赤星憲広が「神走塁」の3人を比較。技術度、センス、将来性を語った

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2020年10月02日 08:22  webスポルティーバ

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 今季のプロ野球では、3人の足のスペシャリストに注目が集まっている。セ・リーグを独走する巨人の代走の切り札・増田大輝、昨年11月のプレミア12でも活躍したソフトバンクの周東佑京、元陸上部という異色の経歴を持つロッテの和田康士朗だ。それぞれ「神走塁」を披露して話題にもなっている。

 育成選手から這い上がってきた3人について、阪神で3年連続60盗塁以上、5度の盗塁王に輝いた赤星憲広氏は、「タイプの違い」や今後の期待についても言及した。




──まず、3人の印象から聞かせてください。

「それぞれ、優れた走者に必要な"スリーS(スタート、スピード、スライディング)"を揃えていることは大前提。素晴らしい脚力と、思い切りのよさも兼ね備えています。それぞれリーグ上位のチームで活躍しているところも評価が高いですね。走りのタイプは微妙に違っていると思いますが」

──どういったところが違うのでしょうか。

「増田から言うと、彼は支配下登録されてからの経験が他の2人よりも少し長い(増田は2017年7月、周東は2019年3月、和田は2020年6月)だけあって、『技術の高さ』が光っています。より試合終盤の勝負を決する場面で起用され、何度も牽制された後でもすぐスタートを切れる。『相当に、いろいろ考えているな』という印象です。

 一方、周東は『センス』が際立っている。盗塁に限らず、とっさの打球の判断、ベースランニングの質もピカイチです。そして和田は、スバ抜けた『スピード』ですね。多少スタートが遅くてもセーフにできてしまう速さは脅威ですよ」

──それでは、個々の活躍について深堀できたらと思います。まずは増田選手ですが、10月1日時点での盗塁数は16個。失敗は4回で成功率は.800となっています。

「注目すべきは成功率の高さです。現在、20盗塁でセ・リーグトップを走る阪神の近本(光司)の成功率は.769(失敗6)。それも十分に高いですが、増田は絶対に失敗できない場面で、『絶対に走ってくる』というマークをかいくぐっての数字ですから。しかも早いカウントでスタートを切っている。ベンチで相当な準備をしているんでしょう」

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──特に接戦では、チームにとって非常に心強い存在でしょうね。

「今季の巨人は『増田で勝った試合』がとても多くなっています。"神走塁"として話題になった、7月19日のDeNA戦がいい例です。2−3と1点を追う9回表1死、1塁ランナーの坂本(勇人)の代走で登場し、盗塁に成功。2死二塁となり、丸(佳浩)の二塁への内野安打の間に本塁に突入して同点。その後の逆転へとチームを導きました。

 おそらく三塁を回った時点で、キャッチャーと打球が捕球された位置を確認したと思いますが、その後でまた走りを変えているんです。セカンドからの送球とキャッチャーの位置がズレたことも見ながら、タッチをかいくぐる左手1本のヘッドスライディング。かなり技術が高い走塁でした。今はチームの信頼度も相当高いでしょうね。たとえアウトになっても『増田でもアウトなら仕方ない』というムードに変わっているでしょう」

──パ・リーグの盗塁数1位(27個)の周東選手は、失敗数が3で盗塁成功率.900と高い数字を残しています。

「周東は、プレミア12でも見受けられたんですが、僕が見ていて『走ってもいいのに』という場面で自重することが多い印象があります。まったくスタートを切らないこともあれば、別の試合では1球目であっさり盗塁を決めることもある。それがセンスというか、彼なりの基準や感覚があって、塁上で相手バッテリーと駆け引きをしているんだと思います。

 日本ハムの西川(遥輝)に近い考え方なのかもしれませんね。以前、西川と対談した際に、成功率を重視して決して冒険をしないことを明言していましたから。それが"現代の野球"の傾向なのかもしれません」

──その傾向とは?

「『盗塁は、失敗したらチームにとって大きな痛手になる』という考え方ですね。他にもバントを重視しないといった、オークランド・アスレチックスが用いた基準が、日本のプロ野球でも当たり前になってきています。以前は盗塁も、アウトになってもチャレンジすること自体がチームに勢いをもたらす側面もあったのが、『成功率が高くなければいけない』という考えに変わってきています。

 決して間違いではないと思いますが、すべてを"ベースボール"にする必要はない。特に周東に関しては、もっと積極的に走っても成功率を落とさずに盗塁数を増やすことができる選手です。本人にも考えがあるでしょうけど、盗塁のトライ数を増やしてもいいんじゃないかと思っています」

──最後に、和田選手についてはいかがですか? 最近は少し出場機会が減っていますが、20盗塁で成功率.870(失敗数3)と支配下登録1年目とは思えない活躍ぶりです。

「経験の差もあって、増田や周東に比べると、技術やセンスといった面では少し劣るかもしれません。ただ、育成時代に比べるとそういった面も確実に成長しています。昨年はファームでリーグ2位の23盗塁を記録しましたが、決してスタートはうまくなかった。それが、一軍での経験も踏まえて研究を重ねているんだと思いますが、だいぶ改善されたように見えます。

 走るスピードはもちろん、スライディングも速すぎてベースを突き抜けそうな勢いがありますよね。速すぎるために、ベースから遠いところでスライディングを始めてしまうといった粗削りな部分もありますが、そこに技術が追いついてきたら......末恐ろしいです」

──3人の今後について、赤星さんが期待することはありますか?

「代走で満足することなく、しっかりとレギュラーを獲得してほしいです。その点は周東が一番早いかと思っていたのですが、もう少し時間がかかるかもしれません。しかし諦めずに、打撃や守備の向上も怠ることなく、3人とも走攻守でファンを魅了する選手になってくれることを期待しています」

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