レッドブル・ホンダとメルセデスの差。4つの「まだ」を減らせるか

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2020年09月30日 06:31  webスポルティーバ

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 レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが3戦ぶりに表彰台に立った。

 モンツァとムジェロではパワーユニットのトラブルに見舞われ、連続してリタイアを強いられた。だが、徹底的に対策を施して臨んだソチでは再発はなく、ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターもホッとした表情を見せた。




「きっちりと仕事ができて、レース後はホッとした感じです。ムジェロでもマックスは非常に調子がいいところでトラブルが出て、悔しい思いをしましたから。

 そもそもリタイアすること自体がとんでもない話です。それを起こしたことのほうが、私としては大きな責任を感じています。(ロシアGPでの)4台完走も、ちゃんとやっていれば当たり前のこと」

 ホンダ勢は4台が完走し、そのすべてが入賞圏に入った。昨年のモナコGP以来、第4期F1活動では2回目のことだ。いつも口癖のように田辺テクニカルディレクターが語る「4台完走・4台入賞」だが、そう簡単に達成できることではない。

 フェルスタッペンの2位は、ルイス・ハミルトンが2度のスタート練習違反で計10秒の加算ペナルティを科された恩恵を受けてのことでもある。だが、それでも予選で2位につけ、決勝でも間違いなくメルセデスAMG勢に次ぐ位置にいたことに変わりはない。

 これはレッドブルにとっても2014年の初開催以来、ソチで初めての表彰台獲得だった。

 ロシアGPはストレートが長く、パワーの差がタイムに出やすい。そのため、レッドブルは金曜に通常のハイダウンフォースとミドルダウンフォース、完全に異なる2種類の空力パッケージを2台それぞれのマシンに装着して比較走行を行なった。

 ミドルダウンフォースを使ったフェルスタッペンは完全にグリップ不足。結局は2台ともにダウンフォースをつける方向で空力パッケージとセットアップを採用することになった。

 予選では風向きが変わったことで、マシン挙動は定まらなかった。だが、Q1からQ3への最後の調整で最適なマシンバランスを見つけ出すことに成功する。それがフェルスタッペン自身「滅多にこんなことは言わないけど、キャリアベストの予選のひとつ」という最後のアタックにつながった。

「フリー走行3回目から予選にかけて風向きが変わったことで、僕らは最適なマシンバランスを見つけ出せず、マシンも少しオーバーステアだったからコーナーのエントリースピードを維持することに苦労していた。いくつかのコーナーでは、リアのグリップが全然感じられない状態だった。

 ただ、それを一歩一歩改善していった結果、Q3の1回目のランで少しよくなって、Q3の2回目のランに向けてさらに変更を加えたら、グリップ感が上がった。このサーキットはコーナーのエントリーでのグリップ感が重要なので、とても満足のいく走りができるようになったんだ。

 本当にすばらしいラップだったよ。ポールポジションではないけど、ここでフロントローを獲れるなんてまったく想像もしていなかったからね」

 さらにフェルスタッペンは、Q2をミディアムタイヤでアタックするリスキーな戦略を取りながら通過を決め、決勝をそのミディアムでスタートして戦略の幅を持たせることに成功した。ハミルトンが赤旗に阻まれてミディアムでタイムを出せず、ソフトタイヤでのスタートを強いられることになったのとは対照的だった。

 決勝のスタートでフェルスタッペンはメルセデスAMG勢の前に出ることができず、3番手に後退。だが、ソフトタイヤのハミルトンが早々にピットインを余儀なくされ、10秒ペナルティを消化したことで2番手を回復すると、その後は10周のタイヤ差があるハミルトンを寄せつけることなく、2位のままレースを終えた。

「ミディアムタイヤではマシンバランスがあまりよくなくて、Q1やQ2のようにコーナーの入口でプッシュできなかった。そのせいでメルセデスAMG勢についていくことができなかったので、できるだけタイムロスしないように走るしかなかった。

 でも、ピットインしてハードタイヤに交換してからは、マシンバランスが少しよくなった。第2スティントはかなりよかったので、2位にはものすごく満足しているよ」

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 ミディアムタイヤでのスタートと、ハミルトンのペナルティ。その両方で得た2位表彰台だったが、フェルスタッペンには「ストレートで0.6秒負けているが、それ以外は同等かそれ以上だ」という無線が飛んでいた。

 これは、ダウンフォースをつける方向にセッティングを振ったことが影響している。速く走るためにはコーナーを安定させなければならず、ストレート車速を犠牲にせざるを得なかったからだ。

「パッケージとしてダウンフォースをつけないとラップタイムが出ない、タイヤが保たない等々ありますから、結果としてそういう状態になっています。ただ、だからといってパワーが勝っているとか同等だとか負けているとかいう話ではありません。

 パワーユニットとして何ができるかといえば、今持っている最高のパフォーマンスを現場で発揮すること、将来に向けてパフォーマンスを上げていくことが我々の仕事だと思っています」(ホンダ・田辺テクニカルディレクター)

 ストレート車速で差をつけられたのは、メルセデスAMGのパワーユニットがエネルギー回生に優れている点も理由にありそうだ。

 事前にバッテリーをフルチャージしてから臨める予選では差が出なくても、連続周回をする決勝では発電と放出のバランスを取りながらの走行となる。そのため、規定の1周あたり4MJ(※)をフルに使うことは難しい。

※MJ=メガジュール。放電は1周あたり4MJまで可能だが、充電は1周あたり2MJまでと規定されているため、4MJを使うためには事前に「充電ラップ」が必要となる)。

 となると、規制のないMGU-H(※)からの発電・放出量がモノを言う。今年のメルセデスAMGは決勝でライバルメーカーよりもディプロイメントの切れる時間が短く、それはこのMGU-Hからの発電量が優れていると推測される。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

 ソチのように全開率が高い(=ディプロイメントが長時間ほしい)サーキットでは、それは有利になる。レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は語る。

「このサーキットは我々にとっていつも厳しい。かなり(長時間)ディプロイメントが切れていた影響もあったと思う。エネルギー回生のせいだとは思うが、そうなることはここに来る前からわかっていた」

 しかし、メルセデスAMGとレッドブルの差はそれだけではない。車体面の改善も、まだまだ必要だ。パワーユニットの改良が今シーズン中はできない以上、車体側ががんばるしかない。




「それはすべてだね。魔法のような特効薬があるわけではないし、どこかひとつではなく、マシンのあらゆるエリアを改善する必要がある。だからチーム全体、そしてホンダとともにその作業に集中している。

 今年のメルセデスAMGは非常にいい仕事をしている。おそらく過去6、7年で最も完璧で、うまくまとまったマシンだろう。それを超えるハードルは非常に高い。だが、我々が目指しているのはそこなんだ」(ホーナー代表)

 この車体の60%は、来年にキャリーオーバーされる。そのためにも今シーズン中に理解を深め、開発をしっかりと進めることが2021年にもつながる。

 一方のホンダも、来年型パワーユニットの開発だけでなく、今季型が持つパフォーマンスを最大限に使いきるセッティングやエネルギーマネジメントを追求しなければならない。

「トータルパフォーマンスとして、まだまだだと思います。レッドブルと話をすれば、車体も『まだまだだね』と言いますし、我々も『まだまだです』。『まだまだ』と『まだまだ』が組み合わされば『まだまだまだまだ』という状況になってしまいますから、それを『まだ』くらいにはしたいですね」(ホンダ・田辺テクニカルディレクター)

 ロシアGPでは2位表彰台を獲得し、メルセデスAMGの2台の間に割って入ることができた。だが、むしろメルセデスAMGとの差がさらにはっきりと見えた戦いでもあった。

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  • 正直、要らない情報やレースニュースが上位にきてこまる。これだからホンダと日本人参戦で見る気を無くす
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