今年の冬の冷え込みは、財布の中まで凍り付かせてしまいそうだ。三菱自動車は10月13日までに、冬のボーナスを今春に労使が妥結した水準から2割超引き下げることで労働組合と合意した。新型コロナウイルスの感染拡大により悪化した業績回復を図るため。国内の一般社員ら約1万3000人が対象になる。
読売新聞などによると、同社経営側が春に2.65か月分で妥結していた年末一時金を0.6か月分引き下げ、2.05か月とする減額案を提示、組合側は受け入れたという。一度合意した年末一時金の水準を引き下げるのは、リコール隠し問題が発覚した2004年以来という。
JR西は「2.69か月」→「1.5か月分」 JTBに至ってはボーナスゼロ
同社は、21年3月期連結の最終利益を3600億円の赤字と見込んでおり、2年間で計1000億円規模の固定費削減に取り組む方針。冬のボーナス削減もその一環になる。非組合員の管理職も基本給を1割カットしており、11月からは国内で500人規模の希望退職を募るとともに、新規採用も抑えるとしている。
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冬のボーナスをめぐっては、航空大手の全日本空輸(ANA)が10月上旬、ボーナスを支給しない方針を固めて労働組合に提案。また、大手旅行代理店のJTBは7月時点で早くも、冬のボーナスをゼロにすると決定していた。
JR西日本も10月上旬、今春の労使交渉時に2.69か月分で合意していた冬のボーナスについて、1.5か月分に引き下げることで労働組合と合意。東京ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドも、冬のボーナスを7割削減すると既に報じられている。
東証一部205社、支給水準は「前年比2万5000円減」
新型コロナウイルスの影響を受け、業績が悪化する企業も相次ぐ中、夏には"現状維持"で踏みとどまる企業も多かった。だが、冬は各業界でより顕著な影響が出てきそうだ。
労務行政研究所の調査によると、東証一部上場企業205社のうち、夏冬型年間協定で既に決まっている年末一時金の支給水準は74万3968円だった(9月14日時点)。同一企業で見た前年の妥結実績と比較すると、金額で2万4708円、対前年同期比3.2%減となり、19年の0.1%減からマイナス幅が拡大している。
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中小企業ではより深刻な影響が出そうだ。浜銀総合研究所が10月12日に発表した調査では、神奈川県内の中堅・中小企業の2割が冬のボーナス支給を「未定」(20.5%)とした。前年からは11.8ポイント増となっている。「支給する」(73.2%)とした企業が12.9ポイント減少した一方、「支給しない」(3.7%)とした企業は1.4ポイント増加した。
支給額については「前年から増額する」(8.4%)とした企業は4.5ポイント減。「前年並み」(32.6%)とする企業は19.6ポイント減少した。一方で「減額する」(21.3%)とした企業は9.5ポイント増。「金額未定」(10.8ポイント)とした企業も1.5ポイント増えていた。
新型コロナウイルスの影響で、景気の先行きに不透明感が漂っている。調査会社は「今冬のボーナスについては業績動向に連動して慎重な見方をする企業がより多くなっていることがうかがえる」と考察している。