毒父に300万円せびられて結婚できない 45歳男性が「ダメ親」から離れられないワケ

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2020年09月22日 17:00  AERA dot.

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写真毒親に金を無心される子どもは少なくない。写真はイメージ(写真/PIXTA)
毒親に金を無心される子どもは少なくない。写真はイメージ(写真/PIXTA)
「幼いころは、自慢の父だったんです。でもいつからか、私に金をせびるようになってきて……。そんな父がいると知られたら彼女にもフラれるんじゃないかと不安で仕方ありません」

 都内の物流倉庫に勤務する山下浩さん(仮名・45歳)は、実父(80)からの度重なる金の無心に頭を抱えている。

【写真】毒親との実際のLINEのやり取りはこちら

 山下さんの両親は栃木県で不動産関連の会社を経営している。40年以上続く地元企業ながら、資金繰りはかなり厳しいようで「何度倒産しかけたかわからない」(山下さん)という状態が続いている。

 だが、羽振りがよかった時期もある。バリっとスーツを着こなし、高級車を乗り回す父親の姿はとてもかっこよかったことを覚えている。

 仕事一筋だった父親と接するのは月2回程度の外食。寂しさを感じたこともあったそうだが、母親からは「我慢しなさい」と言われ続けてきたという。母親も一緒に仕事をしていたため、年の離れた兄と2人で留守番をすることも多く、机の上に置かれた千円札が“食費”だった。

「冷蔵庫の中には昨晩の残り物が入っているので、それを食べて、金を浮かせました。それを駄菓子やゲーム代に充てていましたね」

 家族が経済的に困ることはなかったが、その裏で、事業はあまりうまくいっていない様子だったという。高値で売れるはずの物件が売れなかったり、仲間と協力して進めるはずの事業が白紙になったりと、思い通りにならないことが多かったようだ。資金繰りのために銀行に必死に電話をかける母親の姿は今でも忘れられないと、山下さんは振り返る。そういう姿を見ていると、両親の仕事を継ぎたいとは思わなくなったという。

 高校卒業後、地元の工場に就職した山下さんは、20歳の時に上京を決意する。その背景には、父親への嫌悪感があったようだ。

「父が取引先の女性と不倫していて、それが母にバレたんです。毎日のように夜中までケンカが続きました。昔はかっこよかった父のだらしない私生活を知ったら、すごく気持ち悪く思えてきました」

 実家から逃げ出すように上京し、焦って就いた警備会社の仕事は激務だった。拘束時間も長く、身体的につらかったが“実家に戻らなくていい”と思うと頑張ることができた。

 結局、不倫の件は父母で和解したようで、離婚に発展することはなかった。だが、山下さんの家庭観には大きな影響を与えたようだ。

「家族との思い出があまりないからか、家族を持つことの良さが分からなくて。それに一人でいるほうが楽だし、心地がいいと思うことが多いんです」

 休日は、趣味のゲームや読書を楽しむという山下さん。あまりお金のかからない趣味ということもあり、気づけば40歳で500万円もたまっていた。

「月収20万前後の仕事を転々としてきた僕が、まさかこんな大金をためられると思いませんでした」

 この貯金額で自信を持てるようになったこともあり、異性関係でも変化が訪れた。

「お恥ずかしながら、40歳まで女性との交際経験がありませんでした。そんな私に年下の恋人ができたんです」

 出会いはオンラインゲームのオフ会。攻略ブログを運営していたブロガーに誘われて、珍しくオフ会へ足を運んでみたのだという。

 人づきあいに慣れていなかったこともあり、オフ会への参加は不安だったが、共通の趣味を持つ仲間たちとの会合だったこともあり、その日は緊張せずに楽しめた。

 そこで知り合った8歳下の女性と意気投合。オフ会後はオンラインゲーム内で交流し、距離を縮めていった。出会って1年で交際、そして現在も恋人関係は続いている。

 そして、そろそろ結婚を前提とした同棲をスタートしようという話を彼女としていたとき、実家の父親から連絡が入ったという。

「『高く売れる土地があるが、今は手元に金がない。まとまった金を貸してほしい』という相談でした。実は父から金を貸してくれと言われるのは、これで3回目なんです」

 話は7年前の正月にさかのぼる。実家を出た後も山下さんは年末年始だけは帰省していた。家族同士の会話で、なぜか山下さんの貯蓄の話になったのだが、酒を飲んでいたこともあり、ポロっと当時の貯金額を話してしまったという。

 そこから半年後に100万円、3年前に200万円もの金を父親から無心されたという。毎回、その理由は土地の購入。そして今回が3回目となり、今度は300万円と値がつり上がっていた。

 幸いにも、過去2回とも貸したお金は返ってきたものの、回数を重ねるごとに金額が大きくなっていること、そして大切にしたい女性ができたこともあり、もう貸せないと話そうとしていたのだが……。

「母から電話が来て、『お父さんにお金を貸してあげて。仕事が生きがいの人なの。だから助けてあげて』と言われてしまったんです」

 自分の判断に自信が持てず、インターネットの掲示板で似たような相談を調べてみると、『絶対に貸すな』というアドバイスが並んでいた。

「確かにその通りですよね。私も貸したくはありません。でもきっと、父の話は私がお金を貸す前提で動いている仕事なんだろうと思うと、突き放すことはできなかったんです。当事者になると、キッパリとイヤだ!とはいえないものです……」

 悩みに悩んだ揚げ句、山下さんは父親に300万円を貸すことを決めた。

「わずかに貯金も残っているので、同棲資金は問題ありません。しかしこの件はまだ彼女には話せていません。父からは今年の11月末にお金が返ってくると言われていますが、やはり不安です」

 父親との件を彼女に話すべきかどうか。しかし、こんな大金を無心してくる父親がいると知ったら、彼女に別れを切り出されてしまうのではないか。そうした不安から、今でも言えずに結婚にも踏み切れないという。

 第三者からすれば『貸さなければいい』と思うかもしれないが、親を簡単に見限れないところもまた、親子関係の悩ましいところだ。

 そして、もし結婚となれば親も無関係ではいられない。これからも金をせびってくる可能性がある父親の存在が、彼女との結婚を望む山下さんを苦しめている。

 親にとって“できた子”であっても、それが自分の幸せになるとは限らない。いつかは山下さんが「親離れ」をして、彼女との幸せだけを考えられる日がくることを願うばかりだ。(取材・文=吉田みく)

このニュースに関するつぶやき

  • バリっとスーツを着こなし?? パリっとじゃないの??? バリって破れかけてるみたいじゃんw
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  • 父親も80歳なら仕事をやめさせないとexclamation ��2
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