7人乗りなのに峠が得意? メルセデスの新型SUV「GLB」に試乗

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2020年10月19日 07:02  マイナビニュース

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役者が増え続ける国内SUV市場で、すでに8車種という業界トップのラインアップを展開するメルセデス・ベンツが、その最後の“隙間”を埋めるべく新型車「GLB」を発売した。7人乗りということでファミリーカー的なSUVかと思いきや、実はこのクルマ、峠でも十分な力を発揮できるのだ。

○3列目シートに乗ってみた

今や神格化されつつあるトップオフローダー「Gクラス」からインスピレーションを受けたという四角いボディを持ち、コンパクトながら最大7人が乗れるというスペックは、日本でも人気が出そうな匂いがプンプンだ。エンジンは2.0リッター直列4気筒でディーゼルターボとガソリンターボが選べる。今回は両方に乗り、その魅力を探ってみた。

GLBのボディサイズは全長4,640mm、全幅1,835mm、全高1,700mm。エンジン横置きFFベースのプラットフォームを供用しているSUV「GLA」より200mm長く、95mm高い。ちなみに「GLC」はGLBに比べ全長が+30mm、全幅と全高が+55mmとなる。まあ、確かにAとCの中間の「B」なのだが、GLAとGLCが5人乗りであるのに対して、GLBは7人乗り3列シートを装備しているところが大きな違いだ。

最初に乗ったのは、ディーゼルエンジンを搭載する「GLB 200d」。512万円の本体に、オプションとしてナビゲーションパッケージとデジタルホワイトメタリックペイントを装備した計538万円の車両である。

搭載する「OM654q型」2.0リッターディーゼルエンジンは、最高出力150PS(110kW)、最大トルク320Nmを発生。電子制御の8速デュアルクラッチトランスミッション「8G-DCT」を介して前輪を駆動する。ディーゼルエンジンを搭載するSUVと聞くと、四輪駆動システムと組み合わされるのが一般的な気がするが、GLB200dにはFFしか設定がないので、7人乗りのSUV風ミニバンと考えた方がいいかもしれない。200dの4MATICを導入する予定はあるとのことだが、時期は未定だという。

さて、まずは3列目シートに注目してみよう。メルセデスらしく、そこに座るパッセンジャーは身長168cm以下との指示がある。これは衝突時の安全面を考慮してのコーションであり、きちんと注意しているのはメーカーの誠意が感じられていい。筆者は幸いにして、指定された身長をわずかに切る背丈(直近の身体測定で167cm、少し縮んでしまった……)なのでOKだ。

背もたれにあるレバーで140mmスライドする2列目シートを前方に押し出し、できた空間から3列目に乗り込んでみると、足元はさすがに狭く、背もたれも低い。けれども、格納式ヘッドレストは上方に長く伸びてくれて、一度座りこんでみると我慢できず、すぐに降りたくなる、と思うほどでもなかったのは意外だった。2列目、3列目とも、ISOFIX対応の固定装置を備えているので、最大で4つの対応型チャイルドシートを取り付けることができる。2列目と3列目を全て倒せば、そこには1,680Lというフラットで広大なラゲッジが出現する。

走りはメルセデスの2.0リッターディーゼルモデルらしく、安心感がある。加速中は変速ショックを全く感じさせない。湘南バイパスを制限速度の70km/hで走ってみると、コンフォートモードで7速1,400回転、スポーツモードでは6速1,600回転ほどで回っていて、常に最大トルクを発生しながら走り続けるという設定が嬉しい。前後左右のウインドーが立っているので見晴らしがよく、湘南の海がよく見える。荒れた路面や目地段差で、わずかに頭が揺らされるのが惜しい。

○ガソリンターボで峠を攻める!

もう1台は、深い紺色のギャラクシーブルーに塗られたガソリンモデルの「GLB250 4MATICスポーツ」だ。ちょっとワイルドな見た目を演出するAMGラインや20インチのマットブラックアルミホイールなどが標準装備となっているため、こちらは696万円となかなかのプライスタグになっている。搭載する「M260型」2.0リッター直列4気筒ガソリンターボは、最高出力224PS(165kW)、最大トルク350Nmを発生。いずれも200dを上回るパワフルなエンジンだ。

せっかくの「スポーツ」モデルなので、馴染みのワインディングに行ってみた。このエンジンには、最近流行の48Vマイルドハイブリッドシステムなどのアシストは搭載されていないものの、2名乗車程度であればきつい勾配の登り坂でも全く問題なし。1,760キロの重いボディをぐいぐいと加速させてくれる。

ダイナミックセレクトスイッチで4MATICのドライブモードをスポーツに切り替えれば、前後トルク比がコンフォートの80:20から70:30へと後ろ寄りとなり、蹴り出す力がより強くなる。コンフォートサスペンションを搭載していた200dに対し、こちらはスポーツサスペンションを搭載しているし、20インチの扁平タイヤを履いているので、コーナーが続くこうしたワインディングでも気持ちよく駆け抜けてくれる。ルームミラーで確認しない限り、3列目までシートがあるSUVであることを忘れてしまうほどだ。

帰りの湘南バイパスを巡航していると、目線が安定していたり、段差を乗り越えた時のショックが一発で収まったり、車内の静粛性がよかったりと、平均してこちらの方がちょっとだけ優れていることに気がつく。低回転域で静粛なガソリンターボと4MATICの駆動系のスムーズさ、優れたサスペンションシステムの総合力なのだろう。

帰途では工事区間で1車線に合流するための渋滞が発生していたので、インテリジェントドライブの「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(自動再発進機能付き) & アクティブステアリングアシスト」(名称が長い!)を作動。ブラッシュアップを続けながら進化してきた老舗ブランドの同システムは、前のクルマについていくときの動きが自然で、全く不安なく使えるのがいい。

「ハイ、メルセデス」で起動するMBUXは認識精度が高く、「大磯プリンス(試乗の発着会場)に帰りたい」といえば、すぐにルートを設定してくれた。「前2席の声を認識する」としている同システムだが、車内が静かなGLBあたりだと、3列目シートからでも女性の声なら認識してしまうほど能力が上がっているという。

試乗を終えて広報さんにGLBの販売比率を確認すると、200dが65%、250 4MATICが35%という内訳になっているとのこと。30〜40代のファミリー層と独身男性から非常に好評だという。200dはファミリー層、250 4MATICは独身男性ということなのだろう。どちらも大変優れたクルマだったが、個人的にはやっぱり250 4MATICスポーツがお勧めである。

原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)
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