SNSは“実名”で! ビジネスパーソンが仕事やキャリアアップにつなげる具体的な方法

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2020年10月01日 11:30  AERA dot.

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写真「note」のプロデューサーである徳力基彦さんは、自身の著書「自分の名前で仕事がひろがる 『普通』の人のためのSNSの教科書」(朝日新聞出版)で、「組織に属するビジネスパーソンこそ発信しないともったいない」と説いている(撮影/写真部・加藤夏子)
「note」のプロデューサーである徳力基彦さんは、自身の著書「自分の名前で仕事がひろがる 『普通』の人のためのSNSの教科書」(朝日新聞出版)で、「組織に属するビジネスパーソンこそ発信しないともったいない」と説いている(撮影/写真部・加藤夏子)
 「炎上」や「バカッター」。SNSに対しては、こうした負のイメージを抱きがちだ。そのためか、これらのツールを“実名”で利用しているビジネスパーソンは、少数派かもしれない。

【写真】「note」プロデューサー・徳力基彦さん

 しかし、SNSはうまく活用すれば仕事やキャリアアップにつなげることが可能だという。文章やマンガなどを投稿できるウェブサイト「note」のプロデューサーである徳力基彦さんは、自身の著書「自分の名前で仕事がひろがる 『普通』の人のためのSNSの教科書」(朝日新聞出版)で、「組織に属するビジネスパーソンこそ発信しないともったいない」と説いている。

 「バズる」ことも、「PV・フォロワー数を伸ばす」必要もない。芸能人やインフルエンサーでもない「普通の人」が、SNSを仕事につなげる活用術とはなにか。徳力さんに話を聞いた。

※便宜上、本記事では「Facebook」「Twitter」「ブログ」などウェブサービスによる発信を「SNS発信」としています。

*  *  *
■SNS発信は仕事の役に立つ

「実名で炎上したら、会社から注意されるかもしれない」
「他人が興味を持つようなネタなんてない」

 そんなふうに、ネット上での発信を重く考えすぎている人がいます。そのためか、日本ではSNSやブログを実名で利用する人の割合が、海外に比べて圧倒的に低い。Twitterにいたっては、匿名が7割を超えています。企業によっては炎上などのリスクを恐れ、個人の発信を禁止していたり、推奨していないところもあります。

 新卒の新入社員が、企業から内定をもらったとたんにSNSのアカウントを削除するケースをよく聞きます。これは本当に残念です。確かに学生が企業から評価されるような投稿を日常的にしているとは考えづらい。飲み会などではしゃぎすぎて、見られては困るようなものもあるかもしれません。それらの投稿を消して、入社後にまたSNSを再開してくれればよいのですが、周りの上司や同僚でSNS発信をしている人は少ないのが現実です。そのため、多くの企業では、「SNSをやってはいけない空気」が蔓延している。せっかくデジタルネイティブ世代が入社しても、“昭和の働き方”に上書きされてしまうのです。

 しかし、SNS発信は仕事の役に立つ。ビジネスパーソンこそ発信しないともったいないのです。

■SNS発信が生み出す「プルのコミュニケーション」

 個人でSNS発信する最大のメリットは、社外の人とつながれることです。

人脈を広げようと、異業種交流会に行ったことがある人は多いでしょう。ただ、そこで名刺交換をすることはあっても、話が盛りあがってそのまま一生の友だちになる可能性はとても低い。電話やメールで頻繁に連絡を取らない限り、結局はその後、再び疎遠になってしまうのです。

 直接会いに行ったり、電話をかけたりするのを「プッシュのコミュニケーション」と呼びます。これは相手が求めていないときにも「返事してくれ」「オレの話を聞いてくれ」ということを要求をするコミュニケーションです。これは相手にものすごくカロリーを消費させる。一見すると効果的なコミュニケーションに思えますが、実は相手にどんどん嫌われていく可能性すらあります。連絡を取る側も大変でしょう。

 対照的に、SNSではあなたの情報を求めている人が、好きなタイミングであなたの投稿を検索し、読みにきてくれる。本当にその情報を必要としている人が、必要なタイミングでその人に届くのです。これを「プルのコミュニケーション」と呼びます。

プッシュのコミュニケーションのように頻繁に連絡を取り合わなくても、「ゆるくつながる」ことがSNSでは可能です。SNSでは、一度でも会ったことのある人、あるいは会ったことがなくても友達承認さえされれば、つながることができます。僕もSNS発信をしていますが、フォロワーは僕が金曜日に必ずインスタントラーメンを食べることや、週末に子どもと電車の旅に出ていることまで知ることができる。ゆるくつながった関係でありながら、これだけ互いのことを知る余地ができたのは、ネット以前の社会ではありえなかったことです。

 SNS発信をうまく利用して人脈を広げ、キャリアアップにつなげている人、新規案件を任される人、転職につなげている人もいます。「新入社員がインフルエンサーとSNSでつながっていて、その社員を経由して仕事を依頼したら無償で受けてくれた」といった類の話は、そこらじゅうに転がっています。

■SNS発信は「実名」で

 こうした恩恵を受けるために、僕は「実名」でのSNS発信を推奨しています。注意してほしいのは、「インフルエンサー的使い方」をしてはいけないということです。

人気YouTuberやインフルエンサーたちをみると、「本音を言った方がバズる」「ネガティブなことの方が注目を集める」と思いがちです。確かにそのような傾向はありますが、ビジネスパーソンに膨大なフォロワー数も、PVも必要ありません。実名で発信する以上、個人の発言も、「会社としての発言」と受け止められてしまうケースもあります。インフルエンサーの真似をしてもリスクしかないのです。

SNSはあくまで“自分の分身”だと考えてください。リアルとネットのコミュニケーションをわけないことが重要です。普段の仕事のときと同じようにふるまえば、自然と炎上などのリスクを避けられるはずですし、仕事にもつながりやすくなります。「リアルの延長線上」でつかってこそ、SNSは真価を発揮するのです。

■仕事に生かす「普通の人」の発信術

では、具体的にどのように発信していけばよいのか。難しく考える必要はありません。自分のもっている情報を淡々と発信するだけでよいのです。バズらなくても、必要な人に読んでもらい、コミュニケーションがとれれば十分なのです。

 僕はFacebook・Twitter・Instagramなどと、ブログを組み合わせて発信することをおすすめします。Facebookはビジネスマンにオススメですが、承認制のSNSのため面識のない人とつながるのが難しいでしょう。Twitterは拡散力には優れていますが、文字数制限があります。Instagramは、画像の共有に最適ですが、ニュースなどを共有するのには向いていません。コンテンツを蓄積し、検索されやすいのは圧倒的にブログですが、ブログ単体ではつながりを作るのが難しい。
 それぞれのサービス単体では一長一短ですから、自分に合った組み合わせを探して下さい。

 僕は、比較的長めの記事をnoteにブログ記事としてアップし、そのリンクをFacebookやTwitterに貼って知り合いにも読んでもらえるようにしています。
 このように、「蓄積」と「拡散」の役割はそれぞれ別のツールに担わせた方が、たくさんの人と効率的につながることができるでしょう。

 なにを発信するかですが、繰り返しになりますが「いい文章を書こう」などと気負う必要はありません。あくまで「自分のためのメモ」をネット上にあげるつもりでよいです。仕事に役立てたいなら、「イベントのメモ」「ニュースのメモ」「本のメモ」の3つをおすすめします。

 まず「イベントのメモ」ですが、社会人になるとイベントやセミナー、講演会に参加することがあると思います。そのときの感想や意見をブログに書くのです。内容をSNS発信してよいかどうかは主催者に確認が必要ですが、運営側が参加者に発信を推奨するケースも増えてきました。イベントの要旨をアップすれば、興味を持っていた人が読んでくれるだけでなく、主催者側や登壇者から感謝され、仕事につながる関係が築けるかもしれません。

 2つ目が「ニュースのメモ」。新聞やテレビのニュース、ネット記事で気になったものを選び、それについて考えたことをメモしてアップするだけです。ニュースのメモなら、ネタに困ることはありません。可能なら、自身の仕事に関連するニュースを選び、そこに自分の意見を加えて書いてみると、より仕事に役立つはずです。読み手から違った視点でのコメントをもらえれば、より深くニュースを理解することができます。

 3つ目が「本のメモ」。著作権などのルールを守る必要がありますが、印象に残ったフレーズやキーワードなどをメモしたり、本に対する自分の意見を述べるために引用するのは問題ありません。読んだ感想をネット上にあげれば記憶に残りますし、検索機能をつかえば、自分のメモを引き出したいときに探しやすくなります。話題になっている本なら、たくさんの人が読みに来てくれる可能性があります。コメントがついたり、コミュニケーションの機会がうまれるかもしれません。

 ビジネスに携わっている方にとって、SNS発信の真の目的はSNSで稼ぐことではなく「仕事に役立てること」だと考えて下さい。どんな立場の人でも、その人の持っている情報を求めている人は必ずいます。まずは「お金を稼ぐ」という視点から離れましょう。発信を地道に続けることで、情報が蓄積されていきます。このSNSの「蓄積効果」が発信者の信頼度を高めていき、プルのコミュニケーションの効果をより大きなものにしていくのです。

■アフターコロナこそ、SNS発信を

 コロナ禍で、日本がいかにデジタル後進国であるかが浮き彫りになりました。ネットという感染リスクゼロのツールがあるにもかかわらず、ハンコや打ち合わせのためだけに出社する人は少なくありません。

 しかし、これからはデジタルのコミュニケーションが必須の社会になっていきます。アフターコロナにおいては、実名でのネットコミュニケーションのメリットが増加します。例えばアパレル大手のBEAMSは、店舗のスタッフの多くが実名・顔写真つきでブログやSNSを更新し、おすすめの服などを身に着けた写真や動画、商品の背景をつづったブログ記事などを投稿しています。こうしたデジタルのコミュニケーションをコロナ以前から実施していたため、コロナ禍によるネガティブインパクトを最小限に抑えることができたと聞いています。

 BEAMSに限らず、ビジネスにおいてSNSの恩恵を受けた話はあちこちで耳にします。ぜひ、こうした恩恵を多くの人に味わってほしいと思います。

 この記事をきっかけに、SNS活用の最初の一歩を踏み出してみて下さい。(聞き手・AERA dot.編集部/井上啓太)

このニュースに関するつぶやき

  • 実名にするとステマ、忖度、リア充自慢で溢れ、かつ個人情報流出が増える。結果的にはみな離れて行くことになる。アメリカでもFacebook離れが進んでいるのはそういうこと。
    • イイネ!2
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