総工費500万円、高さ7メートル「機動戦士Zガンダム」巨大模型の展示20年 制作者の思いとは

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2020年10月01日 16:10  まいどなニュース

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 人気アニメ「機動戦士Z(ゼータ)ガンダム」をモデルにした巨大模型が道の駅・久米の里(岡山県津山市宮尾)での展示をスタートし、1日で20年。今年はアニメのテレビ放送開始から35年の節目でもある。「自分のものづくり人生の集大成。最高のものを作りたかった」と語る制作者の自営業・中元正一さん(56)=宮部下=に、作品への思いを聞いた。

【写真】Zガンダムが展示されている、道の駅「久米の里」は、岡山県津山市にあります

 高さ7メートル、幅3.5メートル、重さ2トン。設定のおよそ3分の1の大きさで、鋼鉄製の骨格と繊維強化プラスチック(FRP)の装甲を持つこの作品の制作を思い立ったのは1989年の夏だった。

 幼いころから工作好き。津山工高時代は自動車模型やラジコン作りに親しみ、卒業後、社会人になってバイクのカスタマイズやサイドカーの自作を楽しんでいた。次に何を作るか考えていた時、「唐突に『ガンダムを作りたい』と思った」。

 モデルとしたのはファンの間で“藤田版”と呼ばれるデザイン。「雑誌で偶然見つけ、心を引かれた」。作中で兵器として描かれているロボット「モビルスーツ」のデザインを多く手掛けた藤田一己さんが、アニメ版とは別に仕上げたものだ。

 「当初の構想では実際に乗って動かせるようにするつもりだった。そのためには技術が必要だった」と旧久世町の金属加工会社に就職。約3年働き、溶接や加工といった技術を磨いた。

 29歳になっていた93年4月2日、雑誌にあった写真4枚を基に設計図に着手した。約1カ月で書き上げ、自宅の農機具庫を作業場にして制作に専念。FRPを装甲に成型するための型は鉄板や発泡スチロールで手作り。脚の骨格はパワーショベルの構造を応用して可動式にし、電気モーターや油圧シリンダーも装備した。

 ただ、全て1人で行っていたこともあり、作業量は予想をはるかに超えた。2、3年と想定していた制作期間は大幅に過ぎ、およそ6年たったが完成までの道のりは遠い。「まるで山に登るように、制作はどんどん険しくなっていった。完成のめどが立たず泥沼に陥ったが、やめるのだけは嫌だった」

 胸部に大人1人が乗れる開閉式のコックピットを確保していたものの、最終的に「苦渋の判断」で1歩でも動かせるようにすると決めていた目標を変更。総工費約500万円、約7年を費やして300以上のパーツを組み合わせた“モビルスーツ”がそびえ立ったのは、99年12月7日だった。

 当初は自宅で公開し、2000年に旧久米町に寄贈。同年5月にオープンした久米の里に設置するため町が格納庫を整備し、同年10月1日に除幕式を行った。

 翌年、道の駅オープン1周年記念のイベントから年1回の搭乗体験も始まった。多くのファンらが訪れる人気の観光スポットになり、作品には地域の活性化に貢献したとして04年に旧久米町から感謝状が贈られ、15年度は津山市観光協会の津山観光マイスターに選ばれた。

 制作を決意してからは30年以上が過ぎた。「動かせなかったのは今でも悔しい。乗り物として完成させられず、多くの人に“ガンダムの模型”と認識されているのが少し歯がゆい。挫折の記憶はずっと消えないだろう」としつつ、「一度手放した以上は新たに手を加えるつもりはない」と言う。

 現在、創作工房を構え、キャンプなどで使える運搬可能な箱形の個室を製造している中元さん。「今は次のものづくりに夢中です」と語った。
     ◇
 道の駅・久米の里は、中国自動車道院庄インターチェンジから国道181号で西へ約5分。格納庫は午前8時〜午後6時に開放(道の駅の営業時間は午前9時半〜午後6時)。無料で見学できる。第1月曜定休(祝日の場合は翌平日)。問い合わせは久米の里(0868−57−7234)。

(まいどなニュース/山陽新聞)

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  • 「動かせなかったのは今でも悔しい」「挫折の記憶はずっと消えない」「一度手放した以上は新たに手を加えるつもりはない」 この凄味。美しいとさえ言いたい
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  • ここの道の駅何度も行きました。
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