「鬼滅の刃」現象は「あしたのジョー」の再来か 米国ファンも映画公開を待望

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2020年10月21日 16:45  AERA dot.

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写真「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」のパンフレット(撮影・高橋奈緒)
「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」のパンフレット(撮影・高橋奈緒)
  10月16日に封切られた映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」が驚異的な数字をたたき出している。公開第1週の週末3日間の興収が、46億2000万円!!公開10日目には107億円を突破し、100億円に到達する日数が日本で上映された作品のなかで最速となった。

【写真】「鬼滅の刃」で大ブレイクした人といえば…

 これがどんなにすごいことなのか。映画興行に詳しい関係者が呆れ顔で説明する。

「気持ちが悪い、怖いとまで感じるほどの前代未聞の数字。最終的に興収250億を超えた『君の名は。』(2016年)の4倍、鳴り物入りの前宣伝で始まった『アナと雪の女王2』(19年)の2.5倍にあたるスタートです。あまりにすごい数字なので、いったいどこまで伸びるのかという期待と、どこかで失速するのではという不安の両方を感じます」

 原作は、16年2月から今年5月まで「週刊少年ジャンプ」に連載された吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)作のマンガ「鬼滅の刃」。大正時代、鬼に家族を殺されたうえ、妹を鬼にされてしまった主人公・竈門炭治郎が、鬼殺隊に入り、妹を人間に戻すために鬼と戦う物語だ。

 17年に「少年ジャンプ」誌上で初めて作品を読み、一気に心を鷲づかみにされたというコラムニストの堀井憲一郎さんが語る。

「切ないんです。人の生死を扱うんですが、その人生についてきちんと描いているから、生き死にがとても切なく感じます。読み始めたのが、ちょうど主要キャラのひとりが死ぬ頃。彼の死のシーンでぐぐっと心をつかまれました。読んでて泣いてしまうんです。泣くのがわかっているから、駅の売店で買ってはいかん、電車の中で読んではダメだと思うんですが、すこしでも早く読みたくて、つい電車で読んでしまって……」

 しかし、堀井さんが読み出した当時は、さほどすごい人気があったわけではないという。

「僕は大学のマンガ研究会と交流があって、20人くらいの学生相手に『鬼滅の刃』って泣けるよねと話したんです。でも反応したのは1人だけ。その子とはものすごく話が弾み、熱く語り合ったんですが、他の連中はそもそも作品をよく知らないようで、反応が悪かった」

 その状況が、19年4月にアニメが放送されたことで一変したという。堀井さんが続ける。

「アニメーターたちの深い愛情を感じました。一つ一つのシーンの描き方がものすごく丁寧で綺麗だし、血が流れたり首が落ちる様子もしっかりリアルに描かれています。アニメのスタッフが『私たちの力で鬼滅を多くの人に認めさせよう』という思いを持って作ったと伝わってきます。原作に余計なものは足さず、わかりにくい部分について補足をしてくれたので、世界観を深めてくれました。マンガの方がこれから最後の戦いで一気に盛り上がっていこうという時期に、アニメの放送が重なったんです。従来のマンガファン、アニメから入ったファン。この相乗効果が出たんだと思います」

 周囲の人の反応も違ってきた。

「僕が買ったばかりの『ジャンプ』を持っていると、マン研の連中が『貸して下さい。「鬼滅」だけ読ませてください』と言ってくるようになったんですよ。そういえば昔、同じようなことがありました。『あしたのジョー』の最後の頃。『少年マガジン』を持って京阪電車に乗っていたら、知らないおじさんが『ジョーがどうなったのか、見せてくれへんか』と声をかけてきたんです。『あしたのジョー』と同じような社会現象になったと思います」

「鬼滅」のファンは、日本だけにとどまらない。

 ロサンゼルス在住のジャーナリスト・千歳香奈子さんの説明。

「こちらでは『Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba』というタイトルで英語版も出版されており、アニメはNetflix、Hulu、Amazonで昨年から配信されている他、テレビでも19年10月からカートゥーン・ネットワーク(アニメ専門チャンネル)で英語吹き替え版が全米放送されて人気です。アニメのシーズン2の放送を期待する声も多く出ています」

 それだけに、今回のヒットはアメリカでも大きな話題だ。

「ロサンゼルスの映画館はもう半年以上閉鎖されたままですし、他の地域でも映画館の7割ほどが営業を再開したとはいえ、配給会社は新作映画の公開を見送っています。『ニューズウィーク』をはじめ、娯楽誌『バラエティ』、経済誌『フォーブス』など多くのメディアが、アメリカの現状と比較する形で『鬼滅の刃』の大ヒットを取り上げました。『バラエティ』は21年初旬に映画版のアメリカ公開が決まったと伝え、ファンの間では盛り上がっているようです」(千歳さん)

「鬼滅」は、困窮する映画界の救世主となった。

「緊急事態宣言解除後も、全国の興行収入は前年同時期の1割〜2割程度でずっと推移していた。7月に『今日から俺は!!劇場版』がヒットしたのをきっかけに映画館に徐々に人が戻り、お盆シーズンにようやく前年の半分くらいに。そんな苦しい状況のなか、先週末は対前年比約1.5倍だったんです」(前出・映画関係者)

 1作品の力で、映画館を正常な状態に戻した。業界を救った作品として、映画史に語り継がれるに違いない。

(本誌・菊地武顕)

※週刊朝日オンライン限定記事

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  • 「ドラゴンボール」や「NARUTO」が好きなNBA選手もいますが、そのうち、「鬼滅の刃」が好きなNBA選手も出ると予想しています。
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  • 後からくるねん
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