人間は強いときも弱いときもある ALS患者が「死にたい」と思う社会に問題

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2020年09月26日 17:00  AERA dot.

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写真2019年、参議院議員選挙で初当選したALS患者の舩後靖彦氏(れいわ新選組)が、参議院文教科学委員会で質問に臨んだ(写真/朝日新聞社)
2019年、参議院議員選挙で初当選したALS患者の舩後靖彦氏(れいわ新選組)が、参議院文教科学委員会で質問に臨んだ(写真/朝日新聞社)
 ALSだった女性患者から殺害を依頼された医師2人が、嘱託殺人容疑で逮捕された衝撃の事件は日本社会にさまざまな問題を投げかけた。同じALS患者の女性はどのように感じたのだろうか。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」10月号では、社会のあり方について考えた。

【写真】ALS患者への嘱託殺人事件の現場となったマンション

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 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)だった京都市の女性患者(当時51歳)が昨年11月、急性薬物中毒で亡くなった。京都府警が捜査したところ、女性が自分を殺害するよう医師に頼み、薬物を投与されていた疑いが明らかになった。府警は今年7月、関わったとされる医師2人を嘱託殺人容疑で逮捕した。真相を解明するため、今後、刑事裁判が開かれる。

 ALSは、体を動かす神経が障害を受けて筋肉がやせ、だんだん力が入らなくなっていく病気だ。身動きできなくなるが、知覚をつかさどる神経は障害を受けず、見たり聞いたり、冷たさや痛さを感じたりはできる。そのため、患者は精神的な負担が大きいとされている。  8年前にALSを発症した医師の竹田主子さん(50歳)は「初めは大変ショックを受け、自分が無力で価値のないものに思えた」と言う。

「どんどん体が動かなくなるのは恐怖です。治らないとなると、人生に絶望し、死にたくなります」

 竹田さんは、自分のために家族が今までどおり生活できないことが申し訳なく、生きていること自体を罪に感じたという。傷つくことを言われ続け、「そんなに目障りなら死んでやる」と考えたり、「肺炎になっても治療はいらないし、そのまま死にます」と当時通っていた病院でカルテに書いてもらったりしたこともあったそうだ。

 前向きになれたきっかけは、ヘルパーの支えで家族に迷惑がかからなくなったことと、視線で入力できるパソコンをとりいれ、仕事や交友関係が広がったことだった。体は不自由でも、自分の価値が下がったわけではない。そう悟り、病気を受け入れるまで4年かかったという。

「人間は強いときもあれば、弱いときもある。患者が『死なせて』と発したら、寄り添って耳を傾け、解決する手だてがあるなら全力でサポートしてあげてほしい」。竹田さんはそう求める。

 今回の事件を機に、医師が薬を使って患者を死なせる積極的安楽死や、薬の処方や提供を通じて自殺を助ける自殺幇助について議論を呼びかける人たちもいる。世界には法律で認める国・地域がある一方、日本では原則違法だからだ。だが、「死にたいと思わせる社会に問題がある」との見解を、難病患者や障害者らの団体「日本自立生活センター」(京都市)は発表した。同センターは「差別や偏見の解消、介護・医療の受け手と担い手がともに安心して生きられる体制の充実がまず目指されるべきだ」としている。

【筋萎縮性側索硬化症(ALS)】
 体を動かす神経が障害を受けて筋肉がやせ、だんだん力が入らなくなっていく病気。進行の速さには個人差があるが、人工的な呼吸補助がないと生命を保つのが難しい傾向にある。根本的な治療法は確立されておらず、遺伝子治療などが試みられている。日本の患者は現在9千人を超えるとされる。患者を支える国際機関によると、発症率は人口10万人あたり2人程度という。

(朝日新聞大阪本社社会部・花房吾早子)

※月刊ジュニアエラ 2020年10月号より

このニュースに関するつぶやき

  • たとえ持病持ちに生まれたとしても、それを誰かのせいにするような人間にだけはなりたくない。人間、それも現代の日本人に生まれただけでもめっけもん。宝くじに当たったようなもの。w
    • イイネ!7
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  • 死にたいなんて思う人は、今も昔も世界中にいたでしょ〜が🤪その理由だって千差万別🤪それをただひたすら社会(日本)のせいにするっつ〜のは、おかしな話だわさ🤪
    • イイネ!60
    • コメント 17件

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