若手の活躍が著しいGT300クラスの戦いで藤波清斗が見せた成長の証と目覚めた本能

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2020年10月22日 15:01  AUTOSPORT web

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2020年スーパーGT第5戦富士 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)
「これは……イケる!」

 決勝レース序盤のセーフティカー明け直後、リアライズ 日産自動車大学校GT-Rの藤波清斗は、感じていた手応えをそのまま走りで表現。15周目、トップに浮上すると、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラへつなぐまでに15秒の差を2番手に突きつけ、後続の戦意を削っていった。

 第5戦の富士では多くの陣営が想定以上に低くなった気温と路面温度に悩まされていたが、そこは藤波も同様。「タイヤがまだ温まっていないときにガンガンいくと、タイヤを痛めてしまいますが、スタートの競り合いのなかでそうも言っていられない」(藤波)のが実状だ。

 ただ、セーフティカーがオープニングラップからコースイン。その間に藤波はタイヤをうまく温めることができ、トップ集団のなかでも最良の状態でリスタートを切れた。そして、セーフティカー明け1周目の1コーナーでクルマから抜群の反応。

 その後もオーバーテイクを一回で決められるほどのスピードを保つ。残り10周あたりまではタイヤをセーブしつつ、自身のラスト2、3周では猛プッシュするなど、若手らしからぬ仕事ぶりを見せた。

「今季前半戦では上位に入賞してはいましたが、優勝や表彰台フィニッシュはできていなかったので、この富士ではとにかく勝ちを狙って、チームとともに念入りに準備をしてきました。いいクルマを用意してくれたチームに感謝しています」

 このところ、GT300では若手が躍動。藤波が全日本カート選手権の最高峰クラスKF1で戦ったときの相手のひとりである菅波冬悟(LEON PYRAMID AMG)、全日本カートでは1世代後輩となる阪口晴南(K-tunes RC F GT3)、小高一斗(ADVICS muta MC86)らはGT300デビュー後すぐに結果を出してきている。

 藤波がそのなかで埋もれていたわけではないが、彼らの活躍が目立っていたのも事実。そうしたなかで優勝という結果を出した。

「僕はいわゆるエリート路線を歩んできたわけではなく、星野一樹さんをはじめとする先輩ドライバーに助けてもらいながら、2015年からS耐を走り(2018、2019 ST-Xシリーズチャンピオン)、GT300で走るチャンスをいただけるようになりました。だから、GT300でしっかり結果を出していかないといけない」

 KONDO RACINGのGT300からは今季、平峰一貴がGT500のインパルへ移籍。GT500で充分戦えるスピードとファイティングスピリットを見せている。藤波も当然、平峰が通った道を歩く自分を思い描いているに違いない。

「今季はこのチームでまず1勝。それが第一の目標でした。それを果たせたので、次はシリーズチャンピオンを目指したい。いまのGT300で勝つのはとても難しいですが、JPさんとのコンビはすごくいいですし、タイトル戦線にしっかり残って最終戦で勝負、となるようにしたいですね」

 こちらの“誘導尋問”には乗ってこなかったが、獲物を狩りに行く心構えはすでにできていると見ていいだろう。獲物が目の前にぶらさがっている若手には要注意だ。

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