亡くなった子を激痛に耐えて出産…“レインボーベビー”授かっても癒えない母親の傷

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2020年10月14日 11:30  AERA dot.

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写真昨年、日本でも多くの人が参加した10月15日夜のWave of Light。亡くなった赤ちゃんを思う人たちがSNSなどでつながる(写真:Angie提供)
昨年、日本でも多くの人が参加した10月15日夜のWave of Light。亡くなった赤ちゃんを思う人たちがSNSなどでつながる(写真:Angie提供)
 死産や流産、新生児死などで赤ちゃんが亡くなった後に授かった赤ちゃんを指す「レインボーベビー」いう言葉。海外で生まれた造語ながら、近年日本でもブログやSNSなどで使われるようになった。希望の象徴のような言葉だが、無事に赤ちゃんを授かったとしても、決して以前の傷が癒えるわけではないという。AERA 2020年10月19日号では、葛藤を抱える母親たちを取材した。

※【息子の名を呼ぶ度、亡き娘を「心で呼ぶ」 “レインボーベビー”授かった母親の葛藤】より続く

*  *  *
 赤ちゃんを亡くした家族の心の支援を啓発する当事者グループ「Angie」のメンバーの平尾奈央さん(38)は12年前に死産し、翌年息子を出産した。

「悲しみと向き合わないままに次の出産を迎え、その後も育児に追われて娘の死と向き合えず、10年近く苦しみました」

 妊娠8カ月のとき、胎動が弱いと感じ、産婦人科を緊急受診したが、診察した医師に「寝ているだけ」と言われた。1週間後の健診で心臓が止まっていた。

 亡くなった子も陣痛を起こして自然分娩で産むと聞かされ、驚いた。まだ子宮口も開いておらず、棒状の器具を使って子宮口を広げる処置はかなりの痛みを伴うものだった。痛みに悶えながら、「産声も聞けないのに、なんでこんなにつらい思いをしないといけないの」と涙がこぼれた。その後半年間の記憶は今もほとんどない。

 2度目の妊娠、出産では、前回のつらい記憶が次々によみがえった。病院が開催した両親学級では死産の際に入院していた病室を見せられ、当時の記憶がフラッシュバックした。産後は亡くなった娘を助けてあげられなかった罪悪感が消えなかった。

 夫は長期出張も多く、24時間赤ちゃんと二人きりの生活で次第に追い込まれた。泣きやまない息子に向かってタオルケットを投げてしまったこともあった。すぐに我に返ったが、「待ち望んでいた赤ちゃんなのに命を大切に扱えないなんて」と自分が嫌になり、「こんなママでごめんね」と泣きながら謝った。

 死産や流産の当事者による「お話会」と呼ばれる集まりを探したが、多くは子ども連れの参加を認めておらず、気持ちを吐き出せる場所もなかった。

■つらさを口にできない

 この2、3年で死産や流産の経験をSNSやブログなどで発信する人が増えたが、レインボーベビーを授かったことやその後の苦しみは吐露しにくい。

 妊娠7カ月で息子を死産した経験を「チーちゃんママ」としてブログで発信する谷原嘉代さん(45)は、死産から約2年後に次の子を出産した。

「ちゃんと生まれたのだから弱音を吐いちゃいけない、つらいなんて言ってはいけないと思い、どこにも気持ちを吐き出せなかった。今振り返ると産後うつになっていたと思います」

 子どもに笑顔で接したいのに、笑えなくなった。離乳食や食事を作らなきゃと思っても起き上がれず、腐った野菜を見て自分に嫌気がさし、自己肯定感がどんどん下がっていった。

 谷原さんは、500人を超える死産や流産経験者の相談を受けてきた経験から、こう話す。

「悲しみからの回復には、気持ちを吐き出して、それを自分で受容していくことが大切ですが、レインボーベビーを授かるとそれが難しくなることがあります」

 谷原さんは友人が話を聞いてくれてずいぶん助けられたというが、次の子が生まれると、周囲から「もう大丈夫だ」と思われ、現在のつらさや過去の悲しさを口にする機会が失われてしまうケースが多いという。

「複雑な感情になるのは正常なことだし、次の子が生まれたとしても、亡くなった子を忘れることはありません。周囲の方々にも、感情を吐き出す手助けをしてもらえたら」(谷原さん)

 亡くなった赤ちゃんは限られた時間でも家族に幸せをもたらしてくれた尊い存在だ。だが、一般には赤ちゃんの死はタブー視され、話すと気まずい雰囲気になってしまい、話しにくい現状がある。だが、亡くなった赤ちゃんを一人の人として認めてもらえることで、当事者は戸籍にも残っていない命が確かに存在していたのだと実感でき、癒やされていく。

■もっと話しやすい社会

 前出の平尾さんは先日、小学5年生の息子から、同級生に亡くなった姉の名を教えたと報告を受けた。紙に「莉子(りこ)」と書くと、「かわいい名前だね」と言ってもらえたと聞き、救われる思いだった。

「もっとお空にいる子のことを話しやすい社会になったらいいのに、と感じます」(平尾さん)

 毎年10月9日からの1週間は赤ちゃんを亡くした家族のための国際的な啓発週間「Baby Loss Awareness Week」。最終日の15日の夜7時から8時はキャンドルを灯して亡くなった赤ちゃんとそのご家族を思う「Wave of Light」が行われる。海外では当事者ばかりでなく、子どもを亡くした知人にキャンドルの写真を送る動きも広がっていて、当事者の孤独感を和らげている。(編集部・深澤友紀)

※AERA 2020年10月19日号より抜粋

【おすすめ記事】【前編】息子の名を呼ぶ度、亡き娘を「心で呼ぶ」 “レインボーベビー”授かった母親の葛藤


このニュースに関するつぶやき

  • 妊娠6回、息子3人。引きずってるのもあるけど流産はしょうがないと割り切れた。そんな自分に人としてどう?って思ったけど自己防衛機能だから大丈夫と言われホッとした事がある
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  • 癒えないよ。無事産まれてくれた二人の子がいても、その子はその子だし。未だに毎日、あの子が生きていたらと考えてしまう。だって、死んだ子の歳を数えてしまうのが親よ。
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