WTCR第4戦:雨中予選トップ4独占のホンダ勢、グエリエリ2勝でレース3の表彰台を独占

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2020年10月20日 16:51  AUTOSPORT web

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R3で表彰台を占拠したエステバン・グエリエリ、ティアゴ・モンテイロ、ネストール・ジロラミのFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR勢
全6戦も折り返しを迎えた2020年のWTCR世界ツーリングカー・カップ第4戦が10月16〜18日にハンガリーのハンガロリンクを舞台に争われ、エステバン・グエリエリ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COMミュニッヒ・モータースポーツ)が予選Q1とQ3でポールポジションを獲得。そのQ3ではグエリエリ以下シビックが上位4台を占めるなどホンダ勢が速さをみせ、3レース中2戦でポール・トゥ・ウインを飾ったグエリエリが今季もタイトル戦線に躍り出た。

 悪天候に見舞われたウエット路面の予選から白熱の勝負が繰り広げられたハンガロリンク戦は、レース1のグリッドを決めるQ1から、サテライトチームを含む4台のシビック勢が躍進。今季からハンガリーのチームに移籍した2018年TCRヨーロッパ王者ミケル・アズコナ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/ゼングー・モータースポーツ)や、選手権首位を行くヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR/シアン・レーシング・Lynk&Co)らが同タイムでポールを争うなか、グエリエリがその2台をコンマ5秒も突き放す2分05秒665を叩き出し、まずは最初のポールポジションを獲得する。

 続くQ2では新型クプラのアズコナがやり返し、3台のシビックを抑えて最速をマークするも、続くQ3では「出口まであと15mのところだったのに……なにが起きたかわからない」と振り返ったアズコナが、なんとピットロード・クローズドまでにコースインすることができずノータイムに。

 トラック上で4台の勝負を繰り広げたALL-INKL.COMと、ALL-INKL.DEのミュニッヒ・モータースポーツ勢は、グエリエリがこの日2度目の最速タイムでポールをさらい、前戦スロバキア予選でクラッシュに泣いたアッティラ・タッシ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DEミュニッヒ・モータースポーツ)が2番手に。

 そして週末を前にエンジン交換となり、Q1で4番手タイムながら後方スタートが決まっていたティアゴ・モンテイロ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DEミュニッヒ・モータースポーツ)が3番手につけ、こちらも前戦のクラッシュでマシンが大破、この週末から新車を投入したネストール・ジロラミ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COMミュニッヒ・モータースポーツ)がその背後に続き、レース3に向けシビック勢が上位グリッドを占拠する結果となった。

 日曜午前9時過ぎに幕を明けたレース1は、一転して路面も乾きドライコンディションでの勝負に。前日とは180度異なる条件でフロントロウ発進の2台は明暗がわかれ、ポールシッターのグエリエリは盤石のスタートで1コーナーへと飛び込む一方、2番手アズコナは悪夢の蹴り出しとなり、オープニングでいきなり8番手にまで転落する事態に。

 代わって先頭のシビックを追ったのは、3番手発進のエルラシェールと5番手にいた叔父イバン・ミューラー(Lynk&Co 03 TCR/シアン・レーシングLynk&Co)のLynk&Co艦隊。このラウンドを前に好調アウディRS3 LMSがコンペンセイション・ウエイトを20kg加算された一方、シビックが20kg軽減、Lynk&Coが同じく20kg軽減に加えて車高10mmダウンの最低地上高80mmでの出走が許可されるなど、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)が緩和された2車種が調整どおりに優勝争いを繰り広げる。

■車両トラブルを抱えながらの2勝目だったグエリエリ

 続く2周目には7番手発進だったジロラミがLynk&Co 03 TCRの背後に猛然と迫り、ミューラーを仕留めて表彰台圏内に浮上してくる。ジロラミはそのままポイントリーダーの背中を追い、Lynk&Co 03 TCRとテール・トゥ・ノーズの状態まで持ち込むが、同じく首位グエリエリのリヤバンパーに張り付いたエルラシェールを仕留めることはできず12周のチェッカー。

 グエリエリがオープニングレースで幸先良くポール・トゥ・ウインを飾り、今季2勝目としてランキングも2番手に浮上。エルラシェール、ジロラミの背後にはミューラー、タッシの続くトップ5となった。

 続いてQ2予選タイムトップ10のリバースグリッド採用レース2は、10番手だったジル・マグナス(アウディRS3 LMS/コムトゥユーDHLチーム・アウディスポーツ)が最低地上高違反でタイム抹消となり、代わって地元の期待を一身に背負うハンガリー出身のルーキー、ベンス・ボルティズ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/ゼングー・モータースポーツ)がリバースポールからのスタートに。

 しかし序盤から躍進したLynk&Co艦隊には抗えず、エルラシェール&ミューラーの最強ファミリーがワン・ツー・フィニッシュを達成。最後のポディウムには、接触がありながらもオープニングでジャンプアップを見せたジャン-カール・ベルネイ(アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR/チーム・ミュルサンヌ)が入った。

 そして週末最終ヒートのレース3は、Q3の結果どおりホンダ勢4台がグリッド最上位からスタートすると、2番手タッシは大きく出遅れたものの、残るモンテイロ、ジロラミの2台がグエリエリを厳重警護するかのようにレースを支配する。そのまま15周を走破して、グエリエリが週末2勝目を獲得。FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRがポディウムを占拠する完璧な結果となったが、勝者グエリエリはその決勝後に「見た目ほど簡単なレースではなかった」と振り返った。

「この週末に2勝できたことはチームにとって最高の出来事だが、レース2を振り返ると1周目のターン2で混乱が起き、僕はグラベルの上を滑走した記憶がある。そこからわずかな異変を感じ、背後にいたティアゴも『何かが揺れている』と教えてくれた」と明かしたグエリエリ。

「レース3に向けてクルマはパルクフェルメにあったので詳しく見ることはできず、フォーメーションで確認したらブレーキングに違和感があった。グリッドではフロアとスプリッターをチェックし、問題がなさそうだからスタートしたが、速度が上がるとやはり何かがおかしかった」

「オープニングラップを終えてマシンは完全に壊れ始め、ブレーキングは本当に難しかった。原因はフェンダー内側のホイールアーチライナーで、スプリッターも破損した。止まるのも加速するのも遅く大変だったが、ふたりが完璧にサポートしてくれた。彼らがいなかったらもっと遅かっただろうし、この結果は得られなかったはずだ」

 これでレース3を8位で終えたエルラシェールに対し、22点差まで詰め寄ったグエリエリ。残すは3戦6レースの2020年のWTCR世界ツーリングカー・カップ、続く第5戦はスペインのモーターランド・アラゴンを舞台に10月30日〜11月1日に争われる。

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