「幸福学」の第一人者が教える! 子どもが幸せになるための学校選び、四つの基準とは

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2020年09月22日 17:00  AERA dot.

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写真幸せの四つの因子(『AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2021』より)
幸せの四つの因子(『AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2021』より)
 親がわが子の教育を考えるとき、真っ先に浮かぶのは「この子に幸せな人生を送ってほしい」ということではないだろうか。先行きが不透明な現代において、わが子の幸せのためにはどうやって進学先を選べばいいのだろう。現在発売中の『AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2021』(朝日新聞出版)では、「幸福学」を研究する前野隆司さんに、子どもの幸福度を高めるための学校選びについて、話を聞いた。

【写真】「幸せのメカニズム」研究の第一人者、前野隆司さん

*  *  *
 親はわが子の幸せを願う。だからこそ、よりよい教育を望むのだ。しかし一方で「有名大学・有名企業に入ることが幸せに結びつくわけではない」とも言われて久しい。そもそも「幸せ」なんて人それぞれ。わが子を幸せにする育て方なんてあるのだろうか?

「よく言われるんです。幸せなんて定義もバラバラ。幸せの研究なんてできるのか、って」

 そう言って笑うのは「幸せのメカニズム」研究の第一人者、前野隆司さんだ。哲学でも宗教でもなく、心理学と統計学を用いて、「幸せ」になる心の持ちようを解き明かしている。その結果、高い学歴や高収入の仕事などは、「幸せな人生」には直結しないことがわかったと言う。

「金・モノ・地位で得られる幸福は、長続きしにくいのです。長期間続く幸せに必要なのは健康や自由、愛情など目に見えない要因です。なかでも私は長期的な幸せをもたらす『心因的な要因』を研究しています。簡単に言うと、どんな心の持ち方をすれば幸せになれるのか、です」

 日本人1500人にアンケートをとってデータを分析したところ、「自分は幸せだ」と感じている人には明らかな共通項が見られたという。それが幸せの四つの因子(図参照)だ。

「幸せになるための条件は複雑で無限にあると思われがちですが、実はたった四つなのです。『やってみよう』という主体性、『ありがとう』という感謝の心、『なんとかなる』という楽観性、『ありのままに』いられる自己肯定感。この四つをバランスよく持っていれば、子どもでも高齢者でも幸福度は高いのです」

■学校選択にも役立つ 幸せの四つの因子

 この四つの因子は、家庭だけでなく学校生活でも培われていくものだと前野さんは考えている。だから学校選びのときも、この四つの観点で学校をチェックする必要がある。

「まず見たいのは、わが子の個性に合う学校か否か。その子の興味や関心を高めてくれる学校であれば主体性が養われます(第1因子)。次に、教師と児童、そして児童どうしのつながりの中に、思いやりや助け合いがあるか(第2因子)。さらに失敗を恐れずチャレンジできる自由な空気があるか(第3因子)、子どもの自己肯定感を育てているか(第4因子)
も忘れずに見てください」

 その四つはどこで見分けられるのか。前野さんは「アクティブ・ラーニングの授業を見学しましょう」という。これは文部科学省が推し進める授業形態で、グループワークなどを通して積極的かつ能動的に学習に取り組むことを目的としている。

「就職試験は、グループワークによる試験が一般的です。企業はそこでリーダーシップや、ディスカッション能力を見る。しかし学校教育でその訓練はほとんどできていません。私立校はどこも『アクティブ・ラーニングを推進』と言いますが、実際には学校間格差が大きいですね」

 英語教育もまた見落としてはいけない要素だと前野さんは考える。

「語学を学ぶことは子どもたちの視野を広げます。視野が広がると世界にはいろんな人がいると自然に理解し、寛容になれる。楽観的な気持ちにもなります。英語力があることで活躍の場を世界に広げ、気がつけば幸せな人になるのです。私自身、米国に住んだ2年半が幸福に多大なる影響を与えてくれたと思います」

■幸福は連鎖する。今、幸せですか?

 そして親自身が「幸せの四つの因子」を持っているかどうかも子どもの幸せに大きく関与するそうだ。

「もし『何が何でも〇〇小学校でなくちゃ!』と思っているなら、親自身の幸福度が下がっている証拠です。日本人はとくに第3因子、第4因子が弱く、人の目を気にし、人と比較しがちなのです。でも『この子らしさが発揮できる学校なら偏差値は関係ない』『どこに入学しても幸せになれる』と思えれば、学校の個性や魅力が多角的に見えてきます。そして『この学校もいいな』『ここも素敵』と思って受験すれば、志望校に落ちたって幸せでいられます」

 そうは言っても、「この学校に入れれば子どもが将来幸せになれる確率が上がるのでは」と思ってしまうのが親心だ。

「今回のコロナ禍でもわかるように従来の価値観が大きく変化することはいつでもあり得ます。産業構造も変わってきています。そんな中で『ここに受かれば安心』なんて学校は存在しません。にもかかわらず『将来の幸せのために今は死に物狂いで頑張れ』でいいのでしょうか」

 心が幸せな状態だとパフォーマンスが上がる。幸せは原因でもあり、結果でもある、と前野さん。

「未来を憂えず、親は子どもを『今、幸せな子』にしましょう。幸せの連鎖はそこから始まります」 

前野隆司(まえの・たかし)
1962年山口県生まれ。ハーバード大学客員教授などを経て2008年から慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。17年から同大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。著書に『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。
(『AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2021』より)

(文/神 素子)

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  • たしかに高校は受験校ぜんぶ見に行ったなー。説明会の先生って余所行きモードなんだけど,それでも保護者目線でわかるなにかがある(空気?
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  • いくつか志望校がある中、どこが本人に一番合う学校なのか全然わからない。決めるのは本人だと思うけれど第一志望校の理由が「制服かっこいい」家から遠いのにそれでいいの?
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