『Dr.STONE』は科学漫画から壮大な冒険ロマンへ 楽しい航海の先で待ち受ける新展開

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2020年09月28日 16:21  リアルサウンド

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 『週刊少年ジャンプ』で好評連載中の『Dr.STONE』(集英社)は稲垣理一郎(原作)とBoichi(作画)による科学冒険漫画。舞台は、全人類が突然、謎の光で石化して3700年以上経過した地球。石化から開放された高校生の天才科学者・石神千空は、科学の知識と発明でサバイバルを繰り広げながら仲間を増やしていき、やがて科学帝国を築き上げる。


 現在は、全人類を石化させた(と思われる)謎の存在・ホワイマンの元へと向かう準備をするために、科学文明を復活させようとする千空たちの冒険が描かれている。


以下、ネタバレあり。


 最新巻となる第17巻では、千空たちが「世界一周街作りツアー」をスタート。その第一歩として科学船ペルセウスに乗って、アメリカ大陸を目指す姿が描かれた。


『Dr.STONE』16巻

 前巻で宝島での冒険が一段落し、プラチナを手に入れたことで石化回復液を無限に量産できるようになった千空たち。同時にホワイマンが“月”にいることも突き止める。すぐさま千空は、ホワイマンの元へ向かうためにロケットを作るという計画を発案。そしてそのためのロードマップとして、世界中の石化した人類を復活させて、「コーンの街」、「超合金の街」、「アルミの街」、「ゴムの街」、「数学の街」といった新しい街を世界各地に造るという壮大な目標を打ち立てる。


 人類全員の石化を解く溶解液を造るには大量のアルコールが必要になるため、まずはアメリカ大陸に「コーンの街」を作ろうと千空は考える。アメリカ産の生産効率の高いチート品種のトウモロシ・イエローデントを使えば、大量のアルコールを作り出せるからだ。


 同時に「霊長類最強の男子高校生」と呼ばれる獅子王司と、宝島で石にされていた侍風の戦士・松風を復活させ、さらに宝島の女戦士・キリサメにも乗船してもらい戦力を増強。最強の戦士たちを率いて、世界の裏側にあるアメリカ大陸を目指す。


 17巻に収録されたZ=143〜147までがアメリカを目指して航海する船内でのエピソードで、Z=148からアメリカ上陸となる。ここまで緊張感のある戦いが続いていたため、船の上で千空と船長の竜水がギャンブル対決をするエピソードを筆頭とする、船の中で仲間たちがわちゃわちゃするエピソードは、久しぶりにリラックスした気持ちで気軽に楽しめた。


 千空たちがスーツを着てポーカーをする姿は、別の漫画を読んでいるみたいだったが、千空がイカサマのためにウルシを使う場面は、さすが科学漫画という感じだ。素朴な発明が多かった序盤に比べて、現在の『Dr.STONE』は科学レベルのインフレが起きており、発明の見せ方がだいぶ複雑化している。その発明のディテールを理解するために、必死に食らいついていくのは、知的遊戯としては楽しいのだが、どうしても読んでいて疲れてしまう。だから、こういう息抜き回で素朴な科学知識が登場すると、とても安心する。硫酸を少し入れてガムシロップを作るくだりも素朴な楽しさがあり、まるで千空たちといっしょに船旅を楽しんでいるような気分に浸れた。


 司と松風、そして復活した槍の達人・氷月が出稽古と称して戦う姿は少年漫画ならではの楽しさ。コミックスのおまけにあるQ&Aコーナーでは、「千空たち科学王国は、超強い人たちが増えました。今最強は誰ですか?」という質問に答える形で、司たちのパラメーターが「破壊力」「武術」「素早さ」「間合い」の4つの要素から比較分析されているのだが、こういうデータは観て、誰が強いのかと考えるだけで興奮する。


 そんな楽しい航海が終わると、舞台はいよいよアメリカ大陸へ。石化した人々の無惨な姿が岸壁に残っているのを見て、もしかしたら自分たちと同じように、アメリカ合衆国も復活しているのではないかという、かすかな希望は粉砕される。


 ゴールデンゲートブリッジがあった場所を通過し大陸内部へと向かっていくペルセウス号。サクラメント川で資源補充チームとコーン探索チームの二手に別れ、千空はコーン探索チームとして行動する。


 途中で襲ってきたワニの大群を司たち最強戦士たちがあっさりと仕留めて、ワニ肉でハンバーガーを作ってみんなで食べるシーンはグルメ漫画的で思わずほっこり。ワニの胃袋の中にあったトウモロコシを見つけて目標に一歩近づく千空たち。しかし突如、上空からあらわれたマシンガンを搭載した飛行機から襲撃される。千空が作ったパイロフォリック(飛行機や自動車の内燃機関を標的とした化学兵器)をキリサメが投擲することで飛行機を撃墜するが、飛行機はもぬけの空。


 とりあえず飛行機を回収して旅を続ける千空たち。一方、敵を追跡するメンタリストのゲンは、武装した女戦士と接触。彼女の案内で、Dr.XENO(ドクターゼノ)の屋敷へと案内される。ゼノは千空に匹敵するか、それ以上の頭脳を持つ天才科学者。2人の科学対決を予感させて、物語は次巻へと続く。


 科学漫画としてはもちろん、壮大な冒険ロマンとしての面白さも脂が乗ってきた『Dr,STONE』。続きが楽しみである。


■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。


■書籍情報
『Dr.STONE』既刊17巻(ジャンプコミックス) 原作:稲垣理一郎
作画:Boichi
出版社:集英社
https://www.shonenjump.com/j/rensai/drstone.html


このニュースに関するつぶやき

  • 『Dr.STONE』は秤量とかどうしているんだろう、ってすごく気になる。
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  • アホンダラ先生が好きそうな漫画だけど、この前ひさびさにジャンプ読んだら戦闘機作って空中戦していたようだが、科学を標ぼうしながら科学を冒涜していると思った。
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