「ストリップは自分が辛い時ほど心に残る」――『女の子のためのストリップ劇場入門』作者に聞く“劇場という場所”

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2020年09月20日 11:43  ねとらぼ

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写真さまざまな人を許容するストリップ劇場の世界――『女の子のためのストリップ劇場入門』著者・菜央こりんさんにインタビューしました
さまざまな人を許容するストリップ劇場の世界――『女の子のためのストリップ劇場入門』著者・菜央こりんさんにインタビューしました

 「ストリップの魅力を伝えたい!」と制作した同人誌が目に留まり、雑誌連載がスタート。7月にはエッセイコミック『女の子のためのストリップ劇場入門』の単行本が発売された菜央こりんさんが、風俗でも芸能でもある不思議なエンターテイメント・ストリップの魅力を語るインタビュー。



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 後半は劇場で出会う男性の優しさや、サードプレイスとしての魅力、性風俗で働く人たちのことを伝えるにあたっての配慮などについて話をうかがいます。



 アイドル・宝塚・バーレスクなど、さまざまな芸能がある中、ストリップだからこその魅力とはいったい何なのか。そして、それは見ている人の心にどんな影響を与えるのか。ストリップ独自の魅力をさらにじっくりと語ります。



●おじさんたちの優しさや乙女心が見えてくる



――本書の楽しさのひとつが、出てくるお客さん――主におじさんの顔にバラエティがあって、しかも全員なんとなくかわいい感じがするところです。



 踊り子さんの3倍くらいおじさんを描いていると思いますね……。ストリップという世界の“周辺”のことを描こうとすると、見に来るお客さんのことを描く必要があるので。劇場に行っておじさんたちの顔を覚えたりしています。



――現場で見かける人というか、「これ、あの人かな?」と思う人がたくさん出てきますね。おじさんに対する敬意を感じます。



 はい、男の人がとても紳士的に見ているというのも、劇場に行って驚いたことの一つです。途中で野次を入れたりするのかと思ってたけど、それもなく。ストリップ劇場にはいろいろな身体の方がいるし、50代の踊り子さんもいらっしゃるんですけど、演者によってお客さんがあからさまに減ったりしないことにもほっとしました。もちろん人気のある人はいるんですけど、概ねちゃんと一通り観て、拍手をして……。



 今思うと、“ストリップだからこそ”の男性の態度があるような気がします。慣れてない人に席を譲ったり、踊り子さんに花束をあげたり、ツイッターでクソリプはしなかったりとか、そういう気遣いみたいなのを知れて。



――ツーショット撮影の時に迷っているとフォローしてくれたり、踊り子さんの次の公演の予定を教えてくれたり。



 若い女の子とおじさんって対立しがちじゃないですか。私もわかりあえない存在だと思ってたし。ただ、おじさんという表現でひとくくりにしてしまうのは、男性を馬鹿にしていたなって。我々女も「女をサイゼリヤにデートにつれていくと怒る」とか言われると「そんなことない! ひとくくりにしないで」って怒るのに。



 メディアに出てくる男性はホモソーシャルな世界での強者ばかりですよね。そうでない人は、弱者と言われて、馬鹿にされたり、けなされたりしている。でも、メディアに勝ち上がってこないけど、優しい男性がいる……。男性のそういう部分を引き出せる場であるというのはすごく作品に反映しています。



――男性の乙女心を肯定する場所という側面もありますよね。エロい気持ちで入った人が、普段見慣れていないであろう美しい衣装を着て踊る踊り子さんたちを見ていくうちに、徐々に「ダンスが美しい」とか「リボンがはためくのがかわいい」ということにときめいたりする。男性にとっても、今まで気が付かなかった自分を見つける場所なのかなと。



●「面白い」と感じたことは伝えるけど、「馬鹿にはしない」



――これは単行本ではなく、同人誌の話になりますが、2018年に閉館した芦ノ牧温泉劇場のことを描いた『ストリップ劇場遠征女サラバ! 福島編』も印象的です。芦ノ牧温泉劇場のストリップは、「潮吹きを鋭く遠くへ飛ばす」という、それこそ見世物小屋的な、芦ノ牧温泉だけで行われていた芸でした。だけど、それを昭和レトロ的な感傷や哀愁でくるまない。そうではなくて、「そこにいるプロフェッショナルが、昔からやっているこういう芸を見せてくれた」というフラットな描写なんですよね。露悪的でも、同情的でもない。



 びっくりしたり面白いと思ったりするけど馬鹿にはしない……。たとえば、潮吹きにはやっぱりびっくりするんですよ。でも、「潮吹きなんて汚い」とか、演者が傷つくようなことは描かない。私は汚いと思っていないし。「世間的に見てどう」というのも描かない。私が受け止めたことを、相手が傷つかないように、でもみんなが知りたいように描くという匙(さじ)加減ですかね。そういう風に描くことで、世の中にそういう仕事があるということを、面白く見られるきっかけになるかなと思ってます。



 その仕事を選んでるっていうことは、何かしらの魅力が、多分、ある。もちろん、やりたくないけど仕事としてやってる人も絶対いますけど、もし、仕事としてこちらを楽しませようと力を尽くしてくれていると感じたら、そういう側面を描きたいなと思います。



――あとは、これは同人誌『何でアイドルじゃなくてストリップに通うんですか?』にある記述ですが、「ストリップは自分が辛い時ほど心に残る」という。



 これ、何となくわかりますよね?



――「これを見たあとに自殺しようと思っていたけど、心を打たれて引き返した」という話を聞きますよね。以前、私が何気なく見ていたステージから、おじさんが丁寧にストーリーを読み取って泣いていたことがあって。ストリップは、音楽は流れるけれど、基本的には無言で行われているから、演目の中からそれぞれが見出している物語が違う。見ている人の感受性を映し出す芸能なのかと思います。「傷ついたときこそ心に迫る」というのは、そういうところなのかなと。



 悲しいことを背負って、ずっと回復できずにいる人が行き着く場所でもあるのかなって。女の人の裸が見たければほかの風俗でもいいかもしれないし、もっとキラキラした空間はいくらでもあると思うんです。行くきっかけはエロという人が多いですが、残る人は感情豊かな人たちが多いように思います。



●「スケベな自分」を受け入れてくれる場所



――最終話の話になりますが、「社会的にどんな人でも劇場内では『女の裸を観に来たスケベな人』として座っているのはなんだか心地よい」というモノローグが印象的です。芸能やサードプレイスとしてのストリップの話がある一方で、「理想の裸が見たい」とか「Hな気持ちになりたい」という気持ちで行く人ももちろんいて、そのあたりの曖昧さが持つ魅力が伝わります。



 ストリップって、よく「エロか芸術か」で揉めるじゃないですか。



――ありますね。「ストリップはエロなんて低俗なものじゃない! 芸術だ」という。



 それ、答えのない問いだと思うんですよ。見た人が何を感じるかは一人一人違うから。メディアに出るときは「ストリップはアート」とコーティングされることが多いですが、歴史的に見ればエロを満たすためのものだし、それを忘れたくない。もし踊り子さんや劇場の方たちが「エロじゃない」と言っているのであれば、そうかもしれないけど、エロを追求されている方もいるし、「芸術のみ」と捉えている人も全然いない。



 スケベな気持ちを認めてくれる場所って世の中にあんまりない。特に、女性がそういう気持ちを持つことって、恥ずかしいこととされたりするじゃないですか。でも、スケベな気持ちを持ちながら、芸術的なもので感動する心や、その感動を伝えたいという心があることに気が付ける。そして、それを演者に伝えることができる場所。



 帯に神田伯山さんが「ストリップは会いに行ける芸術だ」という言葉を寄せてくださっているんですけど、「会いに行ける」っていうところが風俗っぽいというか、エロを包括してるのを柔らかく書いてくださってるのかなと勝手に想像しています。一般の目からしたら矛盾している場なんですけど、それが成立してる。アートだってエロいものだし、エロいって思うことは全く悪いことじゃないというもわかってほしくて、最終話はそういう表現を入れました。



――今後描いてきたいものはありますか?



 性風俗で働く人のことを描きたいです。ストリップを通して、風俗で働いている方やAV女優さんを、人としてリアリティーを持って知れるようになったところがあるので。最近AV女優さん原案のマンガ『AV女優たかしょーのないしょ話』を描かせていただいているんですが、AV女優さんの中には本当にセックスが大好きで、AV女優という仕事を楽しんでいる人がいます。ストリップも、「人前で裸を見せることも含めて、仕事として心から楽しんでいる」という人がいる。



 もちろん、そうでない立場の人もいると思うんですが、風俗の仕事はウソ偽りなく職業として存在していて、たとえばパティシエやエンジニアと同じように、その仕事に就きたいと思っている人もいる。あるいは、お金儲けとして割り切って働いている人もいる。そして、働き方や向き合い方もそれぞれ違う。そういうことを知ることで社会の見方が変わるというのも伝えられたらと思います。もし、それがストリップだったら万々歳ですね。



(ねとらぼGirlSide/池田智)


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  • 綺麗な動きしてる時の人体はまるごと綺麗ですし生命力を感じます。でも素っ裸で踊るとか動作するって胸痛くないのかな…胸筋とか肩とか背中とか胴体全部で支えてたら大丈夫;?
    • イイネ!1
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