10月10日にリニューアルスタートを切ったばかりの『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)が災難に見舞われた。所ジョージの仕事場兼遊び場「世田谷ベース」のロケに同行していた人気YouTuber・フィッシャーズのメンバー2人のうちの1人、ぺけたんが、その前日に活動休止を発表したばかりだったのだ。番組側は、急きょぺけたんの“消去”作業に追われたものの、その不自然な映像に視聴者から違和感を指摘する声が上がっていた。
ファンに対し、避妊もせず無理やり行為に及んだという悪行を、その相手女性に暴露されるという今回のスキャンダル。人気YouTuberの不祥事に、メディアは一斉に群がり、起用したテレビ番組も被害を被る形となった。しかし、そもそもYouTuberのテレビ出演について、テレビ関係者の本音は「微妙」なようだ。
「『世界一受けたい授業』のロケでフィッシャーズは、自他ともに認める“遊びの天才”所にその極意を聞きに行っていました。ただ、このロケは別にフィッシャーズでなくても成立する内容。制作側は、単に番組リニューアルの話題作りとして、登録者数652万人を誇るネットの人気者を起用しただけなのでは」(テレビ関係者)
数年前まで、テレビ出演するYouTuberはヒカキンが関の山だったが、近頃はコロナ禍による自粛期間を経て、数を増やした印象がある。10月8日には、登録者437万人を誇る男性2人組YouTuber・水溜まりボンドが『ぐるナイ』(日本テレビ系)のゴチ特別編に登場した。
「羽鳥慎一から『ナイナイさんのことを大変なお好きだと?』と聞かれた際、トミーは『(ナイナイとは)ラジオで初めてお会いしたんですけど、本当に、存在したんだ、本当にいるんだ』と返答。カンタも『緊張しすぎて……』と答えるのがやっとで、2人とも緊張の色が隠せない様子でした。食リポも『めちゃくちゃおいしい』『やわらかい』と普通のコメントしか言えず、彼らにとっても、制作側にしても、なにかメリットあるとは思えない内容でした」(芸能ライター)
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双方がWin-Winとならないにもかかわらず、どうしてテレビ制作者はYouTuberを起用し続けるのか? 一つ考えられるものとして、ネットが生活の中心にある若い世代に、テレビを見てもらいたいという狙いはあるだろう。
「それも大きな要因ではありますが、さらには、“YouTubeの魔法”と言うか、彼らのことが“面白いと錯覚して見える”ことも、オファーの要因になっているでしょう。“魔法”とは、あの編集のテンポ感や、効果音、テロップの出し方。この魔法に幻惑されて、『きっと彼らは何かやってくれる』という期待感が募り起用するのですが、結局、YouTuberは編集“込み”で面白いのであり、編集前の“素のまま”でテレビに出ても、『大したことがない』と魔法が解けてしまうのです」(放送作家)
同8日放送の『ロンドンハーツ ゴールデン3時間SP』(テレビ朝日系)には、登録者数148万人の3人組ユニット・さんこいち・古川優香が登場し、「スポーツテスト2020」企画でさまざまな種目に挑戦した。
「古川も目立った活躍はできずじまいとなりました。50m走でビリになったとき、『結構、久々に走ったんで、走り方がわからなかったです』とテレビ的には使えない普通のコメントをしたのですが、これもYouTubeだったらテロップで面白く見せていたのでしょう。放送では、有吉弘行が『この不満はYouTubeで頼むな』とフォローしたので、なんとかオンエアされていました。結局、YouTuberはタレントのフォローがないと成立しない、普通の人と同じです」(同)
一方で、見どころがありそうなYouTuberもいるようだ。
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「最近、歌手デビューも決定するなど勢いに乗る登録者220万人超えの男女YouTuberユニット、ヴァンゆんのゆんは、同じく『ロンハー』でロンドンブーツ1号2号・田村淳から『ヴァン(相方のヴァンビ)はどうした?』と聞かれると、『ヴァンはお留守番でーす』と返答。その答えに有吉は『うまい!』と感心していました。淳は『たまたま』と言っていたものの、YouTuberとしてはまだましなほうでしょう」(前出・テレビ関係者)
YouTubeにはYouTubeのファンがおり、テレビとの比較において、どちらかが良いか、もしくは悪いかではないことは、あらためて説いておきたい。つまり結論からすると、テレビ関係者は「YouTube動画の総合プロデュース力に驚かされている」ということだ。裏を返すと、セルフプロデュースできない場では実力を発揮できないともいえる。一度でいいからYouTuberだけが集まるテレビ番組も見てみたい。
(村上春虎)