「達者でなニパ子」のその後 終了後におきたゴタゴタのワケ

49

2020年10月21日 09:01  おたくま経済新聞

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

おたくま経済新聞

写真「達者でなニパ子」のその後 終了後におきたゴタゴタのワケ
「達者でなニパ子」のその後 終了後におきたゴタゴタのワケ

 ゴッドハンド株式会社の公式キャラクター「ニパ子」が、2020年8月31日をもって「プロジェクトニパ子」の全活動を終了させました。


 終了発表は、メインで活動していたTwitter上にてラスト10日前の2020年8月21日に行われ、突然の出来事に多くのファンや関係者らを戸惑わせました。かくいう筆者もその一人。


【その他の画像・さらに詳しい元の記事はこちら】


 ニパ子とは、ゴッドハンド株式会社が発売するアルティメットニッパーの擬人化キャラクター(設定は「惑星コウグのお姫様」)として2013年に誕生しました。以来、Twitter(@godhandtool)を通じたファンとの交流を主軸に活動を行い、他社製品やコンテンツとも積極的にコラボ。フィギュア化をはじめ、ゲーム化、マンガ化など“企業キャラクター”という枠にとらわれず活動の場を大きく広げました。


 筆者は、ニパ子誕生から彼女についての記事を過去7年にわたり書いてきました。始まりを書いたなら、最後もまた書き残しておきたい。そんな願いから、活動終了が発表されてすぐに、ニパ子の立ち上げから終了までを担当していた当時の担当者に連絡を取り、最終日の8月31日朝にラストインタビュー記事を公開。彼女が生きてきた証しを残す役割を果たしたつもりでいたのですが……。


 終了するその日は、日付が変わる0時へ向け、ニパ子の公式Twitterアカウントでは様々なことがおきていました。まずは「さよなら」を意味する専用ハッシュタグ「#達者でなニパ子」がTwitterトレンド入り。


 朝の時点で7万ほどだったフォロワー数が怒濤の伸びをみせ、日付が変わる0時までに+3万増加し10万フォロワー突破。まさに「有終の美」という言葉どおりの終わりかたを迎えたのです。


 ところが、ニパ子の最後の挨拶とともに0時を迎えた途端にアカウントが突然“ない”状態に。


 もともとの発表および、筆者がインタビューした時点でも、「アカウントは残して、今後はゴッドハンド公式アカウントに移行」と伝えられていたため、終了発表が急だったということも影響し、見送ったファンたちの間では様々な噂が流れました。


 例えば、ニパ子担当者から聞いた話として流れたのが「移行の際年齢設定をミスって凍結された」というもの。しかしこれは、公式発表ではなかったため「終了に絡み何か(内部でもめ事でも)起きたんじゃないか」「凍結じゃなくて削除じゃ」という不安や臆測、さらには「ニパ子の担当者が退職した」という話まで流れて、Twitter上では噂が噂をよぶちょっとした騒ぎになっていました。


 そうして3日たったころに、アカウントは「ニパ子アカウント」改め「ゴッドハンド公式アカウント」として復活。その際、過去のツイートは全て削除。さらには10万のフォロワーは残したままの状態で、ニパ子アカウント側からのフォローが数万アカウント分外されていたのです。


 ちなみに「過去ツイート削除」については、プロジェクトニパ子終了とともに削除する旨が事前に伝えられていましたが、Twitter上のみでの告知だったため、ツイートを削除したことで確認とれずとなり、一部に誤解を与える結果に。正直なところ終了直後は「炎上」といって良い状態でした。


 そしてさらに数日後の9月11日。今度は、ニパ子アカウント改めゴッドハンド公式アカウントより、「究極!ニパ子ちゃんに関する弊社方針のお知らせ」というものが発表されました。


 それによると、キャラクターとしてのTwitter運用終了などは方針が変わらないものの、PRキャラクターとしては引き続き商品パッケージやサイトなどで使用されることが告知されました。これにより、見送った人たちからは「終わりじゃなかったんかい!」といった具合で再炎上。



 筆者にとっても、これは気になる発表でした。終了前の発表および筆者が当時の担当者にインタビューした際には、過去のものは残るものの新たな活動(展開)はない、と聞いていたためです。どういう方針変更があったのか?


 というわけで、事情説明が長くなりましたが、次からが8月31日のニパ子終了後からのお話です。


 取材はゴッドハンド株式会社および、プロジェクトニパ子の前任者にも必要箇所は裏取りを行っています。


 プロジェクト終了後から既にネット上では噂されていましたが、前任者はプロジェクト終了と同時に退職されています(本稿での退職公表はご本人から筆者が直接許可を得ています)。しかし、今回記事を書くにあたり、前任者にも確認をとっておかないとまた臆測を生みそうな……という懸念があったため、退職後にも関わらず特別にご協力いただきました。


 なお、以下内容はゴッドハンドとは別に前任者にも筆者が質問を送り、裏取りをしておりますが、既に退職済みであることから多くは登場しません。その点はご理解ください。


 次からがゴッドハンドに行ったインタビューです。取材は、コロナ禍ということもあり、まずメールで質問一覧を送って返答をもらい、それにさらに質問をつけて返すという文通方式で行っております。


■ ニパ子運営は今はどういう体制?

−−筆者:
新担当者の方の自己紹介をお願いできますか?恐らくニパ子ちゃんファンは今どなたが担当しているのか、という点を少し気にしていると思うので。


高妻:
はじめまして。情報技術課の高妻と申します。よろしくお願いいたします。担当についてですが、恐縮ながら現在専任担当者はおりません。
私が代表者として管轄の上で、課の数人で適宜公式アカウントの発信を行う状態になっております。なぜこうなっているかについては、プロジェクトニパ子終了の理由に直結しておりますので別項目で改めてお話させていただければと思います。


■ 0時とともにアカウントが消えた理由は?

−−筆者:
プロジェクトニパ子終了について、8月半ばに発表され31日まで怒濤の盛り上がりをみせ最後の最後に10万フォロワー達成、というところまで行ったわけですが、日付更新とともにいきなりアカウントが消えてしまったのはなぜだったのでしょうか?
事前発表では、ゴッドハンドの公式アカウントに移行(もとがゴッドハンド公式アカウントだったので、正しくは戻すですが)するとうかがっていましたが、いきなり消えたのでびっくりしました。


高妻:
こちらご心配をおかけしてしまい申し訳ございません。引き継ぎの際アカウント情報の変更を行ったのですが、年齢設定などの変更した項目が規約違反の状態となり凍結した模様です。認識不足によりご心配をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした。


−−これをお読みの読者の方に私から補足をいれておきます。ネット上に「前任を嫌って後任が消したんじゃないか」など臆測の声があったため、前任の方にも同じ質問を別で行っています。結論からいうと、状況は一致しています。次が前任聞き取りの回答です。


 「前任者:本当に凍結です!実はアカウント整理中に年齢設定のところを会社の創立日にしつつ、西暦だけ1990年にしたのですが、なぜか変なエラーが起きて……気づいたら凍結しましたw」


−−筆者:
さて、話を戻します。それまでのツイートが削除されてしまった理由ってあるのでしょうか?もしかして操作ミスですか?


高妻:
まず削除理由についてですが、前任者の意向もありアカウント移行に伴い区切りをつけるため削除する事となりました。
新旧で混合しないようにとの判断で、プロジェクトニパ子終了理由に関連いたします。削除にあたっては、大変恐縮ながら告知不備と手順ミスがありました。
実は、プロジェクトニパ子の終了までの発信の中に、ツイートを削除する旨発信しておりました。


−−筆者:
見てました。もともと、アカウント移行後に過去ツイートは削除する。という話しでしたね。


高妻:
この内容が何らかの形で残った状態で公式アカウントになっていれば良かったのですが、このツイートを含んで全て削除されておりました。
本来は別途告知など手順を踏んだうえで削除を行うべきだったのですが、手順を誤って削除のみを行ってしまった状態となります。大変申し訳ございませんでした。


−−筆者:
アカウント復旧後に、ニパ子アカウント側からのフォロー数が大幅に激減していました。これは、ツイートを削除するとき同時に何かトラブルでも?



高妻:
これについて、実はツイート削除の件と似た状況となります。
ツイート削除と同様にフォロー解除を行う旨を発信していましたが、社内での打ち合わせの中でフォロー解除を行わない事を決定しておりました。しかし一連のごたごたによる社内の連絡不足が影響し、フォロー解除が行われてしまいました。


実行途中で誤っている事に気付き、再フォローの発信を行わせていただいた次第となります。皆様に不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございませんでした。


■ 「プロジェクトニパ子」はもともと年内終了予定だった

−−筆者:
諸事情あるとお察しいたしますが、プロジェクトニパ子が終了した理由を教えていただけないでしょうか。前任者へのインタビューではあえてうかがわなかったのですが、SNS上では現在色々な臆測が流れています。ニパ子にとってあまり変な話が残るのも良くはないとおもうので、今回はあえておたずねします。


高妻:
正直に申し上げますと、誠に勝手ではございますが社内リソースの問題となります。
当初ここまでプロジェクトニパ子を大きくする事は考えておりませんでした。
応援していただいた皆様には改めて感謝を申し上げます。


その上で、プロジェクトニパ子が大きくなるに伴い社内リソースが非常に圧迫されてまいりました。社内リソース面で無理が生じており、以前から圧迫を解消するために様々な模索を続けておりました。


その結果、弊社としても心苦しい限りではございましたが2020年中には終了する形で内々に話を進めておりました。今回急な形での終了となってしまい皆様まで巻き込んだ騒ぎとなり大変申し訳ございません。


−−筆者:
もともと年内終了予定だったんですね……。ちなみに時期が早まった理由は?


高妻:
時期が早まった事については弊社内の様々な事情によるものとなります。
社内でも急な決定となってしまい、引き継ぎが上手く行かず終了前後の動きで皆様にご迷惑をおかけしてしまいました。お詫び申し上げると共に、ご理解いただけますと幸いです。


こういった事情から、最初にご質問いただいた専任者を設けず、無理のない範囲で運用する形になりました。
こうなると、当然今までのプロジェクトニパ子のような運用ができないため、今までと異なる事が分かるように新しい運用でのツイートのみ残った方が良いという判断でした。


■ 結局ニパ子は今後どうなるの?

−−筆者:
今後についてですが、終了前にはプロジェクトニパ子は終了、ニパ子というキャラクターも動かない、商用利用のコラボは受付終了し、私的利用のみ自由にOKとうかがっていました。
しかし新たな発表では今後もゴッドハンドのキャラクターとしてHP等には残る、という風にうかがいました。具体的にはどう動かしていくなど構想はあるのでしょうか?またその他、以前からの方針変更があれば教えてください。


高妻:
こちらについては、お恥ずかしながら社内での認識齟齬に由来するものとなります。会社方針としては、元々新たな発表内容で考えておりました。


ただ、社内打ち合わせの中でプロジェクトニパ子終了の意味合いで齟齬が生まれておりました。それが、キャラクターとしての終了なのか、プロジェクトとしての終了なのかについてです。


内容として大きく異なるのですが、プロジェクト終了も早まったことで相違点の確認が不十分なまま進行してしまいました。


−−筆者:
あ!本来は「プロジェクトニパ子を終了」=ニパ子としてのTwitter運用やコラボ展開といった「IPプロジェクト※」だけを終了させるつもりが、キャラクターの終了だと社内に認識の齟齬があったのですね。それは表現が微妙だったかもしれません。※IP=知的財産の意。今回の場合は商品化含むキャラクター展開のプロジェクトの意。


これをお読みの読者の方に私から解説させていただきます。ゴッドハンドさんの言い分は「苦しい言い訳」に見えるかもしれませんが、この「齟齬」には事情があります。擁護とかではないですよ。一応事情通としての解説です。


ザックリ説明すると、ニパ子=ゴッドハンドの企業キャラクター、プロジェクトニパ子=ニパ子のIPプロジェクトです。


そもそも「ニパ子」というキャラクターは2013年に、アルティメットニッパーの擬人化キャラ=ゴッドハンドのPRキャラクターとして誕生しました。主に会社HPや会社商品に使用されるいわゆる「企業キャラクター」に留まる扱いだったのです。


ちなみにニパ子アカウントとして使用されていたTwitterアカウントも元々は、ゴッドハンド公式アカウントでした(これは当時筆者が見て確認しています。キャラ作ったのに新規にアカウントを作らないってもったいないなと当時思っていました)。これもあり、初期は企業の「広報キャラクター」という役割もあった、といってもいいかもしれません。


それが2014年頃からの社外とのコラボレーション活動にともない、「Project NIPACO(プロジェクトニパ子)」というIPプロジェクトが立ち上がりました。


以降は、「プロジェクトニパ子」として社内外の全活動が行われていたため、「プロジェクトニパ子=IPプロジェクト」がニパ子の全てだと思う人の方が多かったかもしれません。特にこの数年はプロジェクトが前面にたって活動することが多かったため、ゴッドハンド社内でも認識のずれがあったのでしょう。それが今回の結果、つまり齟齬が発生していたという訳です。


高妻:
9月1日以降初めて社内で齟齬を認識し、打ち合わせを行い改めて発表させていただいた次第となります。


−−筆者:
まるっと理解いたしました。これは定義づけしていなかった以上、ほんと御社内の問題ですね……。では、今後ですが、どういった形で「ニパ子」は運用されていくのでしょうか。


高妻:
キャラクターの動かし方については、いわゆる一般的な企業イメージキャラクターとお考えいただければと思います。


以前のように活発な運用とはならないのですが、引き続き弊社ホームページやパッケージなどにニパ子が登場いたします。また、ニパ子の専任者がいないことから、以前のような人格あるTwitter運用とも異なってまいります。


これら全ては弊社側の内容確認不足によるもので、ご心配・ご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ございませんでした。


−−筆者:
いえいえ。話を聞き、色々思いだして理解できました。さて、質問の続きです。終了前に決まっていたコラボ展開が終了後にもあると聞いていました。以前は、終了後は新アナウンスは行わない、ということだったのですが、今後はTwitterアカウントなどでお知らせがあると思っていても大丈夫ですか?


高妻:
大変申し訳ございませんが、原則としてコラボ系の新アナウンスは行いません。
以前はそういった告知も含めてニパ子だったのですが、上記リソースや区切りに関連しまして新アナウンスを行わない形になります。


−−筆者:
アカウント復旧後に色々な声が届いたと思います。中には厳しい言葉もありましたが、温かい言葉も多かったと私は感じました。改めてゴッドハンドファン、ニパ子ファンに向けて伝えたい言葉があれば教えてください。


高妻:
この場をお借りして、改めて多大なるご愛顧への感謝と、ご心配、ご迷惑をおかけしてしまった事に深くお詫び申し上げます。


本来はもっと早くこういったお知らせが出来れば良かったのですが、社内リソースの関係と社内での認識是正にお時間を頂戴してしまいました。


弊社力不足により以前のニパ子としての新規運用は無くなりますが、皆様に親しまれたニパ子も残したいと考えておりましたので、私的利用は自由のままにさせていただきました。


今後の弊社運用については上述のように出来る範囲でという形になってしまい大変恐縮ではございますが、改めてご愛顧いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。


−−筆者:
今回はお忙しいなか貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。


* * * * * * * *


 正直なところ、「ニパ子のその後」を書くつもりはありませんでした。しかし、終了後からの炎上や、終了前後の食い違い。どうしても筆者個人も聞きたくなってしまいました。「キャラクターの最後」は本来綺麗に終わるべきです。それはファン全ても願っていること。


 今回は最後少し残念なごたごたが起きてしまいましたが、ニパ子は今後もゴッドハンドのシンボルとしてホームページなどで見ることができるようです。


 最後の最後ですが、前任者ファンの方へ一つ。前任者は「毎日バタバタで生きた心地しませんが元気ですw」とのことでした。またいつかどこかの星で……。出会えるかもしれませんね。


<取材協力>
ゴッドハンド株式会社
プロジェクトニパ子前担当者
(C)Project NIPAKO


(宮崎美和子)


このニュースに関するつぶやき

  • もうこの際KOGU維新に入っちゃおうよ。
    • イイネ!0
    • コメント 0件
  • わかりやすかった。こういう取材をしてくれる方達が支援しているのは嬉しいです(*゚▽゚)ノ
    • イイネ!6
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(16件)

ランキングゲーム・アニメ

前日のランキングへ

オススメゲーム

ニュース設定