育児アドバイザーに聞く、みんなの子育て相談室 第50回 「ママ抱っこ!」とぐずる子ども、怒らずに何と言うべき?

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2020年10月20日 16:11  マイナビニュース

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「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。

ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

最近は職場でのパワハラ問題など、指導の仕方に注意が求められます。家庭においても、怒らずに子育てをしたいと考えるお母さんお父さんがとても多くなってきました。しかし、怒ることは問題なのでしょうか。

そこで今回は、「子どもになるべく怒らないように優しく諭しているのですが、全然聞いてくれず、結局最後には怒ってしまいます。今日こそは怒らないでおこうと思うのですがそうはいかず……どうしたらいいのでしょうか」というご相談に、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。
○怒るのではなく、認めよう

先日スーパーの入り口で、幼稚園の制服を着た男の子が「ママ抱っこ!」とぐずっていました。お母さんは、大きなバッグ3つにスーパーのカゴも持ち、「ママは荷物が重いから抱っこできないのよ」と何度も子どもに言い聞かせていましたが、「抱っこ! 抱っこ!」と叫び始めたので、「もう、わがままな子ね!」と怒りながら抱き上げていました。

良く見かける光景ですが、少し切なくなりますね。あなたならどうしますか?

子どもがわかるまで辛抱強く説得するという方や、そんなわがままを許していたら子どものためにならないという方もいるでしょう。結局怒るくらいなら最初からだっこは絶対にしませんと宣言するという方や、買い物を諦めて帰るという潔い方もいるかもしれませんね。親子の数だけ、いろいろな方法があるかと思います。

しかし、子どもの自己肯定感を育てたいのであれば、子どもが自分でどうすべきかを考えられるように、お話しすることが大切です。そのためのコツがあります。

まずは、「子どもの気持ちを認める」ことです。今回の例でいうと、このお母さんは「ママは重い荷物を持っているから抱っこができない」と、自分の状況や気持ちを子どもにわかってほしいと伝える言葉から入っていますね。どんなに優しい表現だとしても、言われた子どもは「抱っこしてほしい」という自分の要求を拒否されてしまったと受け取ってしまいます。

大人でも「相談に乗ってほしい」と頼んだ相手に「私は今とても忙しいから、聞くことはできないの。ごめんなさいね」と言われたら、拒否されたと思い、もうその人には相談しないでおこうと思ってしまうことがありますよね。では、何と言われたら、相手の立場を理解できるのでしょうか。

「私でよければ、お話しを聞きますね。大丈夫? 何かあったの? ちゃんと話しを聞きたいから、ちょっと待ってもらえますか。今とても忙しいから、片付いたらすぐに時間をとりますね」と言われたら、相手の立場を理解し、今すぐには難しいという状況を聞き入れやすくなるでしょう。

子どもも同様です。まずは、抱っこしてほしいという子どもの思いを受け止めましょう。

「抱っこしてほしいよね! ママも抱っこしたいよ」とカートに荷物を置いて、抱っこをしてほしいという気持ちに共感する言葉をかけるのはどうでしょうか。いつもはそんなわがままを言わない我が子が、「抱っこ、抱っこ!」と甘えるのには、きっと何か理由があるはずです。

幼稚園で何かあったのかもしれません。お友達だけが先生に抱きしめられていて寂しかったのかもしれませんし、お友達に何か言われて、うまく言い返せず悔しかったのかもしれません。

もしかしたら、朝も抱っこして欲しかったのに、ママが「幼稚園から帰ったらね」と言った何気ない約束を覚えていたのかもしれません。

ママの気持ちをわかってもらう前に、子どもの気持ちを考えてみましょう。
なぜなら子どもは、自分の気持ちをわかってもらったあとで、相手(ママ)の気持ちをわかるようになるからです。
○相手を思いやれる子になるために

子どもの気持ちを認めたら、その後で「こちら側の状況や気持ちを話す」ようにしましょう。ママが笑顔で抱っこを楽しんだら、子どもの気持ちも落ち着きます。そのあとで、こちら側の状況を理解してもらいましょう。

この場面なら「抱っこできてママも幸せ。でも、お兄ちゃんになって大きくなったからママの腕が疲れちゃった。お兄ちゃんは歩いてママを助けてくれると嬉しいな」なんてお母さん側の事情を話しましょう。きっとお子さんは、自分の思いを受け入れられた後なので、「うん!」と言って、歩いてくれるはずです。

子どもがわがままを言った時、それがずっと続くわけではありません。その瞬間が大事です。わがままを直してあげなければと拒否するより、まずは子どもの気持ちを認めた方が、相手の気持ちを理解できる思いやりのある子に育ちます。

この繰り返しで、相手の気持ちを考えるコミュニケーションを子どもは小さい時から実践で学んで行きます。そして、相手にも事情があることや相手の立場を考えて行動できる子どもに成長していきますので、結局は怒ってやらせるよりも近道となるでしょう。

天野ひかり あまのひかり ・親子コミュニケーションアドバイザー ・NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事 上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターとしての経験を生かし、全国の親子に寄り添いながら、講演会や講座、シンポジウム、企業セミナー講師など。 自身が立ち上げたNPO法人でも、子どもの自己肯定感を育てる親子のコミュニケーションを学ぶ教室「ことばでおやこみゅ教室」を主宰。 ■著書 ・Amazon子育てランキング1位のロングセラー 「子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ」サンクチュアリ出版 ・最新刊 「賢い子を育てる夫婦の会話」あさ出版 ほか。 この著者の記事一覧はこちら(天野ひかり)

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  • いつも手が空いてる分けではないけど、手さえ空いてれば抱っこしたいよね。わたしはいま幼児が二人いるもんで、なかなか忙しいや。いつも二人わたしにぶら下がってるよ。
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