中日のチェン獲得見送りは「賢い選択」か…近年の低迷ぶりは想像以上に“深刻”?

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2020年09月26日 16:00  AERA dot.

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写真中日ではエース級の活躍を見せたチェンだが… (c)朝日新聞社
中日ではエース級の活躍を見せたチェンだが… (c)朝日新聞社
 ロッテがチェン・ウェインと契約を結んだ。優勝へ向けなりふり構わない姿勢は、これまで同球団になかったものだ。

【写真】「巨人・菅野智之以上」の呼び声が高い中日の投手といえば…

 元中日、メジャーリーグで活躍した台湾人左腕だが、果たしてロッテのリーグ制覇に貢献できるのだろうか……。

「実績もあり値段も格安ですが、さすがに耳を疑った。中日時代は打てそうで打てない投手として有名だった。渡米した当初は順調だったが、晩年はチームに貢献できない状況。球速も落ち、持ち前の制球力も下がっていた。ロッテはリーグ優勝を狙えそうな位置におり、投手陣は若手中心でうまく回っている。1枚でも多いのに越したことはないが、チェンとは思わなかった」(ロッテ担当記者)

 9月21日、チェンのロッテ入団が発表された。9年ぶりの日本球界復帰で選んだのは、中日時代の10年に日本シリーズで対戦経験あるロッテだった。

 NPBでは04年から11年までの8年間、中日に在籍。127試合登板36勝30敗1セーブ、防御率2.59の成績を残した。その間、落合政権下で“常勝チーム”となった中日のローテーションでエース級の存在となった左腕は、新天地ロッテで『年俸3000万円の優勝請負人』として大きな期待をされている。

 03年末、国立体育学院学生のまま中日へ入団。成長を重ね09年には最優秀防御率のタイトルも獲得した。

 11年オフにボルティモア・オリオールズへ3年1200万ドル(約12億7000万円)で移籍。12年12勝、14年16勝、15年11勝と2桁勝利を重ね、期待に違わぬ活躍をみせた。15年オフにマイアミ・マーリンズと5年総額8000万ドル(約84億5000万円)という大型契約を結ぶ。しかし、移籍後は低迷し16年5勝、17年2勝、18年6勝と結果が出ず。19年は中継ぎで45試合登板、0勝1敗、防御率6.59に終わり契約を1年残して自由契約。今季はシアトル・マリナーズとマイナー契約を結んでいたが、6月にリリースされていた。

「ロッテはローテーションに変化を加えたかった。現在、先発投手が試合を作り、ブルペンが頑張って試合を作るのがプラン。打線の核となるブランドン・レアードも故障してしまい得点はあまり見込めず、これまで以上に投手陣の踏ん張りが求められる。しかしコロナ禍による過密日程で連戦が続き、疲労も蓄積してくる。右投手が並ぶ先発投手陣の中に左投手が1人でもいれば、目先を変えることもできる。総合的に考えれば良い補強になると思う」(ロッテ担当記者)

 今季はここまで石川歩、美馬学、種市篤暉、二木康太、岩下大輝、小島和哉、中村稔弥の7人が主にローテーションの中心となっている。この中で左腕は小島、中村稔弥の2人だけ。近年DeNAなどは左投手を多く入れ、ローテを編成する球団が増えている。ロッテはその中でも異色であると言えたが、ここにチェンが1人加わるだけでも層が厚くなるのは言うまでもない。故障者も出始める時期だけに、一刻も早いチェンの合流が待たれている。

 だが、チェンが近年メジャーで全くいい投球ができていなかったのは先述の通り。

 他球団のチェンに対する評価も芳しくないものが多い。米国時代の晩年、マーリンズ移籍後の3年間は安定感を欠いていた。また中日時代の06年に靱帯断裂と疲労骨折で手術をした左ヒジを再び故障するなど、常に不安がつきまとっている状態。コロナ禍で球団経営も圧迫され、各選手に対する評価もシビアになっている。米国でのチェン株は下がり続けていたというのだ。

「故障の影響が大きいという判断。かばいながら投球するので、左ヒジが下がり身体の開きが早くなる。チェンの大きな特徴は、打者から腕が見えにくく、リリースがわかりづらい点。同じ左投手で言うとソフトバンク和田毅のよう。加えて腕を多少、下げ気味で振るから、左打者にとっては身体の後ろから球が向かってくる。右打者もかなり遠くからクロスファイヤー気味に食い込んでくる。特筆すべき球種がなかったのに三振が取れたのは、投球フォームによる部分が大きい。故障の影響で以前のような打ちにくい投手ではなくなった」(MLBアジア地区担当スカウト)

 ロッテ同様、チェン獲得の可能性が取り沙汰されたのは古巣・中日だった。黄金期を築いた左エースだったため、いまだに多くの人の記憶に残っている。「将来の中日復帰を容認する」、という意見が球団内で多数だったと言う証言もある。マーリンズから自由契約となった際には、チェン獲得に動くため、情報収集などの準備もされていたという。

 しかし今回は獲得に積極的でなく、ロッテに先を越されても球団内ではほとんどが意に介していないという。

「マーリンズ時代に調査したところ、左腕の故障はかなり重症だと判断された。実際に近年は目立った活躍もしておらず、リスクを犯してまで獲得する必要がなかった。また契約等に介在する代理人の存在も気になった。ロッテのように1年目は破格値でも、翌年以降のオプションでかなり強気な交渉を仕掛けてくるのは見えている。結果は出ていないが左投手の数だけは揃っている中日なので、トータルで考慮した結果で獲得は見送ったのだろう」(中日担当記者)

 チェンの今季契約はマリナーズが10万ドル(約1060万円)のマイナー契約分。加えて前所属マーリンズとは、20年までの契約を昨年破棄されたため、残り1年分の年俸約2200万ドル(約23億2000万円)が残っていた。

 今季はお金に困らないチェンとロッテは3000万円と言う破格値で契約できたが、来年以降は通常モードの契約姿勢に戻ることは必至である。なぜならチェンの代理人は超敏腕と言われるスコット・ボラス氏だ。

「リーグ優勝の大チャンス。先日の澤村拓一もそうだが、勝利を知っている選手の存在は周囲に大きな影響を及ぼす。パ・リーグにはソフトバンクという常勝球団がいる。選手層も厚く、予算規模はうちとは比べ物にならない。でもチームとしては過渡期に差し掛かっている。ベテラン選手も多いが、経験がまだ少ない選手が試合に出ている今年はスキも出てくるはず。実際に直接対決での相性は良い。まずはなんとしても優勝する。優勝すればグッズも売れたりして、お金もどんどん入ってくる。来年以降は二の次です」(ロッテ球団関係者)

 05年はリーグ優勝からの日本一。10年は下克上からの日本一。「5年周期で強いロッテがやってくる」と言われたが、15年は何も起こらなかった。そして何かと世間が騒がしい20年大きな機会が訪れた。「これを逃すまい」とロッテが一丸となっている。

 これまでは考えられなかった、立て続けのビッグネーム獲得である。

 一足早くマウンドに上がった澤村はチームの起爆剤になりつつある。チェンはどうなのかに注目したい。

このニュースに関するつぶやき

  • 中日が獲りに行くのなら、マイナー契約が決まった春の時点。優勝争いと無縁の開幕後に獲りに行く理由はない。若手を使ったほうがいい。優勝争いの最中のロッテとは事情が違う。
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  • 古巣の中日も何だかんだ言って獲得する財源が無かったのと「何が何でもAクラス」という気持ちがないから獲らなかったんでしょうね。
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