天皇の“夜のお出かけ”事情に衝撃!? 「都市伝説」と化した大胆すぎる事件とは【日本のアウト皇室史】

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2020年09月26日 20:12  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

皇室が特別な存在であることを日本中が改めて再認識する機会となった、平成から令和への改元。「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な「皇族」エピソードを教えてもらいます! 前回まではこちら。

――これまで、4回にわたって秩父宮勢津子妃の著書『銀のボンボニエール』(主婦と生活社)から、妃殿下の生活を繙いてきました。戦前の皇族がたは、今よりも自由だったのでしょうか?

堀江宏樹氏(以下、堀江) 「自由」って解釈が難しい言葉ですね(笑)。少なくとも自由になる資産という点では今よりも多かったでしょうね。

 ただ、皇族の方々は、護衛なしにはちょっとした外出もできないのでは? という話なら、天皇ご一家の場合、戦前でも三越などのデパートに女官や侍従を送って、代理で、それとなく買い物してもらうというのが基本だったようです。(『椿の局の記』など)。やはり女官や侍従は、俗世の者とは異なる空気をまとっているものらしく、店側にはバレバレだったようですが(笑)。

 そういう一方で、天皇ご一家以外の皇族ということになると、行動の自由度は一気にあがり、宮妃がご自分でデパートにお買い物もよくあったようです。戦前に美貌の宮妃として有名だった、梨本宮伊都子(なしもとのみや・いつこ)妃の日記を拝読していると、好きな歌舞伎俳優に三越ですれ違ったから、ワクワクしたとかそういうことが書かれていますね。

――なるほど。立場によって、外出の自由度もだいぶ変わるのですね。男性皇族のお出かけ事情どうだったのでしょうか?

堀江 さきほど天皇家の方の場合は買い物ひとつとっても代理を立てていた……というようなお話をしましたが、男性の方、それも“夜”のお話となると、ちょっと別なのかもしれません。

 などというと、また意味深な感じですが、皇太子時代の大正天皇が、ワイン1本おみやげに、(親戚である)朝香宮家にふらっと出かけていった、という逸話があるのです。

――つまり、夜=オフの時間という意味なんですね(笑)。でも、ふらっと外出するなんて、ずいぶん自由で大胆でいらっしゃいますね!

堀江 はい。そのことは少し後には皇族の間でも「都市伝説」と化していたようです。「ワインでふらっと事件」の真偽について、大正天皇の皇子である高松宮宣仁親王に、高松宮さまの甥にあたられる三笠宮寛仁親王が「直撃」するという記事がありました。ソースは昭和51(1976)年2月号の「文藝春秋」(文藝春秋)です。

 戦後の皇族である三笠宮さまにとって、皇族、それも皇太子殿下がワイン片手に思いつきで出かけられるような空気が昔、あったなんてことは、ウソみたい思われたのでしょう。

 具体的には「新春座談会 皇族団欒(だんらん)」という記事なのですが、参加者も、『銀のボンボニエール』の秩父宮勢津子妃、三笠宮寛仁親王、高松宮宣仁親王と喜久子妃と、皇族だらけで超豪華です(笑)。まぁ、現代では考えられないような面白い記事ですよね。

 さて、質問者の三笠宮寛仁親王は、当時30代に入ったばかり。この方は、戦後生まれです。当時の「若手皇族代表」として、叔父上にあたる高松宮さまに色々な質問をしておられます。大正天皇ワイン片手にふらっと伝説についてもその一つなんですが、高松宮さまは「それはありうる」、と。

 この時、面白いのが高松宮さまが「世間でもそういう付き合いを気軽にしていたから、皇室だって、天皇だってそういうことをしても普通だったんだろうね」というような回答をしていること。

――ええっ。でも警備などは?

堀江 そうなんですよね。でも高松宮さまにいわせると、戦前は警備自体「あんまりなかった」……すごい時代ですよね(笑)。逆に自由すぎて、少しコワイかもしれません。ただ、第二次世界大戦が近づくほどに皇族の警備は厳重になっていきました。大正天皇皇后で、当時は皇太后だった節子(さだこ)さまが「公務に支障が出る」と零される程度には厳しくなっていたようですが。

――今では、佳子さま眞子さまがプライヴェートでご外出というときも電車にSPもそれとなーく随行とか、黒田清子さんにもいまだにSPが……という話なのに。

堀江 そうなんですよ。宮家同士が「ギャーっと集まってにぎやかにやっていた」のもその頃はよくあった、と。ただ、高松宮さまの分析によると、その頃は年末年始の挨拶も直に会ってするのが普通だし、季節の変わり目の挨拶などもそうやっていたから、交流が密になって、自然に絆も濃くなっていた。でもそれは皇族だけでなく、一般家庭も同じだったのでは……と。

―――たしかに言われればそうかもしれません。お中元を持って相手のお家をご訪問、とかかつては一般的な光景だったようですし。いまはCMの中だけの世界になってますが。

堀江 そうですよねぇ。でも皇族の自由が制限されるようになったのは、警護面のほかにもう一つ大きなファクターがあって、それが一番はじめに申し上げた、経済面だというのです。

 戦前の皇室は、御料林(皇室財産であった森林)などをふくむ、皇室財産が保証されていて、それゆえに世界でも有数の富豪でした。それで非課税ですからね(笑)。でも、戦後になると、そういう財産源は失われ、広いお屋敷も財産税で没収されてしまいます。ただし、現在でも「皇族費(※非課税)」というのがあって、これがそれぞれの皇族に支給されることにはなってはいますが。

――令和二年では、皇族お一人あたりいくら、と決まっているようで、最低でも年額3050万円からのお世界のようですね。なかなかの数字のようにお見受けするのですが……。

堀江 たしかに庶民の目には「巨額」ではありますけれど、庶民にはない大きな出費も覚悟です。あれやこれやで一般庶民よりも、お金がかかるというのは事実です。

 雲の上の方々の生活ですからね。それに皇族方は戸籍がないゆえ、健康保険に入れないので、保険診療が受けられないそうで、すべてが自費。現在でもそのようですよ。皇居内の病院も、皇族は無料とかではないようですし。あれやこれやで一般庶民よりも、お金がかかるというのは事実です。

 天皇家の場合は、宮廷費というものがあって、この中から高額医療費のお支払いも可能なようですが、その他の皇族ということになれば……ということで、ご身分にふさわしいお屋敷の維持・管理、さらに人員の配置などもあり、それらの支払いをいれていくと、そこまで「裕福というわけではない」という「皇族団欒」の記事でのみなさんのご主張は、今でもとくに変わらずといったところでしょうか。

――皇族が自由でいられるかには、「時代の空気」の影響も大きいでしょうね。

堀江 そうですね。例の記事「皇族団欒」が出た昭和後期から平成初期あたりまでの比較的自由な空気は、今はありません。こういう皇族だらけの座談会の記事が出るということは、文藝春秋編集部によると「現在では絶対実現不可能」だそうです。

 高松宮さまが「70歳過ぎたのに都営バスが無料にならないから、美濃部亮吉(みのべ・りょうきち)都知事(当時)に直談判して権利を勝ち取った」とかすごい談話も含まれていて、スリリングでした(笑)。

 皇室の支持率は現代でも高く、文字通りのカリスマです。しかし皇族方に現代の一般庶民が求めているものは、「人間らしさ」より、清く正しく美しい「聖人君子」のイメージが強いかもしれませんねぇ。

 だから秋篠宮家の内親王の結婚問題なども、いろいろと外野が騒いでしまうのでしょうが……今後、どうなるのか、ある意味不安、ある意味楽しみではありますね。

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