない」「成果より残業を長くしている人が評価されるシステムがあるから」「残業代が出るから無駄に残業をしている人がいる」と。

 日本のすべての企業がそうではないでしょう。ですが、中でも「成果より残業を長くしている方が得」という指摘は大問題だと思いました。残業をしている方が上司からの評価が上がる、会社のシステムとして残業代が出る。だから無駄に残業する…この労働環境のせいで、日本人が新たに資格を取ったり、会社がそれをプロモートするモチベーションがなくなってしまっている。ただ奴隷のように、長く働いてお金をもらうというのは、僕から見ればあまり効率的ではない。

 会社のために、或いは、家族を養おうと残業代を得るために“働く”というのは、なるほど、“勤勉”であるとも言えるかも知れません。ですがこの価値観は、高度成長時代だからこそ成り立っていたもの。戦後、すべてが壊された日本はとにかく作り続けるしかなかった…。でも今はもう“戦後”ではない。勤勉さをアイデンティティに戦後復興を遂げ、大国の仲間入りを果たしたという誇りは、既に過去のモノと見るべきです。過去の成功体験を引きずって社会を変えてこなかった結果、“失われた30年”が続いていると僕は考えます。

■ 勉強という“行為”にのみ美徳を見出し、「何故勉強するのか?」に重きを置かない日本人

 さて、ここで疑問が浮かぶでしょう。では、スウェーデンやニュージーランド、ドイツ、アメリカなど諸外国の人たちは日本人より“勉強”が好きなのか。

 答えは「NO」だと思います。僕もハッキリ言って勉強は嫌いです(笑)。嫌いでしたけど、アイビーリーグ(ハーバード、イェールなど8校。アメリカンエリートの象徴)に入るために仕方なく勉強を始めました“エンドゴール”があるから勉強が出来る…これは万国共通ですが、僕にとっては、アイビーリーグに入ることはあくまでも通過点であり“エンドゴール”ではない。でも、日本の場合は“エンドゴール”が“大学入学”になってしまっているのが問題です。ではアメリカを含め、諸外国はどうなっているのか?

 僕はウォール街出身なのでウォール街の話をしますと、そこでは、会社のために効果を上げるとお金をもらえます。そのプロジェクトベースでボーナスが出ると個人にもベネフィット(利益)が。これは会社のシステムそのものの問題ですが、ウォール街では、効果を上げるために勉強をしたり、資格を取ることを、会社が推奨しているのです。つまり会社を成長させるために、社員に“投資”をしているんですね。

 諸外国の“社会人”はただ勉強が好きなわけではなく、ベネフィット=お金というインセンティブ(動機)があるから、勉強が嫌いでも、勉強をすることが多いと思います。僕は日本の企業は、このインセンティブシステムを整える時期を逃していると思います。先程も言いましたが、日本では残業代がインセンティブになってしまっているところがある。残業代や評価が欲しさに無駄に残業をする。或いは“させている”のか…。

 “勤勉である”という“行為”のみに美徳を見出し、「なぜ勉強をするのか?」に重きが置かれていない。重要なのは「効果を上げること」「その効果に見合ったお金が支払われること」「効果を上げるために勉強すること」。会社・社員双方の“見返り”であり、決して“美徳”ではない! 日本の社会がこのインセンティブシステムを作ってなかったから日本はこの30年、ほとんど成長を描けなかったのではないでしょうか。

■日本はいまだ、大きな可能性を秘めた国であるのは間違いない

 日本人は勉強の、もしくは勤勉の“その先”が見えていないというのは、日本社会をネガティブ面から見た言い方です。では、今度はそれをポジティブ面から見てみましょう。そんな日本人の“性格”から、日本という国家の秘めたる可能性を探っていきましょう。

 日本人は上司から言われたことに対して(諸外国と比べ)、非常に規律を持って、しっかりと従っていきます。いわば“軍隊式”なのですが、この“規律”というのは、投資をする上で非常に重要なことです。慌てて売り買いするのではなく、「波に乗る」という規律に従って取引をする。日本に金融リテラシーの強い上司が増えたら、日本は今後、金融大国として世界をリードしていくのではないか。その強いポテンシャルを日本は秘めています。

 また、自己投資をするなら海外在住を経験するのも手ですね。旅行ではありません。実際に住むことです。出来れば欧米のような、文化や価値観が大きく異なる国がいいでしょう。ここで学べるのは“様々な考え方”。それは今後のあなたの生活や仕事に、大きなベネフィットを生むはずです。日本はどうしても“単一”なところが多いので、“様々な考え”に触れることで、あなたにはそれなりの“価値”が付与されるでしょう。

 具体的にお金になる話では、例えばアメリカならアメリカのトレンドを見ること。ここ数年、日本ではYouTubeが注目されていますが、アメリカでは10年前からかなり流行っていました。アメリカのトレンドは5年遅れて日本に入ってくると言われています。つまり、アメリカに在住してトレンドを学び、そのトレンドが日本で流行る前に、日本に戻って、初期の「波に乗る」。そうすればそのトレンドの先駆者・第一人者になれる可能性が格段に広がるというわけです。

 日本人は“勤勉”です。先述の「日本社会が、効果を上げることに対してのインセンティブシステム」という環境が整い、「海外在住を経験してトレンドの学び」などのきっかけがあれば、その“勤勉さ”で一気に飛躍するでしょう。金融に関してもそう。日本という国は、いまだ大きな可能性を秘めた国だということを、皆さん忘れないでください。

【高橋ダン】
 経済アナリスト・プロ投資家。12歳で投資を開始。米コーネル大学を首席グループで卒業後、ウォール街の名門金融機関・モルガンスタ ンレーに従事し、リーマンショックを経験。その後、独立し、自らヘッジファンドを運用。2020年1月から自身のYouTubeチャンネルを立ち上げ、現在の登録者数は17万8千人。今最も注目を集める若き論客。

(取材・構成/衣輪晋一)

このニュースに関するつぶやき

  • まず、学校に行って机並べて同じ事を学んで〜ってのが嫌いだし、性に合わなかった。日本には飛び級制度が無いし、家庭は壊れてたから他に行き場も無くて。親父の稼ぎが足りず希望の進学先すら自分で選べなかった。
    • イイネ!12
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  • みんな勉強し直したいという。でも朝から夜まで息もつかせぬまま働いて、休日は死ぬほど疲れてる。他国のように失恋して休めるほど甘い国ではない。
    • イイネ!57
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