イニエスタの神パスが隠す神戸の問題。監督交代劇が起こす継続性のなさ

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2020年09月27日 17:51  webスポルティーバ

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◆「消えていった天才Jリーガーたち」>>

 ヴィッセル神戸を語るとき、アンドレス・イニエスタについてばかり書くべきではない。

 勝利は選手全員の力でもぎ取るものだろう。実際、北海道コンサドーレ札幌戦でも古橋亨梧は卓抜としたスピードと決定力を見せつけ、終盤に入った19歳のルーキー、小田裕太郎は血気盛んにボールを追いかけ、冷静にゴールを決めた。4−0という勝利は、紛れもなくチームのものだ。

 しかしながら、イニエスタの存在は神戸というよりも、Jリーグ全体にとってさえも、あまりに巨大である。ほとんど彼ひとりで勝負を決めてしまう。別格なのだ。

 三浦淳寛新監督がどのような采配を振るのか。その監督デビュー戦で、イニエスタがご祝儀を送った。それがこの夜の真実だった。




 9月26日、ノエビアスタジアム神戸。神戸は本拠地に札幌を迎えている。トルステン・フィンク監督が退任し、マルコス・ビベスコーチが暫定監督として率いてサガン鳥栖戦に勝利した後、三浦監督が就任。またしてもシーズン中での監督交代になったわけで、どんな理由にせよ、それはポジティブなことではない。

 そして若手主体のメンバー構成になった札幌を相手に、神戸は序盤、ほとんど攻撃が作れず、守備は簡単にラインを突破されていた。相手FWに反転されて大崎玲央が入れ替わられ、後手に回ったトーマス・フェルマーレンのタックルもファウルに見えたが、あわやの決定機に笛は鳴っていない。チームとしての動きがチグハグで、個人任せ。得点よりも失点の予感が漂った。

「我々がやりたいサッカーという点では、満足はいっていません。そこは正直なところです」(神戸・三浦監督)

 その流れを、イニエスタが一変させた。

 15分、左サイドに流れたイニエスタは、タッチラインで相手をダブルダッチのドリブルで抜き去る。左足でドウグラスに折り返し、落としたボールを安井拓也がシュートするが、惜しくもブロックされた。得点には至らなかったが、これを契機にチームはペースを握る。古橋のシュートなど、敵を押し込むようになった。

 そして19分、敵陣で回すパスを受けたイニエスタは、左サイドで高い位置をとった酒井高徳に一度ボールを預けると、そのリターンをワンツーで、線を引くように裏へ通し、駆け上がる酒井に正確に合わせた。そのマイナスの折り返しを、エリア内で古橋がGKの逆をついて流し込んだ。

 イニエスタのショーは続いた。

 前半終了間際、GKが蹴ったボールをセンターサークル付近で競り合い、そのこぼれた球を、イニエスタはまず完璧なコントロールで止める。そして、完璧なビジョンとタイミングで、完璧なパスを前線の古橋に通した。古橋の突破はブロックされたが、そのこぼれ球を郷家友太が蹴り込んだ。

 スペインの天才MFは、ほとんど何もないところからチャンスを生み出した。

 後半は、神戸が再び劣勢になった。パスを繋げるどころか、守備組織はしばしば混乱し、バックラインの前にパスを通された。これでは"バルサ化"など幻想だろう。サイドも、特に右は札幌の攻撃に翻弄されることがしばしば。敵のフィニッシュ精度の低さに助けられていた。

「大差がつくような試合内容ではなかった。若い選手主体で、アグレッシブに戦ってくれたが、ワンツーから崩されて失点し、その後も安い失点を与えてしまった」(札幌/ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)

 札幌のほうが組織としては秩序があった。

 しかし後半17分、またもイニエスタが"降臨"する。エリア内にいた味方のヘディングクリアを自陣で拾うと、敵ゴールに背を向けてコントロールした後、左足で躊躇なくロングパスを送る。センターラインギリギリで抜け出した古橋に合わせ、GKとの1対1から3点目が決まった。相手のラインが高く、前がかりになっていたのを、背番号8は察知していた。

 この後、終盤に交代出場した下部組織出身のFW小田もプロ初得点を決め、4−0という大勝になった。お膝元での祝祭だ。

「前節、(鳥栖に)勝っていたことで、いい流れで戦うことができました。自信を持って戦えれば勝てる。チームが勝つことによって、自分も自信を持ってプレーできる」(神戸・古橋)

 ただし、勝つことは問題点を隠すことにつながる。組織としての機能性の悪さが改善されずに潜むことになる。論理的な勝ち筋を確立できていないために戦いが安定しない。神戸は問題が発生すると、それを乗り切る前に監督交代劇が起こってきた。その継続性のなさで、集団としての根を張った強さに結びついていかないのだ。

 新監督がチームを変化させるには、ある程度の時間が必要である。2日や3日で守備を立て直し、攻撃で主導権を握るサッカーを仕立てる魔法はない。できることは、士気を高めることくらいで、その点、監督交代がカンフル剤になったのは事実である。

 しかし、その薬の効果はせいぜい2、3試合で切れる。やはり、イニエスタに祈りを捧げるしかないのか。三浦ヴィッセルが現実と向き合うのはこれからだ。

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  • 神戸は確かに神姫バスだ!ヘ(__ヘ)☆\(^^;ナンデヤネンバスちゃうわ!パスや!
    • イイネ!12
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