2021年からペトロナス・ヤマハで戦うロッシ「フランコと共に良い結果を得たい」/MotoGP第9戦レビュー

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2020年10月01日 11:01  AUTOSPORT web

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2020年MotoGP第9戦カタルーニャGP バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)
バレンティーノ・ロッシがヤマハとの契約を更新、2021年はペトロナス・ヤマハSRTより参戦することをMotoGP第9戦カタルーニャGPのウイーク中に発表した。

 ヤマハは2021年に向けたMotoGPファクトリーチームの体制を1月下旬に発表。マーベリック・ビニャーレスとファビオ・クアルタラロの起用を決定した。これによりロッシが2021年シーズンはファクトリーチームからは参戦しないことが決まったが、ヤマハはロッシが現役を継続する場合は、ファクトリー契約とファクトリースペックのマシンを提供することを明らかにしていた。

 これに対してロッシは、「決断を下す前に、序盤の6、7戦を走って判断したい」と語っていたが、新型コロナウイルスの影響で、MotoGPクラスはセパン、ロサイルのオフィシャルテストは終えたものの、開幕戦のカタールGPがキャンセルされ、シーズンの再開は7月の第2戦スペインGPまで待たなければならなかった。

 ロッシの2021年の所属先については、ペトロナス・ヤマハSRTが有力とされており、それはロッシ自身も認めていた。

「ファクトリーチームに所属できないという点から見ると、難しい決断だったけど、戦闘力がなければ続けないという決断は、難しくはなかった。目標を達成するためには懸命な努力が必要で、結果が最も重要だ。ヤマハに支援を求めると、イエスと返答してくれた。一番の目標は2021年も継続すること」

「ペトロナスは素晴らしいチーム。契約は1年ごとになるだろう。ヤマハもそのことに同意している。重要なことは、ヤマハが僕を信頼してくれて、ファクトリーマシンを供給し、最大限の支援を与えてくれること。ペトロナスはベストな選択。真面目なスタッフで結成される若いチームで、資金力がある。それにYZR-M1を続けて走らせることができる。僕の年齢では、メーカーが変わることは簡単ではない。ヤマハVR46になればいいけど、それは簡単ではないんだ。資金力がないので、ペトロナスがベストだ」とロッシは語っていた。

 シーズン再開後、再開1戦目のスペインGPこそ、マシントラブルでリタイアを強いられたが、2戦目のアンダルシアGPでは初表彰台となる3位に入賞。その後もトップ10圏内フィニッシュを続け、ホームレースの第7戦サンマリノGPでは最終ラップまで表彰台争いを展開した。来季の去就に関してはサンマリノGP、エミリア・ロマーニャGPあたりまでに発表されるとも言われていたが、ヤマハ、ペトロナス・ヤマハ、ロッシの3者間での条件面での最終的な調整に時間がかかり、正式発表はカタルーニャGP週末の土曜日となった。

 ロッシがこだわっていたのが、これまで戦ってきた信頼するスタッフたちと共にチームを移ること。ロッシは500ccクラスで最高峰クラスにステップアップした2000年に、前年に現役を引退したミック・ドゥーハンのスタッフを引き継ぐと、2004年のヤマハへの移籍時、2011年のドゥカティへの移籍時、そして、2013年のヤマハへの復帰時のいずれの時点でも、同じメカニックたちを起用することを契約の条件としていた。

 もちろん、クルーチーフに関しては、ホンダ時代からジェレミー・バージェスと長期間にわたってコンビを組んだが、環境や時代の変化に応じてシルバーノ・ガルブセラ、そして、現在のダビド・ムニョスへと変わっている。ロッシチームとも言われるスタッフには、常に最高の待遇を用意することでモチベーションを与え、チームの結束力を高めていた。

 ただし、今回はファクトリーチームからサテライトチームへの移籍であり、ペトロナス・ヤマハSRTにもスタッフがいる。結果的に約20年にわたってロッシと共にしたアレックス・ブリッグスとブレント・スティーブンスのふたりのメカニックがペトロナス・ヤマハに移ることはできなかった。

「アレックスとブレントが僕と一緒に来ることを希望していた。アレックスは僕が引退するときに一緒に引退すると言ってくれた。ブレントも同じようなことを言ってくれた。彼らを連れて行けないこと、僕のラストレースに一緒にいられないことは悲しい。何とか連れていけるように試みたけど、ペトロナスにも働いている人たちがいるからね」とロッシ。

■ロッシへのファクトリーサポートは継続
 それでも、今シーズンを共に戦うクルーチーフのムニョス、データエンジニアのマッテオ・フラミーニ、ライダー・パフォーマンスアナリスト(ライダーコーチ)のイダリオ・ガビラは、ロッシと共にペトロナス・ヤマハに移ることとなった。ライダー・パフォーマンスアナリストのガビラはスペイン人の元レーシングライダーで、VR46アカデミーのライダーコーチでもあった。以前は元グランプリライダーのルカ・カダローラがアナリストを務めていたが、カダローラは2019年シーズンを前に家庭の事情で活動継続が難しくなり、2019年よりガビラが後任として起用されている。

「2021年、ペトロナス・ヤマハSRTで走り続けられることをとてもうれしく思う。この決断を前にいろいろと考えた。MotoGPでトップに立つにはハードワーク、毎日のトレーニングをこなす、アスリートライフを送らなければならないが、僕はそれが好きだし、まだ走りたいと思っている。今年の前半にヤマハと相談した際、ファクトリーチームでなくとも、ファクトリーマシンとファクトリーサポートを保証すると言ってくれた」

「ペトロナス・ヤマハは若いチームだが、非常によく組織化され、トップチームであることを示している。今年はクルーチーフも変更したが、とても素晴らしい仕事をしているし、これからさらによくなっていくと思う。チームの雰囲気がとても好きなので、それも続けようと思った理由の一つ。フランコ(モルビデリ)がチームメイトになってくれるのはうれしいし、彼はアカデミーライダーなので共に仕事をして、よい結果を得たいと思う」と移籍正式発表後にコメントしたロッシ。

 カタルーニャGPはロッシにとって最高峰クラス通算350戦目となる一戦だった。決勝では2番手でトップを行くクアルタラロを追い上げていた途中で転倒を喫しリタイア、エミリア・ロマーニャGPに続いて2戦連続転倒リタイアに終わったため、ランキングでは11番手に後退したが、勝利を求めて攻め続けるスタイルに変わりはない。今年で41歳になったロッシにも、現役引退の時期はいずれやってくる。引退に関して、ロッシは次のように語っている。

「その時が来れば引退する。1年プラス1年の契約をすることを話し合ったが、1年契約に決めた。ヤマハもペトロナスも僕たちも満足ならば、継続するということになるだろうが、これは来年の前半戦の結果に大きく依存する。サマーブレイク中には決断を下すことになるだろう。もし来年、僕が強く、戦闘力があり、表彰台を獲得して、チャンピオンシップのトップ5を争えるようならば、続けることができる。来年まで待とう。ここでは、1日で物事が一転してしまう。年齢的には大丈夫だと思う。契約書には、全員が満足なら継続すると書かれている」

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