「耳傾けること必要」=「死にたい」否定せず―自殺相談の専門家ら

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2020年10月01日 07:31  時事通信社

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時事通信社

写真NPO「カタリバ」の今村久美代表理事=9月17日、東京都杉並区
NPO「カタリバ」の今村久美代表理事=9月17日、東京都杉並区
 白石隆浩被告(29)がツイッターで接触した被害者は、自殺に関する投稿をしていたとされる。同様の事件を防ぐため、自殺を口にせざるを得ない人たちに社会はどう向き合うべきなのか。専門家は「話に耳を傾けることが必要」「多様な関係性が救いになる」と指摘する。

 日本自殺予防学会常務理事を務める筑波大の太刀川弘和教授によると、人はストレスの処理がうまくいかず、周囲の支援も受けられない状況が続くと、「逃げ出したい」という願望を抱くことがある。自殺を口にする人も、逃げ出したいとの意思の表れの可能性があり、その場合は愛情や共感を示すことでストレスの緩和や軽減につながるという。

 太刀川氏は「自殺願望がある人でも、実際には死にたいほどつらいとか、さみしいというケースも多い。じっくり話を聞くことが求められる」と説明する。

 電話相談を長年受けてきたNPO「東京自殺防止センター」の村明子理事(61)は、聞き手として死ぬことを否定せず、「死にたい」と安心して言ってもらうような心構えが必要と指摘。「相手は悩みや苦しみの解決策を求めているわけでもない。独りではないと思ってもらえることが大事ではないか」と話した。

 警察庁の統計によると、人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は、2019年までの10年間、ほとんどの年代で低下傾向にあったが、10代はほぼ横ばい。近年はやや増加している。

 「若い人が生きたいと思える社会でありたい」と強調するのは、10代向けの教育支援活動をしているNPO「カタリバ」の今村久美代表理事(40)。若者の生活は学校中心になりがちで、同質性を求められたり、孤立感を覚えたりすることもあるとした上で、「大人が気軽に声を掛け合えるコミュニティーをつくり、若者の視野を広げて多様な世界があることを伝えたい」と訴えた。 

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