久保建英も続け。「修業系レンタル移籍」で開花したレアルの先輩たち

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2020年09月20日 11:22  webスポルティーバ

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 近年の移籍マーケットで急増している「レンタル移籍」。主力のケガによる長期離脱など、不測の事態が起きた場合に穴埋めとして代役選手を借りるパターンもあれば、高給取りのビッグネームがフィットせず、クラブの経済的負担を減らすためにその選手を貸し出すパターンもある。




 しかし、レンタル移籍の主流といえば、やはり青田買いした有望な若手を下位チームや他国リーグに貸し出す"修業系"レンタル移籍だろう。主にビッグクラブによくあるパターンだが、現在ラ・リーガで2年目を迎えるレアル・マドリードの久保建英も、それにあてはまる。

 初年度の昨季はマジョルカで経験を積み、今季はビジャレアルにレンタル移籍し、さらなる成長を目標にライバルと切磋琢磨する。「いずれはレアル・マドリードでプレーしたい」。久保はその目標にこだわって、レンタル移籍で修業を積んでいるわけだ。

 同じように、青田買い移籍のあとに修業系レンタル移籍を重ねる選手は数多い。レアルの過去を振り返ってみると、最終的に所属元クラブに定着した例としては、現在チームで主軸を張るウルグアイ代表MFフェデリコ・バルベルデがその典型と言っていいだろう。

 現在22歳のバルベルデは、16歳の時にレアル移籍が内定し、FIFAのルールに従って18歳の誕生日を迎えたのち、ペニャロールから完全移籍を果たす。5年契約の初年度は、レアルのBチームにあたる「カスティージャ」でプレーした。

 そして2年目の2017−2018シーズンは、デポルティーボ・ラ・コルーニャ(当時1部)にレンタル移籍し、リーグ戦24試合に出場。そのうち半分にあたる12試合に先発した。

 だが、そのシーズンのデポルティーボは2度の監督交替劇が起きるなど不振が続き、最終的に2部に降格。バルベルデのパフォーマンスも次第にトーンダウンしてしまい、シーズン後半戦はスタメンを外れて苦い経験を味わった。

 ただ、そんな苦しい状況のなかでも、持ち前のエレガントなプレーには無限の可能性を感じさせた。さらに課題とされたフィジカルやスタミナなども向上し、トップレベルで戦うための礎(いしずえ)を身につけたことは間違いなかった。それが、3年目のシーズン途中から所属元のレアルで開花した。

 わずか約2カ月で解任されたフレン・ロペテギ監督からカスティージャ時代の恩師でもあるサンティアゴ・ソラーリ監督に替わったことで、途中出場ながらバルベルデのプレー機会が増加。そして2019年3月に就任したジネディーヌ・ジダン現監督にもその才能を認められた。

 翌2019−2020シーズンになると、リーグ戦33試合に出場して2得点を記録。カゼミーロ、ルカ・モドリッチ、トニ・クロースの「鉄板3枚」が君臨する中盤に割って入り、見事に主軸の座を勝ち取ることに成功したのである。

 その他、現在レアルでプレーする選手では、18歳でマジョルカから青田買い移籍したマルコ・アセンシオも、レンタル移籍で修業したあとに欠かせない戦力となった選手のひとりだ。

 2014−2015シーズンの冬の移籍で加入したアセンシオは、そのシーズンの後半戦はそのままマジョルカにレンタルされる形でプレーし、翌シーズンはエスパニョールに1年間の"修業系"レンタル移籍。そして2015−2016シーズンにレアルに復帰すると、特に2016年1月に就任したジダン現監督にその才能を高く評価され、現在に至る。

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 また、カンテラ育ちのルーカス・バスケスも、カスティージャで基礎を学んでからエスパニョールに1年間貸し出された。そしてラ・リーガで実戦経験を積んだあと、レアル定着を果たしている。

 現在不動の右SBとして活躍するカルバハルは、カスティージャで頭角を現したあと、買い戻しオプション付きの完全移籍(5年契約)でドイツのレバークーゼンに送られた。そこで活躍が認められて、わずか1年で買い戻しオプションが行使されている。レンタル移籍ではないものの、カルバハルも他クラブで修業を積んでから復帰した成功例と言っていい。

 その一方で、モロッコ代表DFアクラフ・ハキミのように、修業系レンタル移籍で力をつけながら、レアルに復帰しないケースもある。ハキミはカスティージャからトップチームに昇格したのち、2年にわたりレンタル先のドルトムント(ドイツ)で成長。しかし今夏、インテル(イタリア)に完全移籍する道を選択している。

 同じく、2017年夏にライバルのアトレティコ・マドリードから青田買いされたテオ・エルナンデスも、レアル・ソシエダへの修業系レンタル移籍を経て、昨夏ミラン(イタリア)に完全移籍。マルコス・ジョレンテはレンタル先のアラベスで経験を積んだあとにレアル復帰を果たすも、出場機会を得られないままアトレティコに完全移籍し、初年度となった昨シーズンにレギュラーの座を勝ち取っている。

 そういう意味で、16歳で青田買いされ、今シーズンからレアルに復帰するノルウェー代表マルティン・ウーデゴールはとりわけ注目の存在になるだろう。

 少年時代から脚光を浴びた"神童"は、2014−2015シーズンから3年にわたってカスティージャで経験を積み(トップチームではリーグ戦1試合に出場)、その後2016−2017シーズンから2年はオランダのヘーレンフェーンで、2017−2018シーズンはフィテッセで、そして昨シーズンはレアル・ソシエダで着々と成長を遂げ、21歳で迎えた今夏、満を持してレアルのトップチーム定着を目指す。

 世界最高峰の選手層の厚さを誇るレアルで、果たしてバルベルデのようになれるのか、それともマルコス・ジョレンテのように他クラブに新天地を求めることになるのか。久保の将来を占ううえでも、今シーズンのウーデゴールの動向はひとつの指標にもなるはずだ。

 現在、世界中の一流選手が集まるレアルには、久保以外にも、ダニ・セバージョス(アーセナル)、ボルハ・マジョラル(レバンテ)、ヘイニエル(ドルトムント)といった将来有望な「修業系レンタル移籍組」は多い。セビージャでの修業期間を終えたセルヒオ・レギロンやバイエルンからレンタルバックしたアルバロ・オドリオソラにしても、新しい修業先が決まる可能性も残されている。

 修業系レンタル移籍で次に成功するのは誰になるのか。久保は、その一角に割り込むことができるのか。その成長ぶりを見届けるのが、ますます楽しみになる。

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