澤村拓一が見せる投球術の「悪い顔」。 元巨人コーチが語る移籍後の変化

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2020年09月29日 06:51  webスポルティーバ

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◆巨人愛を貫いた男たちの波乱万丈>>

 9月7日、香月一也との電撃トレードで巨人からロッテに移籍した澤村拓一。ここ数年、思うようなピッチングができずに苦しんでいた澤村だったが、ロッテ移籍後はこれまでの鬱憤を晴らすかのように、圧倒的なパフォーマンスを発揮しチームに貢献している。はたして、澤村に何が起きているのか。かつて巨人の投手コーチとして澤村を指導した経験がある川口和久氏に、その要因について語ってもらった。




 澤村が巨人に入団した2011年、ちょうど私は巨人の投手コーチをしていましたが、彼についてとくに印象に残っているのが横滑りのスライダーです。スピードもありますし、とにかくキレがすばらしかった。そのスライダーと150キロを超すストレートを武器に11勝(11敗)をマークして新人王を獲得しました。

 ただ、その数字が示すとおり"いい顔"もある一方で、"悪い顔"をのぞかせるのが澤村というピッチャーの特徴でした。とはいえ、投手としての才能は一級品。これからピッチング、配球を覚えていけばすごい投手になるんじゃないかという予感はありました。

 ところが、彼はなぜか野球選手としてではなく、ボディビルダーのようなマッチョを目指して、筋肉をつけたんです。その結果、肩の可動域が狭くなり、スライダーの曲がりが悪くなってしまったんです。

 そんな弊害が起きたのは2年目。そこから澤村のピッチングはワンパターンになってしまいました。

 要するに、力に頼るだけ、ストレートに頼るだけのピッチングになってしまった。変化球とのコンビネーションで打ち取るのではなく、とにかく力でねじ伏せてやろうと。首を振ったらほぼストレートでした。

 そのなかで、とくにヤクルトに多かったのですが、空振りしない打者に対して粘り負けしてしまう。空振りが取れる球種、配球がなく、制球力もあるわけではないので、結局粘られて四球を出す。いわゆる自滅することが多くなっていったと思います。

 そういう状況が続きましたが、今年はスプリットがすごくいい。その成果がいま、ロッテに移籍して出ていると思います。

 現状、ロッテに移籍して三振を取っているのは、ストレートと同じ軌道でタテに鋭く落ちるスプリット。確実に空振りが奪える球種が増えたことでピッチングの幅が広がり、組み立てができるようになりました。

 それに、ここ数年いい結果を出せなかったのは、相手チームが澤村を十分研究していることも大きな要因だったと思います。もともと球種が多いピッチャーではなく、しかも困ったらストレートいうピッチャーですので、相手にしてみれば絞りやすい。

 また私自身、広島から巨人に移籍して感じたことですが、巨人というチームは優勝を義務づけられたチームであり、常に高い要求をされます。そういう環境で、期待に応えたいという気持ちは誰よりも強かったと思うのですが、柔軟に対応することができずに苦しんだ一面はあったと思います。

 それがロッテに移籍して、ある意味プレッシャーから解放され、自分本来のピッチングができるようになったのかもしれません。気持ちよく腕を振っているように思えますし、ボール自体も全盛期の勢いを取り戻したような気がします。そういう意味で、澤村にとってはいいトレードだったと思います。

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 とはいえ、本当の勝負はこれからだと思います。今はパ・リーグの打者が澤村のスプリットに手を焼いている状況ですが、データが集まり、傾向がわかってくると、今のようなピッチングができるとは限りません。

 現状はストレートとスプリットが中心ですが、対応された時にどのようなピッチングをしていくのか。もうワンランク、ピッチングの質を上げていく必要はあるでしょう。とくに巨人時代に課題だった粘られてからのピッチングをどうするのか。そこはすごく楽しみにしているところです。

 これまでは150キロを超すストレートを武器にしてきましたが、そうしたパワーピッチングのなかで緩急をつけられるようになれば、さらなる活躍が期待できます。たとえば、カーブやナックルカーブなど、110キロ台のボールが1球でも加われば、彼のピッチングはさらにパワーアップすると思います。

このニュースに関するつぶやき

  • 澤村拓一の凄さは、あれだけ全身筋肉だらけにして、小さな故障しかしない所。自分の身体を知れば、あと10年投げられる。問題は、誰が教えるか。
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