シニア女子が「派手下着」を付ける理由 一番のポイントは“ときめき”?

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2020年10月20日 17:00  AERA dot.

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写真レース使いがエレガントな「トリンプ477 フルカップブラジャー」(トリンプ提供)、70・80代以降をターゲットにしたワコールの「らくラクパートナー」のニットトップ(ワコール提供)
レース使いがエレガントな「トリンプ477 フルカップブラジャー」(トリンプ提供)、70・80代以降をターゲットにしたワコールの「らくラクパートナー」のニットトップ(ワコール提供)
 ベージュの下着は年配の女性が着るもの。そんな固定観念が崩壊しつつある。バブル時代を経験した50〜60代の女性の間ではいま、派手でカラフルな下着が流行。一方、若者の間では「ベージュ回帰」も……!? 背景には「自分のため」に下着を選ぶ新しい時代の流れがあるようだ。

*  *  *
 おばちゃんの下着といって思い浮かぶのは何だろうか。ワイヤーがないタンクトップ型のベージュのブラジャー。そして、おなかまでカバーする「でかパン」。だが、いまのシニア向け商品は、それだけではなくなってきている。ワコール広報・宣伝部の福岡智亜紀さん(51)はこう話す。

「定番のベージュ以外にも色のバリエーションが増えました。70代以上はベージュのほか、ピンク、アイボリーといった淡い色味が定番ですが、黒などの濃い色も実用的であまり抵抗がありません」

 少し下の世代になると、嗜好が少し変わって挑戦的になる。

「女性誌『アンアン』や『ハナコ』を読んでいた55歳以上は、バブルを経験して、日本のファッションをリードしてきたおしゃれ世代。派手な色がお好みです。ブラジャーは、青みがかったパープルに、黄色っぽいカーキ、ボルドー(茶色みの強い赤)と、華やかなものがラインアップにあがっています。洋服に合わせて、下着もコーディネートします。ブラジャーをファッションの一部として、例えばオレンジなどのビタミンカラー、シックなネイビーなど濃い色を合わせます」

 下着といえば、昔はもっと地味だったはず。

「50〜60年前、下着といえば、白やベージュの綿素材がほとんどでした。装飾はあってもほんの少しだけ。レースもたくさんは使われず、シンプルでした」(福岡さん)

 着物文化も残っており、毎日はブラジャーを着けない人も多かった。

「かつては寄せたり、盛ったり、楽しむものではなく、胸にあてる実用的なもの。白いブラウスに透けないようにする存在でした」(同)

 それが30年ほど前から、下着の常識を覆す流れが生じた。バブル期にボディコンファッションが流行してから、体のラインを美しく見せたい人が増えた。ランジェリーでバストを盛ってボディーメイクすることが、おしゃれの一環になったのだ。

  個性的な色の下着も、続々と発売された。トリンプの広報、坂田修子さん(41)は語る。

「トリンプの『天使のブラ』が発売された1994年、水色がラインアップにあがりました。当時、きれいな色で珍しいと話題になりました。そのころからさまざまな色が増えだした印象です。あのころ、天使のブラを買った女性たちも今や母親世代。社会的にカラフルな下着を着けることに抵抗はなくなっていったと思う」

 50歳前後では体形も体質も変化する。体に配慮しながら、見た目も「きれい」で機能的なブラジャーも出てきている。ワコールの福岡さんが語る。

「更年期に差しかかるころ、締め付けがきつく感じる体質になり、それまで使っていたブラジャーのワイヤーが窮屈に感じるようになります。弊社の商品では肌に食い込まないよう、ブラジャーの表面にワイヤーを取り付け、伸びもよくしました。脇の肉をすっきり見せてくれるなど体の悩みに対応しながら、おしゃれを邪魔しません」

 機能はさまざまだが、シニアが下着を選ぶ際の一番のポイントはときめきだという。

「商品を一目見てかわいいといった印象で決めるお客様は多い。娘が代わりに買うという高齢者も、初めて手に取って肌触りがいいと、ウキウキするようです」(福岡さん)

 シニアもカラフルでエレガントな商品を選択できる時代になったが、下着革命はそれだけではない。いまはむしろ、「ベージュがおしゃれ」と基本色に回帰する現象が起こっているという。下着コンシェルジュの山田奈央子さん(41)は、ここ10年、国内でもデザインや色がおしゃれなベージュが増えたと話す。

「ベージュでも、上質なレースを使ったインポート物はおしゃれだと以前から注目していました。最近は国内の商品もレース使いがゴージャス。パンツの丈も、へそまであるでかパンより2センチくらい下がっていて、スタイルがよく見えます。色はイメージされるような肌色でなく、くすみのある『ニュアンスカラー』が流行。ピンクベージュやモカっぽいグレージュ、モーブカラーは、はくとおしゃれ。『おばさんベージュ』には見えません」

  ベージュの下着は、流行のファッションにも合わせやすい。今の流行スタイルは、Tシャツをさらりと着るナチュラル系。白いTシャツに響かないようにと、若者もベージュを抵抗なく身に着けるようになった。

 それでも、ベージュの下着といえば、男性受けの悪い下着の代表格ではなかったか。

「ここ10年ほどで、勝負下着という言葉をあまり聞かなくなりました。男性目線で人気がないからベージュを選ばないということは減っています。『社会の規範に自分を合わせない』という昨今の流れが最も表れるのが下着。この年代はこの色、という縛りが消え、ボーダーレスになってきた。周囲のイメージとは違うけれど本当はもっと大胆でありたいという女性も、下着なら大胆に変身できます」(山田さん)

 大阪府の須藤あや子さん(76)は、Ayako(@ayako.stagram)の名前でインスタグラムにおしゃれな写真を投稿する「インスタグランマ」。ふんわりと整えられたグレイヘアにブラックの装いで微笑む姿は、実にエレガントだ。ファッショニスタの須藤さんに下着観を聞いてみた。

「40、50年前くらいから、黒のランジェリーを身に着けています。当時はみんな肌色ばっかりでした。黒なんて、今は普通になったかもしれませんが、当時は水商売の女性が着けるイメージがありました。でも、黒の服が好きで、それには黒の下着のほうが合うと気づいたんです。それに、みんなと一緒っていうのが苦手で、黒に挑戦しました」

 須藤さんは必ずランジェリーを上下セットで着るという。

「誰に見られるというわけでなくても、セットで着ているだけで豊かな気持ちになります。破れたパンツもはきません。自分に合ったものを大切にしたい。それが私の生き方にもなっている」

 こだわりやときめきが詰まったランジェリー。あなたも自分のタンスを開いてみたら、今の気持ちが見えるかもしれない。(井上有紀子)

※週刊朝日  2020年10月23日号

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  • シニアの派手下着←巣鴨の赤パンツですね。
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