日本人「大型FW」は大成しない例が多い? 過去に最も成功した選手は…

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2020年10月01日 17:00  AERA dot.

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写真国見高時代から「大型FW」として大きな注目を集めた平山相太 (c)朝日新聞社
国見高時代から「大型FW」として大きな注目を集めた平山相太 (c)朝日新聞社
 今年9月1日、長崎・雲仙の地で開かれた入団会見に姿を見せた身長188cmの高校生が、自らのサッカー人生の新たなスタートに目を輝かせた。2002年6月8日生まれ、名門・国見高の大型FW中島大嘉。来季入団が内定したJ1・札幌での早期活躍を誓うだけでなく、「3年以内のタイトル獲得とヨーロッパ移籍」、「最終目標はバロンドール」と力強く宣言。その恵まれた体躯通りの“ビッグマウス”で注目を集めた。

 近年、大型のGKやセンターバックが育ちつつある日本サッカー界において、今後最も求められる人材のひとつが「世界的な高さ」を持ったFWである。その意味でも、この中島は注目の1人だ。しかし、これまでも「世界レベル」と期待された日本人の大型FWは決して少なくない。

 真っ先に名前が挙がるのは、平山相太だ。身長190cm、国見高時代に全国高等学校サッカー選手権で史上初の2年連続得点王に輝き、歴代最多の通算17得点をマークした怪物FW。相手DFが頭でクリアしようとするボールを胸トラップするほどの高さを持つだけでなく、広いシュートレンジに懐の深いボールキープとドリブル突破も見せ、2度のワールドユース(現U−20W杯)出場に日本サッカー史上最年少となる19歳2カ月でのアテネ五輪出場も果たした。

 しかし、大学進学、オランダからの帰国、FC東京復帰という道のりの中で徐々に輝きを失い、不動のエースだったはずの2008年北京五輪メンバーから漏れると、同世代の本田圭佑、岡崎慎司、長友佑都らが欧州の舞台で活躍を続けた中、自身は怪我とスランプに悩み、32歳で現役を引退。国際Aマッチ通算4試合出場3得点。精神的な弱さが度々指摘されたが、ひと言で言えば「早熟」だったということ。高さはあってもトップレベルの屈強なセンターバックを弾き飛ばすような、ワンランク上の“強さ”は持ち得なかった。

 その平山以前には、船越優蔵という同じ国見高出身の超大型FWがいた。身長194cmという圧倒的な高さを武器に、中田英寿や松田直樹、宮本恒靖がメンバーに名を連ねた1993年U−17世界選手権でベスト8に進出したチームのエースだった。高校卒業後にG大阪に入団してオランダに留学。復帰後にさらなる成長が期待されたが、当時エムボマがいたチームの中でチャンスをつかめず、その後、平塚(現・湘南)や新潟、東京Vでプレーしたが、J1通算37試合3得点(J2通算128試合28得点)と殻を破れなかった。

 平山の次の世代に目を向けると、2007年のU−20W杯に出場した通称「調子乗り世代」に、身長194cmのハーフナー・マイクがいた。名古屋などで活躍した名GKディドを父に持つサラブレッド。ゴール前の競り合いで明らかに頭一つ抜けており、ジャンプせずとも競り勝つほどの高さを誇り、2010年には甲府でJ2得点王となり、翌11年にはJ1で17得点を挙げてベストイレブンにも選出された。

 さらに2012−13シーズンにはオランダ・フィテッセで11得点、15−16シーズンにはADOで16得点を奪う活躍を見せたが、日本代表ではレギュラーの座をつかめずに国際Aマッチ通算18試合で4得点。33歳となった今季はJ2・甲府でプレーしている。さらにこの世代には、身長188cmの“デカモリシ”こと森島康仁もいた。高さに加えてパワーもあり、2008年にはA代表にも選出されたが、それ以上の成長曲線は描けず。J2・大分時代(2011、2012年)に2年連続でシーズン2ケタ得点をマークしたが、J1では通算83試合13得点で、現在はJ3・藤枝でプレーしている。

 さらに下の「プラチナ世代」では、杉本健勇が身長187cmの大型FWとして注目を集めた。19歳でロンドン五輪に出場。高さに頼らない足元の技術と優れたスピードも兼備し、2017年にはJ1・C大阪でシーズン22得点を挙げる活躍を見せてA代表にも選ばれた。

 だが、翌2018年はシーズン5得点と急降下すると、以降は決定力不足が目立ち、浦和に移籍した2019年もシーズン2得点のみ。A代表にも2018年を最後に招集されず、国際Aマッチ8試合出場1得点のまま27歳を迎えた。その杉本が参戦した2011年のU−20W杯メンバーには、17歳でスペインに渡った身長196cmの指宿洋史もいる。スペインのセグンダB(実質3部)ではシーズン20得点の活躍を見せた時もあったが、スペイン1部ではリーグ戦1試合に出場したのみ。ドリブル突破が武器だったが、競り合いの弱さを含めて高さを有効には使えず、代表招集もU−23止まり。現在はJ1・湘南でプレーしている。

 彼ら以外にも、過去現在も含めて、田原豊(187cm)、豊田陽平(185cm)、長沢駿(192cm)、都倉賢(187cm)、皆川佑介(186cm)、鈴木武蔵(186cm)、小川航基(186cm)といった名前が挙がる。その中でも、現時点では身長188cmの長身を生かしたヘディングとポストプレーを武器に日本代表で国際Aマッチ通算44試合27得点を奪った“アジアの大砲”こと、高木琢也を超える実績を残した日本人の大型FWは、未だに現れていないと言える。

 釜本邦茂が179cm、高原直泰が181cmで、大迫勇也が183cm。彼らがプラス10cm、いや5cmでも高ければ、さらにスケールアップしたプレーが可能となり、相手に与える恐怖心は増幅する(したはず)。現在18歳、188cmの中島が、これまで日本サッカー界待望の大型FWとして世界に羽ばたけるか。彼の“ビッグマウス”通りの活躍と成長を、是非とも期待したところだ。






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