コロナ解雇された当事者に聞く「不穏な気配を感じた?」

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2020年09月28日 09:02  日刊SPA!

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写真会社から渡された解雇通知書を広げる沖田さん。「予想を下回る売り上げ」「債務超過」「会社存続の危機」などの解雇理由がつづられている
会社から渡された解雇通知書を広げる沖田さん。「予想を下回る売り上げ」「債務超過」「会社存続の危機」などの解雇理由がつづられている
 新型コロナウイルスで経済状況の逼迫は拡大の様相を見せている。企業の倒産は右肩上がりで、厳しい舵取りが予想される。そんな中、実際にコロナ解雇に遭ってしまった人々が感じた「予兆」とはどんなものだったのか。その真相に迫った。

◆調理師として高給で採用も新規オープン日が延び延びに

 帝国データバンクの集計によると、’20年上半期に倒産した宿泊業の件数は80件で、前年同期比2.2倍と急増している。

「私が勤めていた会社は、富裕層向けの会員制高級リゾートホテルを今年4月にオープンする予定でした。私はそのオープニングスタッフの調理師として2月に正社員採用で転職し、メニューを考えたり、食材の仕入れ先を探したりと、準備作業に従事していました。一日9時間の拘束で月給は前職の倍以上の48万円になって喜んでいたんですが……」

 そう話す河合清さん(仮名・40歳)が不穏な気配を感じたのは、オープンを1か月後に控えた3月のことだった。

「コロナのせいで職人が集まらず、水道や下水も開通しないし、建物の工事も進まない。そもそも山奥の立地なのに、道路の整地も終わらない状態で、これはヤバいんじゃないかと感じました」

 このときは7月にオープンを延期するとアナウンスされたが、6月に入ると9月に延期された。10人いた同僚たちが一斉にざわめきだすなか、6月中旬に会社の会計担当者から、「6月末で“解散”します」と告げられたという。

「解雇ではなく、解散という形にしてほしい、しかも『外部には絶対に漏らすな』と。雇用契約で退職金を支払いたくなかったのでしょう。しかも、建設に行政の助成金や補助金が絡んでいるのに密かに倒産を決め、その事実が工事の職人から漏れ、総支配人が村役場に詰められていました」

 解雇に際して社長の話はなく、総支配人からのメールのみ。「元からダメ会社だったのか……」と河合さんは嘆息した。

◆新経営陣が整理解雇を敢行。体質改善と全社員がクビに

 現在37歳の沖田啓介さん(仮名)は、今年6月に「コロナ解雇」されるまで、都内の印刷会社でSEとして働いていた。30万円弱の月給で約6年半勤めてきた会社から突然解雇を告げられた沖田さんだが、コロナ流行以前から会社の変化を感じ取っていたため、驚きは少なかったという。

「昨年に新社長が就任し、それを機に経営陣もガラッと変わりました。彼らが会社の体質改善のために目をつけたのが、高給のくせに全然仕事をしない、社内ニートのような50代の社員たちです。先代の社長は温情もあり、彼らの整理解雇に踏み込めなかったのですが、新経営陣は本気で彼らの粛清を考えていたようです」

 そんな折、襲ってきたコロナ不況で会社の業績は急激に悪化。会社を存続させるためという名目のもとで経営陣が採った方法は、全社員を解雇する荒業だった。

「会社は役員だけになり、若手と中堅を中心とした全体の4割ほどのメンバーが業務委託やアルバイトのような形で再雇用されています。当然、今までサボってきた50代社員たちは再雇用されず、会社はかなり身軽になりましたね」

 いわばコロナへの対応を大義名分として、長年の膿を出し切った格好だ。沖田さんは荒療治の割を食ったわけだが、90万円ほどの退職金を受け取り、フリーのSEとして継続的な受注を得ているため、不満はないという。ただ、経営陣が代わるなどした場合は「改革」の犠牲になる可能性がある。

◆業務委託契約を命じられ、リストラ宣告、そして離婚

 シャンプーなど美容室向け商品の販売会社で営業として働いていた大野隆さん(仮名・29歳)は、今年4月上旬にリストラ通告を受けた。

「3月には美容室からの発注が一日1件の状態で、前月比は7〜8割減。社長は「人員を減らしたい」と言いだしました。僕は年齢が一番若く、インセンティブの比率も高く、月給50万円のときもありましたが、4月は固定給分の15万円しか出ませんでした」

 大野さんは結婚と妻の出産を機に美容師から転身。4年間トップセールスを続けた。当初は正社員だったが、インセンティブの増加に伴い、3年目から会社の税金対策として業務委託への変更を打診され、以降は個人事業主として勤務する。しかし、それが災いした。

「営業回りが終わって帰社したら社長に呼ばれて、『業績が悪化しているので人件費を削りたい。正社員を守るために退いてくれ』と言われました。個人事業主になっていたから退職金もない。結局、都合よく扱われたのかなと思います」

 しかも専業主婦の妻にその旨を話すと、3日後には子供を連れて家を出ていってしまった。

「もともと不満が重なっていたんでしょうね。彼女の意志は固く、4月末には離婚。月8万円の養育費支払いや生命保険の加入を定めた公正証書にもサインしました。加入後2年過ぎれば自殺でもちゃんと保険金が下りるそうです」

 心労で一時は体重が8堊蕕擦燭函彼は寂しそうに笑った。

<取材・文/山田剛志・鶉野珠子・沼澤典史(清談社)>
※週刊SPA!9月15日発売号の特集「[会社がヤバい!]を見抜く」より

―[[会社がヤバい!]を見抜く]―

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