『ブラックパンサー』故チャドウィック・ボーズマンは真のヒーロー! 自ら報酬カットし共演女優のギャラアップを実現

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2020年09月30日 11:52  Techinsight Japan

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『Empire Magazine』の表紙を飾った故チャドウィック・ボーズマン(画像は『Empire Magazine 2020年9月25日付Instagram「The new issue of Empire pays tribute to Chadwick Boseman, featuring personal remembrances from his collaborators, revisiting his iconic roles, and his Empire interviews.」』のスクリーンショット)
結腸がんのため、今年8月に43歳の若さでこの世を去った俳優チャドウィック・ボーズマン。映画『ブラックパンサー』のスーパーヒーロー役で人気を博した彼だが、実はリアルな世界でも真のヒーローだったようだ。彼の死から1か月が経過し、女優シエナ・ミラーがチャドウィックの素晴らしい人柄が垣間見えるエピソードを明かしている。

『42〜世界を変えた男〜』(2013年公開)や『マーシャル 法廷を変えた男』(2017年公開)などで知られる俳優チャドウィック・ボーズマンが、結腸がんのため43歳の若さで亡くなったのは今年8月のことだった。生前は病気を公表することなく、手術や化学療法の合間に撮影に臨んでいたことが後に遺族から明かされ、そんな勇敢な姿に対して映画界や政界から多くの追悼メッセージが寄せられた。

2018年公開の『ブラックパンサー』では、ワカンダ国王として初のアフリカ系スーパーヒーローを演じたチャドウィック。その渾身の演技は世代や性別、人種といった垣根を越え人々に希望と勇気を与え、同作は紛れもなく彼の代表作の一つとなった。

イギリスの映画誌『Empire Magazine』は今月、そんなチャドウィックの生前の偉業を称える追悼号を刊行、生前彼と時間をともにした同業者らによる思い出のエピソードなどが語られている。映画『21ブリッジズ』(2019年公開)で共演した女優シエナ・ミラーもその一人で、同作に「ぜひ出演してほしい」と直々に熱いラブコールを受けた時の秘話を明かしている。

「彼が私のファンだと言ってくれてね、ものすごく嬉しかったわ。だって私はその10倍強い気持ちで彼を尊敬していたから。」
「この映画にぜひ出演してほしいってアプローチされたけど、それまで休みなく働いてきて私は疲れていたの。ちょうど、これ以上仕事はしたくないって思っていた頃だったわ。だけど彼とならぜひ一緒に働いてみたいと思ったの。」

シエナはさらに「これは話すべきか、話さないべきか迷ったけど、チャドウィックの人となりを証明するエピソードだから」と前置きしたうえで、次のように続けた。

「『21ブリッジズ』は大きな予算が投じられた作品だった。ハリウッドの(男女間の)賃金格差は周知の事実だけれど、制作サイドは私が提示した報酬額には、首を縦に振ってくれなかったわ。もともと仕事に復帰する意欲は薄れていたし、ちょうど娘の学校が始まるっていうタイミングだったこともあって、私は『きちんと見合った報酬をいただけるのなら、出演します』って伝えたの。」

「結局、チャドウィックが自分の報酬の一部を寄付してくれる形で、私の提示額にマッチしてくれたのよ。これが君にふさわしい金額だからって言ってくれたの。あれは人生始まって以来の衝撃的な出来事だった。そんなことって滅多に起こらないから。『君が実力に見合った報酬を受け取る、それだけのことだよ』ってね。」

男女格差の激しいハリウッドにおいて、チャドウィックのような一流俳優が率先してそのような行動を取ってくれたことを「本当に想像しがたいこと」だと今でも驚きを隠せないようだ。しかも後日、このエピソードを別の俳優仲間に明かしたところ、彼らは「ダンマリしてしまった」という。

チャドウィックのそんな“オトコマエ”な行動は、単なる“パフォーマンス”ではなかったはずだ。あくまでも女優としてのシエナの実力を高く評価していたからのことであり、これがハリウッドの男女格差の現実に一石を投じたことは間違いないだろう。チャドウィック・ボーズマンという偉大な俳優を失ってから1か月が過ぎたが、彼のリアルなヒーローぶりが垣間見えるこのエピソードには、多くのファンも胸を熱くしているに違いない。

画像1枚目は『Empire Magazine 2020年9月25日付Instagram「The new issue of Empire pays tribute to Chadwick Boseman, featuring personal remembrances from his collaborators, revisiting his iconic roles, and his Empire interviews.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 c.emma)
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