久保建英のすばらしき「ふてぶてしさ」。バルサ戦で見せた華麗な駆け引き

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2020年09月29日 13:11  webスポルティーバ

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 カンプノウでの久保建英のプレーは、ひとつのきっかけになるかもしれない。

 バルセロナを相手にした一戦で、ウナイ・エメリ監督が率いるビジャレアルは、残念ながら弱者の姿を晒すことになった。強者であるバルサに対し、完全に腰が引けていた。相手の勢いに押される形で失点を重ね、慌ててしまい、いつものプレーができなかった。日頃は老練なプレーを見せる元バルセロナのスペイン代表FWパコ・アルカセルも、かつてバルサで戦力外になった事実を裏付けるように、歯が立たなかった。

 前半だけで、4−0と大量のリードを許してしまったのだ。




 しかしながら、74分にナイジェリア代表サムエル・チュクウェゼと交代でピッチに入った久保は違っていた。驚くほどに、物おじしていなかった。自然体でパスを呼び込み、ボールを集め、積極的に仕掛け、緩慢になりつつあったバルサ陣営に脅威を与えていた。

 79分、久保は右サイド奥まで走り込むと、裏へのパスを引き出し、ゴールラインから右足で折り返す。ボールは相手GKにブロックされたが、あと一歩のところだった。何より、攻撃に深みをつけ、押し込むことによって、戦いの勢力を挽回させていた。

 その直後にも、中盤でパスを繋ぎながら、右サイドでボールを持ち、エリア内で待つ味方に左足でパスを通している。マヌエル・トリゲロスがボールをうまく処理できず、チャンスをフイにしたものの、コースを作り出す駆け引きは見事だった。右サイドから中央にかけ、久保の独壇場になりかけていた。

 そして終了間際には、右から切り込み、リーガ・エスパニョーラ最高の左サイドバックのひとりであるスペイン代表ジョルディ・アルバと対峙。少しも怯むことなく、縦への突破を見せることで重心をずらし、中にコースを作った。そして得意とする左足で巻くようなシュートを打ち込んでいる。GKに防がれたが、この日、ビジャレアルが最もゴールに迫った瞬間と言えるかもしれない。

 久保は胆力に優れている。どんな敵でも、状況でも、ふてぶてしいまでにフラットな状態でプレーできる。それは自分の技量を絶対的に信じているからだろうが、彼が持つ独特の空気が自然とパスも呼び込む。試合結果がほぼ決まった状況ではあったし、たった15分程度のプレーではあったにせよ、そうしてボールが集まる雰囲気は、今後に向けて明るい展望を暗示させた。

 この日、久保が他の選手にできなかったことをやってのけたことは間違いない。バルサを相手に一歩も引かなかった。

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』も、ほとんどのビジャレアルの選手に(0〜3の4段階評価)0か1をつけたにもかかわらず、途中出場の久保とビッグセーブを見せたGKセルヒオ・アセンホだけに2を与えている。及第点だ。

 また『アス』も、敗軍の中で久保を数少ない明るい材料として取り上げている。

「久保は最後の15分に投入され、チームにひらめきを与えた。2回、危険なチャンスを作り、GKネトに仕事をさせている。シュート性のクロスと狙い澄ました左足シュートに対応しなければならなかった」

 9月30日、本拠地マドリガル。ビジャレアルはアラベスと対戦することになっている。中2日のゲームになるだけに、先発メンバーの大幅な入れ替えも予想される。指揮官としては、大敗のイメージを払拭する必要があるだろう。

 その点、力を示した久保の先発は十分にあり得る。

 アラベスは今シーズン、1分2敗と未だ勝ち星がない。パブロ・マチン監督は、4バック、3バックを併用する戦術家だが、選手個々の力をまだ引き出せていない状況にある。GKフェルナンド・パチェコは、レアル・マドリード育ちで高い評価を受ける守護神だが、チームとして磐石とは言えない。

 もし、ここで久保が勝利に関わるような活躍を示すことができたら、一気にレギュラーの座獲得に名乗りを上げることになるだろう。新入団のクラブでは、そうやって段階的にポジションを勝ち取っていくしかない。与えられるポジションなどない。その競争こそが、チームとしての強さも生むのだ。

 少なくとも現在の久保は、タフな世界で堂々と戦い続け、居場所を掴もうとしている。その過程では失敗も成功もあるだろうが、立居振る舞いそのものは実に雄々しい。アラベス戦は、新しいシーズンでひとつ目の山場になるだろう。

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