毒親育ちの心の叫び「このままじゃ母と同じになってしまう」 連鎖断ち切るには?

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2020年09月20日 17:00  AERA dot.

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写真※写真はイメージです (GettyImages)
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 本来は生まれたときから愛情を注がれ、道しるべとなるはずの親が、子どもにとっての毒になり、下の世代にも影響する。こんな厄介で皮肉なことはない。「毒親連鎖」を断つにはどうすればよいのか。親を捨てるという手段を選ばざるを得ない場合もある。早く気づくことが大事なようだ。

【あなたは大丈夫?毒親チェックリストはこちら】
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 看護師の弥生さん(仮名・30代)の母は、「母子家庭だからってバカにされたくない」が口癖で、ヒステリックだった。

「母がいきなり怒りだすのがすごく怖くて、母の不機嫌を全身に感じながら生きてきました。狭いアパートでの2人暮らし。母を怒らせるとほぼ逃げ場がない。苦痛でした」

 弥生さんが幼いころから、母は家庭のある男性との関係をたびたび持ち、相手との連絡役や、母の裸の写真を撮る手伝いもさせられていたという。

 高校卒業と同時に北海道の実家を出て、東京で進学。家を出ると、母は「死にたい」と連絡してくることもあり、情緒不安定だった。弥生さんの恋愛や結婚、出産に対しても否定的で、「あんたに子どもができることを受け入れられない」と言われた。

 1人目の出産後だった。家の中でも他者への怒りの感情がずっと消えず、子どもが泣いているのに気持ちを切り替えられずに抱き上げられなかった。

「なぜか心が苦しくて悲しくて、『どう対処したらいいかわからない、これは一体なんだろう』という状態になってた」

 こういうときは夫が仕事を途中で切り上げて帰ってきてくれたが、「私このままじゃ母と同じになってしまう」と思い、それまでの通院に加え、カウンセリングも受けることにした。

 さらに弥生さんが取った手段は、母との絶縁だった。これ以上、自分や家族の精神面に影響を及ぼすのを避けるにはそうするしかないと考えたためだ。2人目を出産後、病院に行くと「複雑性PTSD」と診断された。

 現在も治療は続けているが、トラウマが出て、感情的になることがある。でも、「生きづらさは、自分自身の一部、否定的には捉えていません」。

 自分の経験を連鎖させないためにも、自分の過去と向き合っている。

「毒親育ちとか機能不全家庭とかそういう言葉はとてもインパクトがあり、実際につらいことばかりです。その後の人生への影響も大きいです。でも私はそれについては『かわいそうな過去』で終えたくはない。母が不幸そうにしていたら娘はいつまで経っても幸せになれない。娘が娘の人生を安心して歩めるよう、自分が早く自分らしく生きられるようにしたいと考えています」

■誰かに甘えることを学んで

 子どもに向ける感情の偏りが、もしも自分が育った環境にあるとすれば、どう修正すべきか。

 臨床心理士の角田春高さんは、人格形成が大事な幼少時代に、適切な愛情を受けられずに成長した人に向けた独自のメソッド「育て直し」を提唱する。

(1)生きている実感(2)安全・安心(3)信頼(4)言葉と共感(5)他者との交渉(6)対人関係を理解(7)畏怖心──といった課題を一つずつ順番にクリアさせていくもので、何歳からでも始められるのが特徴だ。

 角田さんはこう語る。

「毒親に育てられても、誰かに甘えるということを学べば毒親にはなりにくいです。大人になっても、やり直せる。甘えられる場所があることが大事」

 おとなの親子関係のカウンセラーとして活動する川島崇照さんは、子どもにけんかをふっかけたり、マウンティングをしたりする親について、こう分析する。

「おそらく劣等感が強くて学歴や職歴に敏感。子どもの価値が上がっていくと自分の価値がかさ上げされた気分になり、『そんな子どもを育てた私』となる。自己愛が強いタイプ」

 毒親に苦しむ子どもに対しては、

「『親から離れていいんだよ』と諭して『自分のやりたいように、思ったとおりに生きていいんだよ』と認識してもらうようにしています」

 カウンセリングでは二つのことを行うという。

「一つ目は責任・感情・価値観について境界線を引き直していきます。親が子どもに刷り込んできた責任や常識(価値観)のありかを変えることです。もう一つは、親がなぜそんな行動をとるのか、その心理背景を探ります。先の行動予測ができ、『転ばぬ先の杖』のようなものになります」

 頭でわかっていても心が足踏みをしてしまうような状態だとなかなか行動に移せず定着しない。恐怖心とも向き合いながら時間をかけて取り組むことが大切だという。

「毒親連鎖しない人なんてほとんどいないのでは。何年経っても一定数いて、それが連鎖しているから減らない。みんな育てられたように育てる。ただその過程でそれがおかしいと気づけるかどうか。そこが大きいのです」

(本誌・大崎百紀)

※週刊朝日  2020年9月25日号より抜粋

このニュースに関するつぶやき

  • 私なんて彼氏すらできん。 親戚の交際をことごとく破談にして来たのを見てるから恐ろしくて…
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  • 子供を作らない!それなら連鎖は100%無くなります!僕は酷い虐待児だったけれど、心理学科に進んで大学院で臨床心理学を学んで、精神的連鎖は断ち切りました。子供はいません
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