「黄金世代」超えもある。真の「久保建英世代」の戦いを世界で見たい

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2020年09月23日 06:51  webスポルティーバ

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 9月14日から3日間、U−19日本代表の国内キャンプが行なわれた。

 今年に入ってからは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、同代表も一切活動することができず、今年初のキャンプが行なわれたのは7月のことだった。しかし、8月にも予定されていたキャンプは、事前のウイルス検査で参加選手に陽性者が出たため、急遽中止に。そのため、今回が約2カ月ぶりにして、ようやく今年2回目のキャンプ開催だった。

 U−19代表を率いる影山雅永監督も、「(何かを)積み上げるほど(キャンプの)回数がなく、ほとんど"無"に近い」ところからの再スタートとあって、「これは(感覚を取り戻すのに)相当時間がかかる」と覚悟していたという。

 ところが、選手たちは短期間にもかかわらず、指揮官曰く、「徐々に(チームコンセプトを)理解して自分のプレーに出していくのが見えた」。

 最終日には紅白戦も行なわれたが、参加した選手たちは皆、それまでの鬱憤を晴らすかのように、激しく体をぶつけてボールを奪い合い、ハツラツとした動きを見せていた。

 こうした急造メンバーが、にわかに集められた場合、どうしてもプレーが手探りになったり、遠慮があったりするものだ。にもかかわらず、これだけ激しくやり合うのも珍しい。実に見応えのある紅白戦となった。

 しかしながら、久しぶりの活動再開を喜んでばかりもいられない。というのも、このチームが目指すところはどこにあるのか。その目標が定まっていないからだ。

 2020年のU−19代表は本来、2021年に開かれるU−20ワールドカップを目指し、活動しているチームである。

 ところが、今年10月に開催予定だったアジア最終予選(アジアU−19選手権)は、来年への延期が決定。AFCの発表によれば、来年の早い時期に行なう予定とはされているが、現段階で具体的な日程は決まっていない。

 本番となるU−20ワールドカップにしても、来年インドネシアで開催予定だが、FIFAからはそれについて何もアナウンスはされていない。現段階で、予定どおり開催できる見通しが立っている、というより、先のことは何もわからない、のが実情なのだろう。

 新型コロナウイルス感染の状況次第では当然、大会延期、あるいは最悪の場合、中止の可能性もあるだろう。どんな結論が出るにしても、当事者である選手たちは、何とももどかしい日々を過ごすことになる。

 もちろん、サッカー選手の最終目標は、U−20ワールドカップではない。その先にもまだまだ多くの目標が存在する。とはいえ、短期的には、この大会を重要な目標に努力してきた選手がいるのも事実。それを考えれば、開催の実現を願うばかりだろう。

 と同時に、見る側もまたそれを願うのは、この世代の選手たちが目に見えて成長を遂げているから。つまりは、いい選手がどんどん出てきているからだ。

 来年のU−20ワールドカップの出場資格年齢は、2001年1月1日以降生まれの選手。2001年生まれと聞いて、真っ先に思い浮かぶのは久保建英であり、彼らは、いわば「久保世代」ということになる。

 久保自身は3年前のこの大会に、16歳にして"飛び級"どころか、"二階級特進"で出場しているが、本来、彼が適齢で出場するU−20ワールドカップは2021年大会なのだ。

 しかし、仮に来年無事に大会が開かれたとして、もはやA代表にも名を連ねる久保が出場する可能性は限りなくゼロに近い。つまり、来年のU−20日本代表(現U−19代表)は、久保抜きで世界に勝負を挑むことになる。

 それでも、久保世代にはタレントが揃う。今季Jリーグでは、若い選手たちが過密日程を追い風に多くの出場機会を増やし、なかには主力として活躍している選手も少なくない。


 その筆頭格と言えるのが、横浜FCのFW斉藤光毅と、名古屋グランパスのDF成瀬竣平である。

 斉藤は今季J1で攻撃の中心的役割を担い、3ゴールを記録。U−20ワールドカップも、すでに昨年の前回大会に飛び級で出場しており、国際実績もある。

 また、成瀬は今季、好調の名古屋で右サイドバックとしてJ1のほとんどの試合に出場。今回の紅白戦でも、他より一段レベルの高いプレーを見せていた。

 その他にも、鹿島アントラーズのMF荒木遼太郎、FW染野唯月、J2でもジェフユナイテッド千葉のFW櫻川ソロモン、東京ヴェルディのMF藤田譲瑠チマなど、所属クラブで出場機会を手にし、日々腕を磨いている選手が続いている。

 また、藤田をはじめ、DF半田陸(モンテディオ山形)、DF鈴木海音(ジュビロ磐田U−18)、FW唐山翔自(ガンバ大阪)ら、昨年のU−17ワールドカップに出場した選手たちが、成長の跡を見せているのも頼もしい。

 彼らは皆、2002年生まれであり、U−19代表の中でも年齢的に下の学年になる選手が多いが、世界大会で悔しい思いをしたメンバーにとっては、同じ舞台で借りを返したい気持ちは強いはずだ。

 GKを見ても、今季J1で5試合に先発フル出場している小畑裕馬(ベガルタ仙台)を筆頭に、鈴木彩艶(浦和レッズユース)、野澤大志ブランドン(FC東京)と、ポテンシャルの高い選手が名を連ねる。決してGKの人材が豊富とは言えなかった日本では、かなり稀な世代と言っていいだろう。

 加えて、今回のキャンプ開催とタイミングを同じくして、J1の試合が4試合行なわれため、招集できなかった選手も控えている。

 FC東京のDF中村拓海、サガン鳥栖のMF松岡大起、MF本田風智、清水エスパルスのMF鈴木唯人、ヴィッセル神戸のFW小田裕太郎、セレッソ大阪のMF西川潤らが、それにあたるが、これだけの数の選手が所属クラブで戦力として計算されていることに、あらためて驚かされる。

 また、この世代にはすでに海外組もおり、ベンフィカ(ポルトガル)所属のGK小久保玲央ブライアンは、昨季UEFAユースリーグで決勝に出場している。人材は実に豊富、かつ多彩なのだ。

 小久保にはヨーロッパでプレーしているという利点もあり、もしかすると、10月に行なわれるA代表のオランダ遠征で、大抜擢もあるかもしれない。そうなれば、この世代にも大きな経験値となって還元されることだろう。

 久しぶりのキャンプを終えた斉藤が語る。

「Jリーグで少しずつ(試合に)出て、3点取れて、ちょっとは自信がついたかなという感じはするが、代表は別。みんなのレベルも高かったし、まだまだがんばらないといけないなと思えた」

 影山監督もまた、「(所属クラブで)試合に出る選手が多くなり、自分自身を強化している。毎週自チームで活躍しているのが、何よりの強化」と、彼らの成長ぶりに目を細める。

 未知の伝染病が世界中に未曾有の被害を広げており、先行きは不透明。とても明るいとは言い難い。

 だが、せっかくの粒ぞろいで伸び盛りの世代なのだ。彼らが真っ向から世界に挑む姿を、ぜひとも見てみたいものである。

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