天龍源一郎が語る“大病後の健康” 小脳梗塞発表直後、高田延彦からの「150歳まで生きて!」は嬉しかった

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2020年09月27日 07:00  AERA dot.

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写真天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ。「ミスター・プロレス」の異名をとる。63年、13歳で大相撲の二所ノ関部屋入門後、天龍の四股名で16場所在位。76年10月にプロレスに転向、全日本プロレスに入団。90年に新団体SWSに移籍、92年にはWARを旗揚げ。2010年に「天龍プロジェクト」を発足。2015年11月15日、両国国技館での引退試合をもってマット生活に幕を下ろす。(撮影/写真部・掛祥葉子)
天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ。「ミスター・プロレス」の異名をとる。63年、13歳で大相撲の二所ノ関部屋入門後、天龍の四股名で16場所在位。76年10月にプロレスに転向、全日本プロレスに入団。90年に新団体SWSに移籍、92年にはWARを旗揚げ。2010年に「天龍プロジェクト」を発足。2015年11月15日、両国国技館での引退試合をもってマット生活に幕を下ろす。(撮影/写真部・掛祥葉子)
 50年に及ぶ格闘人生を終え、ようやく手にした「何もしない毎日」に喜んでいたのも束の間、突然患った大病を乗り越えてカムバックした天龍源一郎さん。2月2日に迎えた70歳という節目の年に、いま天龍さんが伝えたいことは? 今回は「大病後の健康」がテーマに飄々と明るくつれづれに語ります。

【写真】ジャンボ鶴田園から届いた秋の味覚を手にする天龍さんはこちら

*  *  *
 2019年4月に小脳梗塞を発症して、9月にそのことを発表してから約1年が経った。それから今までもつつがなく生活をしているが、今でも心配してくれるファンもいるようだからその後の健康状態を話しておこうと思う。今の俺のからだの状態だけど、からだは年を重ねると衰えるものだし、現状がこの時点でのベストだと思って暮らしているのが正直なところだね。まあ、この年だしこんなもんだろうって受け入れている俺がいるよ。もう少し若かったら「もっとあれができた、これができたはず」と思っていたんだろうけどね。今はなすがまま、あるがままだよ。

 今は脊柱管狭窄(きょうさく)症の影響もあるのか歩くときには杖が必要になってしまった。杖は一度使い出すと癖になって、無いと歩けなくなるもんだね。この杖が無かったら女房の買い物の荷物を持ってやれるのにという腹立たしさがある一方で、どうやったら杖を持ってカッコよく歩けるかを研究している俺もいる(笑)。杖を持って散歩していると、お年を召した先輩にまで追い抜かれるんだよ! これは悔しいし、癪に障るね(笑)。抜かれたら抜き返してやろうと思うんだけど、なかなか追い越せないのが悔しい。今の俺の目標は散歩している先輩たちを追い抜くことだ。(笑)

 そもそも俺の歩き方は脊柱管狭窄症をやる前から相撲取りの特徴でのっしのっしと歩く癖がついているんだよね。プロレス時代もジャイアント馬場さんに「おい天龍、リングの上をのっしのっしと歩くな! 機敏に見えないぞ!」と怒られていたからね。今にして思えばこのことだったかと、ようやくわかったよ(笑)。

 健康にも気を遣っているというか、無茶をしなくなったね。しなくなったのかできなくなったのかはわからないけど……。現役時代はもちろん、イケるところまでどんどん行くというスタイルだったからね。そこにボーダーラインができたというか、リスクマネジメントができるようなったのかな。別に長生きしたいというわけじゃなくて、他人に迷惑かけてまで生きたくないという思いの方が強い。

 現役を引退したときも思うように動けない自分がいて、こんなんじゃあ天龍源一郎じゃないし、家族に何かあったときに守れなくなるのも嫌だったから身を引いたんだけど、でも、今となっては女房や娘にからだがあまり芳しくない天龍源一郎に気を遣わせているのが悔しいね。いろいろ気を遣ってくれることに対して「そんなに気を遣わなくていいんだよ!」と怒りっぽくなる一方で、「ありがとう」という気持ちも大きい。難しいところだね(苦笑)。

 あれだけ飲んでいた酒も今はあまり飲まなくなった。このご時世で出かけなくなったというのもあるのかな? 以前は家にずっといるとイライラ、ソワソワしてきて夕方頃になると女房から「どこかに飲みに行って来なさいよ」と言われていたのが、すっかり家で落ち着いてしまっている俺がいるんだから不思議なもんだよ。家にいては映画や旅番組を見たり、競馬をやったりだね。

 仕事はちょうどいい加減だね。代表(※娘の紋奈さん)がしっかり土日を空けてくれるから、趣味の競馬もできる。以前、具志堅用高さんとお会いした時に、土日は仕事のスケジュールを入れないようにしていると聞いて、そういう生き方もいいなって思って俺も真似するようにしたんだ。まあ、具志堅さんは土日にボクシングジムで指導をするから仕事を入れていなかったんだろうけど、俺は競馬だ(笑)。なにせ相撲もプロレスも土日こそ忙しい職業だし。思えば、中学生で相撲の世界に入って、小学生の頃は実家が農家だから土日のたびに農作業を手伝わされていたから、引退してようやく土日休みを手に入れたよ。相撲、プロレス時代はいつも何かに追われるような感じでダーッと過ぎていったから、今のように土日がちゃんと休みで趣味の競馬もやれているのは儲けものだよね。

 さて、この1年間の仕事で特に印象深かったのは、やっぱり今年2月に行ったアントニオ猪木さんとトークバトルだね。猪木さんはライバル団体=新日本プロレスのトップだし、俺は1度戦って勝って、再戦もしていないから勝ち逃げ状態だ(笑)。猪木さんからしてみたら「他団体の奴が勝ち逃げしやがって!」というところだろうけど、そんなことおくびにも出さないで対談を受けてくれたうえに、俺の声真似までしてお客さんを魅了していた。猪木さんの周りには一度辞めて離れていった人もまた戻ってこさせる何かがあるんだよね。猪木さんはブラジルに渡って、力道山関に見いだされ、プロレスに来たという経緯があるからか、人間的に小さなことにこだわらなくなったんだろうね。

 逆に馬場さんは、俺が全日本プロレスを出るときに「俺が全日本を辞めるって言ったことは忘れないでしょう?」って聞いたら「俺は絶対に忘れない」ってきっぱり言ったからね。どっちがいい悪いじゃなくて、2人はそれだけ性格が違うっていうことだ。今年2月にプロレス殿堂会を立ち上げて、そのイベントでも猪木さん、藤波辰爾、長州力と出席したけど、もし生きていたら馬場さんも出席していたと思うよ。

 それから前田日明との対談も印象的だったね。彼は格闘技がやりたかったというよりも、プロレスが世間からとやかく言われているのが嫌で、そんなことを言わせないことをやろうとしていたんだと思うよ。それで確立したのが新格闘技と呼ばれたUWFだ。決してプロレスが嫌だったんじゃなくて、プロレス界にあった“緩さ”みたいなのが嫌だったんじゃないかな。その後もリングスやTHE OUTSIDERを立ち上げたりと、話題を提供してくれているね。俺は前田とは対戦したことがないから、彼からはずいぶん過大評価されているようだよ(笑)。

 なにより驚いたのが、今の体重が130キログラムあって彼の人生の中でも今が最高に重いってことだ。さすがに俺も「デカいな!」と思ったよ(笑)。こういう職業をやってると引退しても逆三角形でいたい、筋骨隆々でいたいと思いがちだけど、前田は「このままでいいんですよ」と言って、自分を卑下するわけでも何かにこびるわけでもなく、自分に自信持っていると感じたね。
 
 高田延彦とのトークバトルも楽しかった! 小脳梗塞を患ったと発表した直後の昨年の9月22日だったもんで、彼から「天龍さん、元気出して150歳くらいまで生きてください!」って言われたよ。他団体のエースだった高田からそう言われのが嬉しかったね。彼は引退後にPRIDEやハッスルをやっていたけど、他のプロレス団体にこうして協力したのは初めてだと言っていた。だから俺のトークバトルを受けてくれたことも嬉しかったね。彼もUWFインターナショナルを作って、看板選手としてやっていたというプライドやこだわりもあるだろう。なによりファンを裏切っちゃいけない、がっかりさせちゃいけないって思いが強いから下手なことはできないと思っているんじゃないか。特に彼のファンは熱いからね!

 俺のファンもなかなかいい年齢になってきてるだろう?(笑) 俺がそんなファンに伝えたいのが、自分自身に過信しないで、ちょっとでもからだがおかしいと思ったり、兆候があったりしたら病院で診てもらうことだね。俺の小脳梗塞のときは1回目は女房が、2回目は娘がおかしいと気づいて救急車を呼んでくれたからよかった。2回目のときに俺は「救急車なんかいいよ、カッコ悪い」って言っていたんだけど、周りの言うことはちゃんと聞くもんだよ……。

 年を取ると衰えるのは当然で、そんな姿をみんなに見せるのも俺たちの今の役目だと思っている。俺が猪木さんにずっと元気でいてほしいと思うように、ファンから「天龍、もっと元気になってくれ!」と思ってくれていたら嬉しいね。俺だって人前に杖をついて出るのは嫌だと思うこともあるけど、年を取って変わった自分を素直に受け入れて消化している俺もいる。

50代のときは30代のような見た目でいたいと思っていたけど、今となってはね、おネエちゃんにもモテなくなったし、いいかなって思うよ。(※ここで代表=娘の紋奈さんが発言)「別にまだ若いおネエちゃんと遊んでもいいんじゃない〜」。うちの代表はこんなことを言ってるがどうしたもんだろうか(笑)。

(構成・高橋ダイスケ)

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