ドームだけどもドームじゃない? 西武本拠地が抱える“問題”は解決可能なのか

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2020年10月20日 16:00  AERA dot.

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写真埼玉西武の本拠地メットライフドーム (c)朝日新聞社
埼玉西武の本拠地メットライフドーム (c)朝日新聞社
 埼玉西武ライオンズの本拠地メットライフドーム。今年は新型コロナウイルスの影響で入場の人数制限はあるが、毎試合熱いファンが詰めかけて声援を送る。球場自体もリニューアルを重ねた結果、素晴らしい環境に変貌しつつある。

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 しかし根本的な問題はまだ解決されていない。アクセスの悪さと夏場のドーム内のうだるような暑さだ。

 西武球団誕生、本拠地移転に合わせ、西武ライオンズ球場(現メットライフドーム=以下ドーム)が79年に開場した。

 鉄道事業との兼ね合いもあり、現在の場所に決まったが交通事情には悩まされている。40年以上経っても道路整備が不十分で、車では常に交通渋滞に苦しめられる。

「試合終了後の渋滞は目も当てられない。クラブハウスで時間を潰してから家路につく選手ばかり」

 球団関係者は選手らの移動手段について説明する。

「うちの選手は所沢駅周辺と隣接する東京都に住む選手に別れる。どちらに住んでも帰宅時の混雑は同じくらい。西武在籍時の石井一久(現楽天GM)などは、開き直って都心から運転手付き車両で通っていたほど。こればかりは球団ではどうしようもない」

「悪いことばかりではない。森友哉、山川穂高など主力の多くが早くから練習するのが日課になっている」と球団関係者は続ける。

「遅れないように早く球場へ向かう。時間が余るので、それをアーリーワークに費やす。また新しい寮が近くにできた。次の日がデーゲームなどの場合、宿泊する選手もいる。調整もやりやすいのではないか」

 車で訪れるファンにとってはストレスが溜まるだろうが、選手にはプラスになっていることも多い。

 電車の場合、主にファンにとって問題が多い。最寄りの西武球場前駅までは、途中駅から単線路線となる。運行本数を増やすにも限度があり、往復とも電車内は混雑する。

「尋常ではないほど電車が混む。普段生活している我々からすると信じられない。試合後など、電車が空くのを待つ人もいるのだろうが、駅周辺に飲食店などほとんどない。電車内、ホーム、そして改札外まで人が溢れている。最近は色々なお店もできているが、効果があるのか注目している」(西武球場前駅周辺住民)

 問題はアクセス面だけではない。建物自体の立地や構造条件から生じる、ドーム内の高温多湿状態だ。

 丘陵地帯を掘り下げて建設したため風通りが極端に悪い。夏場になると湿気が多く、試合中に外野の打球が霧で見えにくくなるほどだった。しかし屋根のなかった時期は、時折吹き込む風が心地良かった。また本塁打や勝利時の花火と相まり、夏はお祭り感覚で楽しめる環境だったのだが……。

 その後、気象面の変化などに対応するため、既存の球場に屋根をつけることを決定。外壁を先に作った後、屋根を吊り上げる方式で99年に現在のドームが完成した。

 球場周辺環境との調和を図るため、密閉式ではなく下部が開放されたものとなったのも斬新であった。「周囲の四季を感じながら、天候を気にせず野球を楽しめる」という当初の目論見は素晴らしかったが、現実はうまくいかなかった。場外からの風が遮断されたドーム内は以前にも増して高温多湿状態、特に夏場はサウナ風呂状態に陥っている。

 8月15日、リーグ3連覇に向けて厳しい戦いが続く西武に衝撃が走った。チームの主軸『おかわり君』こと中村剛也が熱中症でリタイヤを余儀なくされた。当日の試合前練習後、体調不良を訴え都内の病院で診察を受け、熱中症と診断されたのだ。

「暑さに強いと言われていた中村でしたから驚きました」と西武担当記者は語る。

 中村は生え抜き19年目のベテランでドームの暑さは長年経験して来た。その選手がダウンするほど、近年の状態は酷くなっている。

「細心の注意を払い、球団を挙げて対策を練っている。中村本人も『大阪の方が暑かった』と言うほど夏は好きなタイプ。原因はいくつかあるだろうが、年々、ドーム内の暑さが増してきている」(西武担当記者)

 16年からスタンド内に大型扇風機を設置しドーム内の空気を循環させている。また練習時間中などはバックスクリーン下を開放し、空気の入れ替えが行われている。

 またベンチ内には気化式冷風機や扇風機を設置。空調の充実やクラブハウス改修など、数年前に比べると格段の施設となった。しかしグラウンド上はどうしようもない。そこで長時間プレーすれば影響を受ける可能性は高い。

「夏場のドームは行きたくない」

 年間シートで球場に通い詰める西武ファンからも対策を求める声は強い。

「夏の甲子園で酷暑が問題になる。でも浜風が有名なように甲子園は風が強い。内野席には大きな銀傘もあり日射しも避けられる。スタンド下コンコースは日陰なだけでなく、寒いほど冷房もかけられている。観戦環境が良く、選手のみでなくファンにとっても『聖地』なのがわかる。ドームはナイターでも湿気などで不快度数は高い。球場外周などに色々なショップができて暑さはしのげるけど、その分、お金はかかってしまう。小さな子供がいる家族連れには、敷居が高くなってしまう恐れもある」

 国内最大級のグッズショップやカフェが新設されるなど、ファンとして楽しみな場所は増えたのだが支出は増えるそうだ。

「選手寮の建て替えや、老巧化した第2球場のリニューアルなど、選手のための施設も大きく改善されている。球場周辺には試合日を通じて楽しめる施設もできた。西武球団の強みはフットワークの軽さ。暑さ対策も本格的な冷房機能の導入などを検討している。あとはチームが継続して結果を残すこと。今年は出だしにつまずいて苦戦しているが、パ・リーグはCSシリーズも行われるので、まだまだチャンスはある。選手が周囲の期待に応える番ですね」(西武担当記者)

 黄金時代だった時期にあぐらをかき、しばらくは不人気球団となった。しかし抜本的な改革を進め、球界きっての先進的球団になりつつある。アクセスの悪さとドーム内の暑さに関しては、即効性のある対処は難しい。しかし、ここまで変革してきた球団が手をこまねいているはずはないと期待しよう。そして選手には再びの頂点を目指し、ここからの戦いに全力を注いで欲しい。

このニュースに関するつぶやき

  • アクセスに関してはレオライナーぶっ潰して、多摩湖線で国分寺まで直通運転すれば少しはマシになるかも
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  • いっそ、屋根とっぱらってしまえばいいのに。
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