初代とは別物? スバルの新型「レヴォーグ」に試乗

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2020年09月29日 07:02  マイナビニュース

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スバルが2020年10月15日にフルモデルチェンジを予定しているスポーツワゴン「レヴォーグ」の評判が上々だ。まだ予約段階ではあるが、とあるスバルの新車ディーラーの営業マンによると滑り出しは好調な様子。その走りがどれだけ進化したのか、実際に乗ってきた。

○国産ステーションワゴンの代表格

まずは、レヴォーグの歴史を少しだけ振り返ろう。現行型=初代の発売は2014年6月。スバルは主力車種のひとつだった「レガシィツーリングワゴン」のノウハウをいかし、日本専用モデルとしてレヴォーグを開発した。

当時のレガシィツーリングワゴンは、メイン市場に成長した北米のニーズに合わせ、ボディが大型化していた。その結果、彼の地では実用性と性能のバランス、コスパの良さも評価されて大人気となったが、日本ではその大きさがネックとなり、離れていってしまうユーザーも存在した。そこでスバルは、日本にジャストサイズでスポーティーなステーションワゴンとしてレヴォーグを生み出した。

日本ではミニバンやエコカーがブームとなり、国産ツーリングワゴンの車種が激減していた。特にスポーツワゴンというジャンルは、もはやライバル不在という状況だった。そこに登場したレヴォーグには、積載性を重視しながらも走りの良さも求めるこだわり派のユーザーや、サイズアップで乗り換えを躊躇していた歴代レガシィユーザーなどから支持が集まった。いまやステーションワゴン市場はレヴォーグの独壇場といってもいい。そんなレヴォーグが今年、新型になる。

スバルは新型レヴォーグを開発するにあたり、プラットフォームを含めた全面刷新を実施。全方位で現行型を超えることを目指した。開発の柱となったのは「スポーティー」「ワゴン価値」「先進安全」の3点だ。

「スポーティー」はスポーツワゴンとしての性能の高さ、走りの良さ、カッコいいスタイルの追求を意味する。「ワゴン価値」とはSUVにも負けないステーションワゴンならではの使い勝手のこと。「先進安全」はスバルの得意分野で、「アイサイト」に代表される安全運転支援機能のことを指す。

先進安全機能についてもう少し詳しく説明すると、新型レヴォーグはスバルが新たに開発した新世代「アイサイト」を搭載する。このアイサイト、性能と機能の両面で現行型から大きな進化を遂げている。センシング機能のコアとなるステレオカメラは新開発し、前方の視野角を拡大。さらに、前後バンパー内の左右両側に側方レーダーを内蔵することで、360度のセンシングを実現した。

これにより、新型レヴォーグのアイサイトは機能の適用範囲が拡大している。例えば衝突被害軽減ブレーキでは、衝突回避をサポートできるシチュエーションが増加。具体的には自車右折時の対向車、自車右左折時の対歩行者、目の前を横断する自転車にも対応可能になった。さらに衝突回避の新機能も追加となるなど、サポート力が大幅に向上しているのが特徴だ。

注目の新機能は高度運転支援「アイサイトX」だ。同システムの詳細は次の記事に譲りたいが、高速道路や自動車専用道路で使えば、ロングドライブの疲労を軽減できることは請け合いという先進機能である。

すごいのは先進機能だけではない。何しろ新型レヴォーグは、プラットフォーム、エンジン、サスペンションなど、走りの基本となる部分を全面的に刷新しているのだ。内外装も、新世代スバル車のデザインを取り入れている。

○全面刷新の走りを試乗で確認

プラットフォームは現行型「インプレッサ」シリーズから採用が始まった「スバルグローバルプラットフォーム」(SGP)に早くも手を加え、「SGP×フルインナーフレーム」に進化させた。エンジンは新開発の1.8L水平対向4気筒ターボに換装。従来の1.6Lエンジンの後継となるものだが、177ps/300Nmの高出力と13.6km/L(18インチタイヤ装着車、WLTCモード)の良好な燃費を両立している。

足回りの設計を見直したことで、快適性も高まった。特に最上級グレード「STIスポーツ」では、スバル初となる電子制御ダンパーを採用。減衰力を無段階で変えられる制御を入れた。これにより、新型レヴォーグではドライブモードを変えることで、乗り心地重視からスポーティーさ重視まで、さまざまな乗り味を選択できるようになっている。

そんな新型レヴォーグの走りは、まさに目から鱗。現行型オーナーには申し訳ないが、別物といえるほどの成長を遂げている。クルマの動きは路面に吸い付くようで、ステアリングを切れば機敏な反応を見せる。その姿は、まるで水面を自在に動くアメンボのようだ。ドライバーへのインフォテインメントも素晴らしく、クルマを操っているという感覚が強く得られる。人とクルマの一体感が、スポーティーかつ安心できる走りにつながっているのだ。

トランスミッションも80%の部品を新たに作ったというから、ほぼ新型といえる。そこにトルクを強化した新エンジンが組み合わさることで、大排気量エンジンのように力強くも滑らかなフィーリングが感じられるようになった。だから、普段はゆったりと走っていても、いざ加速が必要な時には力強い加速が得られる。これだけの性能があれば、日常領域でなら、まず不満を感じることはないだろう。

サスペンションの動きが大きくなったことで、全車で乗り心地が良くなったことも朗報だ。特にSTIスポーツは、「ドライブモードセレクト」で高級セダン風味からスポーツカー風味まで乗り味を自在に変えられる。このシステム、1台のクルマで複数台を所有しているような喜びが得られるようにという開発者たちの想いから生まれたそう。なんとも欲張りな話だが、運転が好きな人からそうではない人まで(もちろん、同乗者も含め)、誰もが満足できる究極のファミリーカーに仕立てられているといえるだろう。

運転席はドライバーを包み込む感じが強くなり、まるでスポーツカーのコクピットのようだ。特にアイサイトX搭載車は、縦型ワイドのインフォメーションタッチスクリーンとデジタルメーターが組み合わされるので、計器に囲まれた飛行機のコクピットを彷彿させる。そこもまた、スバルっぽいところだ。ただ窮屈さはなく、スペースはむしろ、現行型より広くなったように感じた。

外観だけを見ると現行型よりも荷室が狭くなったように感じられるかもしれないが、スバルが「ワゴン性能」を追求したというだけあって、広さと開口部は拡大している

新型レヴォーグはレヴォーグファンだけでなく、スポーティーなワゴンが欲しいと思っているユーザーの気持ちも見透かしたかのようなクルマだ。ユーザーの心をしっかりとつかんだスバルのクルマづくりには感心した。

大音安弘 おおとやすひろ 1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。主な活動媒体に『webCG』『ベストカーWEB』『オートカージャパン』『日経スタイル』『グーマガジン』『モーターファン.jp』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。 この著者の記事一覧はこちら(大音安弘)
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