約1年ぶりの代表戦。台頭した「新生ボランチ」に大いなる可能性を見た

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2020年10月10日 17:11  webスポルティーバ

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 本当の意味での日本代表として試合を行なうのは、約1年ぶり。かつてない長期間のブランクを経て、日本代表がどんな試合を見せてくれるのか、怖いもの見たさも含めて楽しみにしていたが、やはりチームとしての形を維持するのは難しかったようだ。

 特に前半はカメルーンに対し、前線からのプレスのハメどころを見つけられず、ワイドにボールを動かされて、相手の得意な距離感で戦わされた。こうなってしまうと、複数の選手でボールを囲い込むというより、1対1の局面が多くなる。日本の分が悪くなるのは当然だった。

 結果はスコアレスドロー。前半はよく耐えて、後半にうまく修正した試合、というところだろう。




 さて、そんな劣勢を強いられることが少なくなかった試合でも、果敢に積極的なプレーを見せていたのが、ボランチを務めた23歳、MF中山雄太だ。

 チームとしての機能性が乏しく、自分がどこで誰を捕まえればいいのかが判断しにくい状況になりながら、それでも怖がって下がるのではなく、前でボールを奪える位置に立ち続けた。結果的に潰し切れずに後退させられ、ピンチを招くこともあったが、その姿勢は悪くなかった。

「トランジション(攻撃から守備への切り替え)でより多くマイボールにするところを、今日は特に意識してやった。その手応えは感じつつも、もっと向上させていきたい」

 試合後、中山自身もそう話していたが、後半に入ると、高い位置でボールを奪うシーンは増えた。日本が布陣を4−2−3−1から3−4−2−1へ変更し、プレスのハマりがよくなったこともあるが、前半からの積極的な姿勢が実を結んだと言ってもいいだろう。

 また、本人曰く、守備については「通用する手応えがあった」が、攻撃については「ボランチとして、ゴールにつながるシーンは意識している」としながらも、「もっと増やさないといけない」と、課題を挙げていた。

 だが、攻撃面についても悪くはなかった。

 左右両サイドにパスを散らすだけでなく、自らも高い位置にポジションを取って攻撃の推進力を生みだし、試合終盤には自らニアゾーンに走り込むなど、時間を重ねるごとに、ゴールへ向かうプレーを増やしていた。

 中山が国際Aマッチに出場するのは、これが2試合目。前回の出場は、五輪世代中心にチームを編成した2019年6月のコパ・アメリカでのことだったから、実質的には今回のカメルーン戦がA代表デビュー戦と言っていいだろう。それを考えれば、今後を期待させるに十分な、合格点の内容だった。

 柏レイソルのアカデミー(育成組織)で育った中山は、早くからその才能を開花させ、10代にしてトップチームで活躍していた。

 U−20日本代表にも選出され、2017年にはU−20ワールドカップに出場。当時はセンターバックを務め、DF冨安健洋とコンビを組んでいた。このチームではキャプテンを任されることもあり、しっかりと声を出して周りを動かせるリーダーシップは、すでに以前から備えていた。

 しかし、将来的なことを考えると、中山がセンターバックで勝負することには疑問もあった。身長181cmは日本人選手としては大きな部類に入るが、世界基準でセンターバックとして勝負していくことを考えると、やはり小さいからだ。

 その一方で、左利きの中山はセンターバックながらパスセンスに優れ、効果的な縦パスを出せる選手だった。空中戦や対人プレーの強さを最大の売りにするタイプではないだけに、センターバックにこだわる必要はない。実際、柏では左サイドバックで起用されることも少なくなかった。

 ただ、そこで彼を見ていて心配だったのは、このまま小さくまとまり、器用貧乏になってしまうのではないか、ということだった。

 日本人選手としては大柄で、しかも足元の技術は高い。多才ゆえ、よく言えば、どのポジションでもこなせるが、悪く言えば、これといったポジションが定まらない。結果として、ポテンシャルを生かし切れないまま伸び悩んでしまう危険性は、少なからずあったのではないだろうか。

 だからこそ、海外移籍は英断だった。

 現在、オランダのズヴォレに所属する中山は、日本を離れて以降、必ずしも思うような出場機会を得られているわけではない。

 それでも、かつては洗練された印象が強かった彼のプレーには、力強さや泥臭さが加わっている。それは今回のカメルーン戦に限らず、昨年行なわれたU−22代表の試合を通じても感じられたことだ。

 中山がいい形で変化し、成長していることは間違いない。

 これから先、中山はボランチが主戦場になっていくのだろう。現在の日本代表においては、MF柴崎岳が中心に起用され、MF遠藤航、MF橋本拳人らが台頭してきてはいるものの、ほとんどの選手が横一線と言っていいポジションである。

 高さと強さ、それにパスセンスも兼ね備えたレフティーは、自らが研鑽を積むオランダの地で、ボランチのポジション争いに名乗りを上げた。

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