入社するだけで40万円のお祝金。タクシー業界への転職はアリなのか

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2020年09月22日 16:21  日刊SPA!

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◆お祝金制度はけっこう高額

 タクシー業界には他業種にみられない羨ましがられる慣習がある。それは、紹介金制度とお祝金制度。紹介金制度とは、今所属するタクシー会社に知人などを紹介すると会社から紹介料として金一封が貰える。お祝金制度は、現認者(タクシー経験者)が入社した際に貰えるお祝金である。

 紹介金制度とは、今所属するタクシー会社に知人などを紹介すると会社から紹介料として金一封が貰える。お祝金制度は、タクシー経験者のみ(タクシー未経験者は貰えない)が入社した際に貰えるお祝金である。

 それぞれ会社によって20万〜40万と開きがあるがそれなりの額が貰えるのだ。紹介するだけ、入社するだけでお金が貰えるのはありがたい。それもかなりの額のお金が。

 特にベースアップなど期待できないタクシー業界。ほぼ歩合給なので転職による賃金減少などほとんどない。ボーナス代わりに紹介金やお祝金をもらう感覚であろうか……。そんなことで、紹介金目当てに引き抜きが横行し、そのお祝金を目当てにタクシー業界内での転載を繰り返す転職ジプシーたるものも存在する。

 その背景には慢性的な人材不足があるが、タクシー業界に限らずドライバーと名のつく職種は常に人材不足。大手宅配便業のヤマト運輸でさえ人材確保の為、紹介金制度で紹介者には金一封を与えていたが、これほどまで高くはない。

◆タクシー会社のお客様はドライバー

 タクシー業界内での転職は当たり前となっている。その転職というのもスキルアップというよりも条件面でというのが多い。

 タクシー会社、条件面はそれぞれである。営業面でいえば、無線(迎車)の数や営業歩合率。歩合率は売上の50〜60%がほとんどであるが中には60%を超える会社もある。また、営業時の高速代金、クレジットの手数料などドライバーが負担する会社もあり、事故負担金もドライバーが負担する会社さえある。同じ売上げであっても会社によっては入ってくるお金に開きが生じてくるのだ。したがって会社選びはとても重要である。当たり前のことだが、自然と条件面のいい会社には人材が集まり、悪い会社には集まらない。

 また、タクシー会社は稼働率を気にする。稼働率とは、保有台数に対して何台営業しているかを示す数字。無論営業していなければお金は入らず経費ばかりが嵩んでいく。稼働率を上げるためにも人員が必要となるのだ。

 タクシー会社にとってのお客様は乗客ではなく、ドライバーそのものである。そのような背景もあり金一封の代金が破格なのであろう。

◆敬遠される職業

 タクシードライバーと言えば、転職の最後の砦や墓場、かつては雲介※と揶揄されていた。駅のタクシー乗り場でドライバーがたむろしてタバコをふかす光景や道端で昼寝している姿を見たりすると正直、あまりいいイメージをもたない人も多い。

 筆者も父親に「タクシードライバーにだけにはなるな」と言われ続けて、結局、タクシードライバーになってしまった。風評と不規則な勤務、平均年収の低さが相まって、ドライバーのイメージは未だ低いままである。

※雲助:定まった住所がなく雲のようにあちこちをさまよっているからとも、また、網を張って客を待つのが蜘蛛(くも)のようであるからともいう。江戸時代、宿場や街道で駕籠舁(かごか)きや荷物運搬などに従った人夫。人の弱みにつけこむ、たちの悪い者が多かったところから、無頼の者たちのことをもいう。三省堂 大辞林 第三版より

「お前、何の仕事してるんだ?」
「運転手」
「何の?」
「車の」
「当たり前だ! 何の職種だって聞いてるんだよ」
「サービス業」
「だから、どんな仕事だ」
「ドライバー」
「……」

 という具合に友人や親戚などに未だ自分がタクシードライバーだと言えないものもいる。若い人が入社してきたら、「他にやる仕事いっぱいあるだろ、なんでタクシーなんだ」と説教をたれる者さえいる。そんな言った本人がタクシーをしているのだから世話がない。

 もちろん誇りを持ってタクシー業務をするものもいるが、自信も誇りも持たない多くの人たちが、先人たちの負のイメージを引き継ぎ、またそれを下の代に引き継ごうとしている。

◆深刻な高齢化のカラクリ

 最後の砦としてタクシー業界に入ってくるからには入社時の年齢もそれなりに高い。

 国土交通省の調査によると、労働者の平均年齢は全産業の業界平均年齢42.4歳に対し、タクシー業界は59.4歳である。17歳も差があるのだ。

 そして、65歳以上の割合が全体の27.4%も占めている。これがタクシー業界の現状であって、この高齢化がタクシー業界の常識でもある。これではタクシー業界の存続すらあやしい。

 会社によっては50代でも若手の部類に入る。白髪もシワも増えた壮年が若いともてはやされては、恥ずかしいやら照れ臭いやら、でも若返った気分になるのはいいかもしれない。

 冗談はさておき、洒落にならない位に高齢のドライバーも存在する。個人タクシーは個人事業主なので、もちろん定年はなく「大丈夫ですか……」と言いたくなるほどのという年齢まで運転する人もいる。

 この高齢化がタクシードライバーの年収のカラクリを生み出している面がある。

 平均年収300万といわれるタクシー業界。これは年金受給者が収入を合えて抑える人や、気力も体力も衰えた高齢者の収入が低い人達が多くを占めるので必然的に平均値がさがる。実際は500〜700万くらい稼げる仕事なのだ。

◆隣の芝生は枯れていない

 普通運転免許さえあれば、誰にでもなれるタクシードライバー。誰でもできるから敬遠されることもある。プライドかなにかが許さないのだろう。しかし、誰もができると思っていることは、意外にも誰でも出来ることではない。

 理不尽な客の対応、多様な道路ルート、自由な営業、縛られない日常。自由だからこそ自己管理能力が試される仕事である。「自由って難しい」とさえ思う。

 ある意味、今まで経験したスキルが役に立つ。いや、そのスキルを活かさないとやっていけないかもしれない。最近では、積極的に若い人や女性を入れ業界の活性化やアプリなどの多種多様なサービスに力を入れ業界のイメージアップに躍起になっている。

 月11〜13日しか仕事をしなくていい。あとの時間は自分の時間である。夢に向かって資格や趣味に活かす時間も他の仕事に比べればある。家族とも向き合える時間もある。タクシードライバーは、自分の時間を大切にする今の若者にとってはうってつけの職業かもしれない。

「隣の芝生は枯れている」と見えていても、実際は地中にしっかりとした根を張っていたりもする。紹介金制度があるうちに一度タクシー業界を覗いてみるのもいいかもしれない。<文/二階堂運人>

【二階堂運人】
物流ライター。ライター業の傍らタクシードライバーとして東京23区内を走り回り、さまざまな人との出会いの中から、世の中の動向や世間のつぶやきなど情報収集し発信する。また、最大手宅配会社に長年宅配ドライバーとして勤務した経験とネットワークを活かし、大手経済誌のWEB版などで宅配関連の記事も執筆する。タクシー・宅配業界の現場視点から、「物」・「人」・「運ぶ」・「届ける」をそれぞれハード(荷物・人)だけではなく、ソフト(心と気持ち)の面を中心に記事を執筆中。ブログ「吾は巷のインタビュアー!」

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  • お祝金制度は、タクシー経験者のみ(タクシー未経験者は貰えない)が入社した際に貰えるお祝金である。<ここでみんなずっこけただろうなああwww
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