“ディーラーで買えるレーシングカー”BMW M2 CSレーシングが上陸。富士で初走行

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2020年10月21日 15:41  AUTOSPORT web

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BMW M2 CSレーシング
10月21日、静岡県の富士スピードウェイで、スーパーGTやピレリスーパー耐久シリーズに参戦するBMW Team Studieが、BMWモータースポーツが開発した新たなレーシングカー、『BMW M2 CSレーシング』のアジア導入1号機をシェイクダウンさせた。

 このBMW M2 CSレーシングは、ニュルブルクリンク24時間やNLSニュルブルクリンク耐久シリーズ等で、独自クラスも設けられるほどの人気を誇る、BMW M235iレーシング/M240iレーシングと同じコンセプトで作られるレーシングカーだ。

 2018年末に早くもオーダーしていたというBMW Team Studieの鈴木康昭代表によれば、このBMW M2 CSレーシングは「BMWモータースポーツが作る純正レーシングカーの“入門編”です。できる限り安くレーシングカーを提供するという、非常に明快なコンセプトで作られています」という車両だ。

 車重は1500kgほどと重いが、そこには理由がある。レーシングカーは軽ければ軽いほどいいが、当然その分コストがかさむ。それをあえて重いままで保っているのだ。ベース車となるのは、日本で60台限定で販売されたBMW M2 CSだが、この車両で多用されたカーボンパーツをあえて使わず、リペア時等のコストダウンを図っている。

 一方で、外観上ではフロントバンパーにブレーキダクトが追加されているほか、5段階調整が可能なリヤウイングの装着、さらに内装では、「すごく作り込まれていて、M6 GT3やM4 GT4と比べても遜色ない仕上がりですね。ただ、センターコンソール等はプラスチック製になっていたりと、コストダウンを図りながら、レーシングカーとして仕上がっていると思います」というものだ。

■新しい販売モデルで“買える”レーシングカーに
 そんなBMW M2 CSレーシングの「大きなトピック」というのは、これまでBMWのカスタマーレーシングカーは、BMWモータースポーツ社が開発、そして販売まで担っていたものだったが、このBMW M2 CSレーシングからはBMWモータースポーツは開発のみとなり、販売は市販車を担うBMW M GmbHが手がけることになるということだ。

 この変化により、世界中のBMWディーラーでM2 CSレーシングが購入できるようになるという。すでに日本を含め、世界中のディーラーでメカニックの講習も進んでいる。つまり、誰でも近くのBMWディーラーで、このBMW M2 CSレーシングが購入できるということだ。

 気になる価格については、BMWジャパンの設定によるというが、1500万円以下になりそうとのこと。市販のM2が898万円、M2 CSが1285万円と考えると非常にリーズナブルなのは間違いない。今後、BMWジャパンからのアナウンスを待ちたいところだが、モータースポーツに取り組みたいジェントルマンドライバーが、このM2 CSレーシングをきっかけにM4 GT4、M6 GT3とステップアップできるのは間違いない。

 なお現段階では、日本ではこのM2 CSレーシングが参加できるレースカテゴリーはなく、「各国でワンメイクレースをやっていきたい構想があります」という。さらに、BMW Team Studieではまだ構想段階だというが、「スーパー耐久シリーズに特認で参加できないかと考えています」という。

 当然、3リッターターボのため、パワーの面で言うとST-1となってしまうが、車重があるためラップタイムとしては別のクラスになるだろう。今後どう実現するかは分からないが、参加するクラスによっては、好ライバルの出現となりそうだ。

■ラップタイムは1分52秒をマーク
 晴天に恵まれた10月21日のシェイクダウンは、10時35分からのスポーツ走行枠で行われた。この日はスーパー耐久でM4 GT4をドライブする木下隆之がステアリングを握りコースインしたが、思わぬトラブルに見舞われてしまう。なぜか時速30kmほどしか出なかったのだ。

 実はこの車両は、日本に入ってきた後展示等はされていたが、まさに最初のシェイクダウンだったこともあり、市販車のBMWにも装備されているという、輸送時用の“トランスポートモード”という状態になっていたのだ。このトラブルが解消され、14時からの走行枠でいよいよ本格的に走行を開始し、1分52秒というベストタイムをマークした。

 ステアリングを握った木下は「ひとことで言うと“ファン”な感じです。すごく楽しい」と感想を語った。「重量が重いとは聞いていましたが、逆に軽快に感じられる印象で、キビキビ走ります。誰が乗っても楽しいと感じると思いますし、遊べる一台です」と木下も大いに気に入った様子だった。

 M2 CSレーシングは、現段階では360馬力程度のパワーだが、今後11月にアップデートされ、450馬力にパワーアップする予定だ。TCR車両等では発進時にクラッチが必要な場面もあるが、これはパドルシフトですべてコントロール可能。またブレーキも大きな踏力は不要だという。まさにレース初心者にもってこいの素材と言えそうだ。BMWでレースを戦いたいジェントルマンドライバーはもちろん、今後の日本のカスタマーレーシングの世界においても注目の存在なのは間違いないだろう。

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