『BLEACH』黒崎一護が護った“たったひとつ”のこと 強い力を持つ者の運命とは?

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2020年09月23日 12:31  リアルサウンド

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 連載終了から4年が経ってもなお高い人気を誇る久保帯人『BLEACH』。家族を護るために悪霊である虚を退治する死神となった高校生・黒崎一護と、死神、人間、滅却師といった仲間たちとの戦いを描く。


 今回は物語の主人公である黒崎一護の魅力について迫る。


最初から「普通の高校生」などではなかった黒崎一護

 オレンジ色の地毛に、無愛想にも見える態度。不良だと思われ目をつけられたことも数知れず。その外見から偏見を持たれて教師から余計なことを言われないようにと実は成績がいいという努力家の一面がある。


 町医者でテンションの高い父と、双子の妹と暮らしており、母は事故で亡くなっているが家族仲は良い。家族揃って夕食を摂るために毎日19時の門限に文句を言いつつも、そのルールを護るという一護自身も家族思いであることがそれだけでわかる。


 “ごく普通の高校生”のように見えるが、大きな「普通ではない」ところがあった。それは強い霊感を持っているということ。妹の夏梨曰く「見える触れる喋れる上に超A級霊媒体質の四重苦」。物心がついた頃には普通の人間を見るのと同じように“ユウレイ”が見えるのは当たり前だった。高校生になってからは、より多くのユウレイが寄ってくるようになり、そのことに少なからずストレスを覚えていた。


 そして、ついに無差別に魂を食らう悪霊の「虚」に出会ってしまう。霊的濃度の濃い一護の魂に誘われて現れた虚、そしてその虚を退治すべく現れたのが死神の朽木ルキアだった。虚の戦いで瀕死となったルキアは、一護に自分の死神の力を託し、イチかバチかの勝負に出る。それが全ての始まりだった。


一護を戦いに導いた“血”と“運命”

 死神化した一護はルキアの予想に反し、虚に圧勝する。霊力に呼応して大きさを変える斬魄刀は見たことがないほど巨大なもので、ルキアを驚愕させた。


 そうして“一度だけ”死神になった一護だったが、一護に力をほとんど奪われ、弱体化してしまったルキアの代わりに“死神代行”を行うこととなる。


 死神となった一護の周辺はめまぐるしく変化していく。一護の霊力に刺激され、力を覚醒させたクラスメイト。同じくクラスメイトで対虚大魔眷属・滅却師(クインシー)である石田雨竜との対決、次々と現れる強大な敵。


 『BLEACH』は全74巻で一護の高校3年間を描いているわけだが、その密度がとにかく濃い。霊力は強いが「ただの人間」だった少年が、世界を救ってしまうほどの存在にまで成長する。


 強大な敵に立ち向かう前には修行期間が設けられるが、それが10日であったり3日であったり、という程度。修行自体は覚醒のきっかけであり、戦いの中で強くなっているのが大半なのだが、何せ強い。少しずつ努力で強くなっていく、というよりは、もともと持っていた強大な力をコントロールできるようにし、研ぎ澄ませていく、というイメージのほうが近いのではないだろうか。力が強大すぎて、「うまく避けてくれよ たぶん手加減できねぇ」なんてセリフも飛び出してしまう。


 一護のこの強さの理由のひとつには“血”があった。父は死神、亡くなった母は滅却師。また、母は過去の戦いで受けた傷が原因で虚化していた。その虚は母が亡くなったあとは一護を憑代としており、つまり一護の中には死神と滅却師、虚の力を最初から持っていたわけである。サラブレッドにも程がある。


正義か悪か 強い力を持つ者の運命

 持って生まれた才能とも言える強大な力。こういった力は悪に目をつけられやすい。極端な話、世界を救える力を持っているなら、世界を滅ぼすことも支配することもできる。しかし一護は救うことを選んだ。最初のきっかけは家族だった。襲われている家族を護るために死神となった。しかし、自分の代わりに死神として虚と戦え、といったルキアに対しては、一度断っている。



「見ず知らずの他人のためにあんなバケモノとなんて戦えねぇ!俺はそこまでやるほど出来た人間じゃねぇんだよ!」



 母親を亡くしていることもあって、一護は家族を何より大事に思っている。自分は妹たちを護るために、最初に生まれてきたのだ、と。そんな一護は少しずつ護るものが増えていく。人間に死神の力を譲渡した罪に問われたルキアを助けに死神たちが暮らす死後の世界・尸魂界(ソウルソサエティ)へと乗り込む。理由は、自分の家族を助けてくれたから。その恩は忘れない、というシンプルな理由。友達が危険な目に遭えば助けるのは当たり前。やがて、一護が護るものは家族から「世界」になる。



「全部護る為にここへ来たんだ 俺以外の誰かにできたとしても俺がやらずに逃げていい理由にはならねぇんだよ!」



 力が開花し、正義に燃えたのか。いや、違う。一護は最初からずっとブレていないのだ。大切な家族を、大切な仲間を護るために力を使う。それは一護のため正義であって、他の者にとっての正義ではないかもしれない。それでも、一護は常に誰かのために力を使い続けてきた。それが周りの者たちの心を掴む。大切な人を護る。それが結果的に世界を護った。一護が護ってきたのは、最初はたったひとつのことだったのだ。


(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))


■書籍情報
『BLEACH』(ジャンプ・コミックス)74巻完結
著者:久保帯人
出版社:株式会社 集英社
https://www.shonenjump.com/j/rensai/bleach.html


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