300億円が“ムダ”のケースも… メジャーの長期契約は「アラサー」から「若手」に?

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2020年09月23日 17:00  AERA dot.

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写真ホワイトソックスのヒメネスらメジャーの長期契約は若手にシフトするか?(写真/gettyimages)
ホワイトソックスのヒメネスらメジャーの長期契約は若手にシフトするか?(写真/gettyimages)
 今季のメジャーリーグは新型コロナウイルスの影響で短縮シーズン(レギュラーシーズンは60試合)となり、それに合わせて選手たちの年俸も削減された。だがそれでも高額な年俸を長期契約で保証されながら見合った活躍が今季もできずにいる選手たちが何人も存在する。

 その筆頭は現役屈指の不良債権としてすっかり日本でも知名度が上がってしまったクリス・デービス(オリオールズ)。ホームラン王を2回獲得したメジャー屈指の長打力を買われて2016年に7年総額1億6100万ドル(約168億2000万円)で契約(当時29歳)したが、16年こそ38本塁打を放ったものの成績は年々下降。18年には16本塁打まで落ち込み、打率は規定打席に到達した選手としてはメジャー史上最低の1割6分8厘と散々だった。

 19年には前年から引き続いて62打席、54打数ノーヒットを記録。これはいずれもメジャーワースト新記録だ。今季も16試合の出場で打率1割1分5厘で、ホームランはついにゼロ。9月に左ひざのけがで負傷者リスト入りし、シーズン絶望となってしまった。

 現役唯一の三冠王経験者であるミゲル・カブレラ(タイガース)も、かつての輝きが戻らない大型契約選手の一人。2012年にメジャーでは45年ぶりの三冠王となったカブレラは、2014年に実質10年総額2億9200万ドル(約305億2000万円)でタイガースと契約延長(当時30歳)した。

 ところが16本塁打に終わった17年から長打力が一気に落ち込み、今季は52試合に出場した時点で7本塁打、長打率3割7分、OPSは6割9分2厘とすっかり凡庸な打者となってしまっている。打撃力重視の選手なだけに、この数字では誰も納得しないだろう。

 彼らのように30歳を過ぎてからの長期契約はリスクがあり過ぎるとして、近年では及び腰となるチームも出てきた。その一方で注目を集めているのが、メジャーデビュー前の若手有望株と、比較的低い総年俸で長期契約を相次いで結んでいるホワイトソックスだ。

 まず、ホワイトソックスは2019年3月にエロイ・ヒメネス外野手と6年4300万ドル(約44億9000万円)で長期契約を結んだ。もともとはカブスのマイナー選手だったヒメネスは2017年7月にトレードでホワイトソックスへ移籍。18年には3Aでの55試合で打率3割5分5厘、12本塁打、33打点をマークした。この活躍を高く評価したホワイトソックスは、究極の先物買いとしてヒメネスと長期契約に踏み切ったのだ。

 結果として、ヒメネスは19年に122試合に出場して打率2割6分7厘、31本塁打、79打点の堂々たる成績をマーク。今季も52試合出場の時点で打率2割9分7厘、本塁打と打点はいずれもチーム2位の14本、41打点の活躍を見せている。ホワイトソックスの先行投資はひとまずの成功を収めたといっていいだろう。

 ヒメネスの活躍に気をよくしたのか、ホワイトソックスは今年1月にもメジャーデビュー前のルイス・ロベルト外野手と6年5000万ドル(約52億3000万円)の契約に踏み切った。パワーではヒメネスに一歩譲るものの、走力と守備力も備えたファイブツールプレーヤーの呼び声も高いロベルトは開幕戦からスタメンに名を連ねると、デビュー3戦目でツインズの前田健太からメジャー初アーチを放って大器の片鱗を見せた。

 その後はバッティングのアジャストにやや苦しんでいるものの、51試合出場の時点で打率2割3分ながら11本塁打、30打点、8盗塁は十分に合格点と言っていい。さらにセンターでの広い守備範囲でリーグトップの刺殺数を稼ぐなど、守備でもチームに貢献しているのはヒメネスにはない強みとなっている。

 では、今後も2人のようにメジャーデビュー前の長期契約例が増えるのだろうか……。実は、ヒメネス以前にもメジャーデビュー前に長期契約を結んだ2人の選手が存在する。いずれも、ヒメネスのように将来を嘱望されていたが、期待に応えられていないという過去もあるのだ。

 2014年に5年1000万ドル(約10億5000万円)でアストロズと契約したジョン・シングルトンは通算114試合に出場して打率1割7分1厘に終わり、わずか2年で戦力外となった。2018年にフィリーズと6年2400万ドル(約25億1000万円)で契約したスコット・キンガリーは2年目の19年に19本塁打とまずまずの結果を残したものの、3年目の今季はレギュラーに定着できず、31試合出場時点で打率1割4分7厘にとどまっている。

 ホワイトソックスのように先行投資が当たれば、大活躍後の年俸高騰の原因となる年俸調停を後ろ倒しにできるなどのリターンは大きいが、そのためには確度の高いスカウティングレポートが求められる。実績の乏しい若手の成長予想は難しく、さすがにこの形での契約が主流となることはないだろう。

 だがメジャー契約前に長期契約をした選手が現れたなら、それは間違いなく超逸材とみなされた有望株だ。ヒメネスやロベルトに続く若きスター候補の誕生には今後も注目していきたい。(文・杉山貴宏)







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このニュースに関するつぶやき

  • 野手は35過ぎたら露骨にメジャー契約もらえなくなるし、パフォーマンスのピークは28歳説まで出てきてるもんなあ。 https://mixi.at/aeTXqsC
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  • 長期契約はほどほどに。
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